011年8月1日月曜日
血を流したアメリカが撤退し、中国がアフガンの1兆ドル鉱山を横取り
アメリカがアフガニスタンに猛攻を仕掛けてタリバン政権を崩壊させてアフガンを支配下に置こうとした理由として、一時、パイプライン敷設の他に「鉱物資源の確保も狙いにある」と言われたことがある。
パキスタンとアフガンの国境付近の山岳地帯にアイナク銅山があり、銅も取れればレアアースも眠っているのだという。それは首都カブールにも近い。
腐敗の極みにあるカルザイ政権
アフガニスタン北部を押さえることができれば、アイナク銅山に眠っている資源は充分にアフガンを潤す輸出資源になる。埋蔵量は1,200万トンである。
本来、欧米国家は資源を押さえて支配権を維持する戦略を取っているので、アイナク銅山は視野に入っていなかったはずはない。しかしながら、アメリカもNATOもアフガニスタンを掌握することに失敗し、とうとう今月からアフガンから撤退を開始する。
10年に渡ってアフガンに介入し、カルザイ政権に援助してきたが、ほとんど何も見返りを得ていない。カルザイ政権は腐敗しており、アメリカの傀儡だと誰もが知っているからまともに相手にされていない。
先日射殺された大統領の弟は、麻薬組織のボスになっていたのだから、その腐敗ぶりは想像を超えた世界にある。しかも、それをCIAが裏で支援していたとも言われているのだから、かつての南ベトナム政権とまったく同じ図式である。そして、ウィキリークスはアフガンで何が起きていたのかをすべて暴露してアフガニスタン人の協力者の氏名も漏れ、その時点でスパイ網が実質的に打撃を受けて戦略も後退している。
後ろ盾を失ったカルザイ政権の次の支援国
結局、オバマ大統領は7月31日の夜に債務上限の引き上げに成功して債務不履行の回避に成功したが、財政赤字がこれ以上膨れ上がらないために、今後10年間で195兆円もの財政赤字の削減が約束づけられた。
無駄遣いと言えば、真っ先にアメリカ人が思い浮かべるのが、何の見返りもないまま展開しているイラクやアフガンの駐屯であり、ウサマ・ビンラディンが殺害されたのをひとつのメドとしてアメリカはそこから撤退しようとしている。
2011年6月22日、オバマ大統領は1年かけて3万3,000人を撤退させることを約束している。
カルザイ政権は後ろ盾を失った状態なので、もはやタリバン側とは手打ちをするしかないし、生き残るためにはアメリカに変わるスポンサーも見つけなければならない。そこに中国が静かに顔を現している。
ダルフール紛争とペトロチャイナ
南ベトナム(ベトナム共和国)のグエン・バン・チュー政権や、カンボジアのロン・ノル政権がアメリカの支援を失ったと同時に崩壊していったのと同様に、カルザイ政権もまた崩壊していく可能性もある。
2011年7月9日に独立した南スーダンにも独立当初から介入していたのは中国だし、そもそもダルフール紛争の最中にもゲリラ側と金で折り合いをつけて石油開発をしていたのが中国のペトロチャイナだった。
アイナク銅山と中国
中国が引き下がることはないし、アイナク銅山の1兆ドルにものぼる鉱山資源を手放すはずもない。。
スーダンでの中心企業はペトロチャイナだったが、アフガンでの中心企業は江西銅業集団となる。どちらも香港株式市場上場の企業である、
しかし、アメリカの投資家はブッシュ減税で税金を払わないので、国家は何の利益にもならない。国家の衰退の物語は変わらないのである。
もっと皮肉なのは、イランもまたアフガン復興に手を貸して影響力を高める戦略に出ていることだ。もはやアフガンにアメリカの影響力などどこにもない。
イラク・アフガニスタンの戦争は、もはやアメリカの実質的な敗北だと結論づけていい時期に来たのではないだろうか。