goo

ヴィアヴェナトル




大きい画像

ヴィアヴェナトルは、白亜紀後期サントニアン(Bajo de la Carpa Formation)にアルゼンチンのパタゴニア(ネウケン州)に生息したアベリサウルス類で、2016年に記載された。Viavenator exxoniの由来は、viaが道路で「道路の狩人」。種小名はエクソンモービルがこの化石産地La Invernada areaの保全に貢献したことにちなむ。
ヴィアヴェナトルは、アベリサウルス類の中でも南米で進化したブラキロストラに属し、さらに系統解析の結果、ブラキロストラの中に新たに設けられた進化型のクレード、フリレウサウリアFurileusauriaの最も基盤的なメンバーであるという。フリレウとは現地の言葉で「堅い背中」を意味し、進化したアベリサウルス類では脊椎が強化される傾向があることを表す。フリレウサウリアにはヴィアヴェナトル、カルノタウルス、アベリサウルス、アウカサウルス、キルメサウルス、ピクノネモサウルスが含まれる。

ホロタイプは部分骨格で、完全な脳函と関節した後眼窩骨、鱗状骨、舌骨、不完全な歯と歯冠の断片、環椎、第3、4、5、7から10頸椎、第2、4、5、7から10胴椎、5個の前方の尾椎、5個の中央の尾椎、1個の後方の尾椎と最も末端の尾椎、肩甲烏口骨、座骨の一部、頸肋骨と肋骨、腹肋骨の断片、血道弓からなる。

特徴は16もあるが、どれも細かく難解である。フリレウサウリアらしい脊椎骨の特徴としては、頸椎のエピポフィシスの先端が前方を向いている(第4から第7頸椎においてよく発達する)、ハイポスフェン-ハイパントラム関節が第2胴椎から存在する、中央と後方の胴椎でinterspinous accessory articulation system (iaas)が発達している、といったところだろうか。interspinous accessory articulation system(訳すとすれば棘間付属関節系)とは、神経棘の先端に余分の関節ができて前後につながっているということである。第7-10胴椎は関節して見つかっており、その神経棘の先端には前方と後方に1対の短い突起があり、一つ前の神経棘をはさみ込むように関節している。アベリサウロイドであるダハロケリにも、後方の胴椎の神経棘の先端に短い突起があるが、ヴィアヴェナトルの強く発達した構造はダハロケリのものとは異なる。

頭骨の骨としては、脳函と関節した後眼窩骨、というあたりはアルコヴェナトルと似ているが、上顎、下顎などがないのはいかにも残念である。さらに残念なことに、前頭骨にも後眼窩骨にも角などのわかりやすい特徴がない。ヴィアヴェナトルの前頭骨は、エクリクシナトサウルスやアルコヴェナトルと同様に平坦であり、アベリサウルスやアウカサウルスのような眼窩上の隆起は発達していない。この眼窩上隆起はカルノタウルスの角と相同な構造とされる。またヴィアヴェナトルの前頭骨には、マジュンガサウルスやラジャサウルスのような1本の正中の角状突起もない。復元図でもシンプルな頭部に描かざるをえない。
 ヴィアヴェナトルでは、前頭骨、後眼窩骨、涙骨の間に孔がない。この孔は、原始的なルゴプス、エクリクシナトサウルス、マジュンガサウルス亜科にはみられるが、派生的なアベリサウルス、アウカサウルス、カルノタウルスにはみられない。この孔がないことは、フリレウサウリアの共有派生形質とも考えられるという。
 ヴィアヴェナトルでは、エオアベリサウルス、カルノタウルス、アベリサウルス、マジュンガサウルスと同様にinteorbital septumが骨化している。また後眼窩骨は、他のアベリサウルス類と同様に派生的なL字形をしている。ヴィアヴェナトルの後眼窩骨はカルノタウルスと同様に比較的長く、前腹方突起が涙骨の近くまで伸びている。後眼窩骨の背側縁は、強く発達しているスコルピオヴェナトル、エクリクシナトサウルス、アルコヴェナトルの状態とは異なる。この点も残念である。アルコヴェナトルでさえ、後眼窩骨の背側の稜を角質で強調するなどして特徴を表現することができるのに、ヴィアヴェナトルの場合はそれもできない。またヴィアヴェナトルでは、前腹方突起の後縁の中ほどに顕著な屈曲がある。これはカルノタウルスとアベリサウルスにはみられるが、フリレウサウリア以外のアベリサウルス類にはみられないという。

系統解析はTortosa et al. (2014) のデータセットを拡張・修正したものを用いている。すでに指摘されているように、クリプトプスの上顎骨と胴体は別の個体(つまりキメラ)と考えられるので、別々の単位として用いた。また暫定的にアルコヴェナトルとされたPourcieuxの上顎骨も別物として扱ったようである。結果的に「クリプトプスの胴体」とPourcieuxの上顎骨はケラトサウリアの外側に出てしまった。これらはテタヌラの可能性があるが、より多くのサンプルを加えた将来の研究を待たなければならない。
 タラスコサウルスなど2種の断片的な標本を除くと、アベリサウルス類の中の解像度がよい分岐図が得られた。アベリサウルス科の中でクリプトプスとルゴプスが最も基盤的なものであり、それ以外はマジュンガサウルス亜科とブラキロストラに分かれた。マジュンガサウルス亜科はインド・マダガスカルのグループ(ラジャサウルス、インドサウルス、マジュンガサウルス)とヨーロッパのグループ(ゲヌサウルス、アルコヴェナトルなど)に分かれた。
 ブラキロストラの中ではゼノタルソサウルスが最も基盤的となった。次いでダハロケリとラヒオリサウルスが基盤的な位置にきたが、これらの位置は不安定である。それ以外のブラキロストラは2つのグループに分かれた。1つはイロケレシア、エクリクシナトサウルス、スコルピオヴェナトルのグループであり、もう一つはフリレウサウリアである。フリレウサウリアの中ではヴィアヴェナトルが(キルメサウルスなど他の断片的な種類とともに)基盤的で、より進化したグループと姉妹群をなした。後者の中ではアベリサウルスとアウカサウルスがクレードをなし、それとカルノタウルスが姉妹群をなした。このような分岐パターンはこれまで報告されたことがないという。
 過去にはアベリサウルス類の系統関係について多くの変遷があったが、それにより分類群の名称にも影響がある。昔はアベリサウルスとカルノタウルスがかなり系統的に離れていると考えられていたので、アベリサウリナエとカルノタウリナエに分けられたこともあった。最近はアベリサウルスが「昇格」したので、これらの名称はあまり用いられない。また今回のようなトポロジーだと、カルノタウルスとアウカサウルスが最も近縁とした「カルノタウリニ」は用いるべきでないとなる。確かにカルノタウルスとアベリサウルスがこれくらい近縁とすれば、優先権から代表種として用いられるのはアベリサウルスの方になるだろう。
 ヴィアヴェナトルが系統的にスコルピオヴェナトルなどのグループと進化したグループの中間に位置することは、サントニアンという年代ともよく一致するとしている。アウカサウルスより少し古い種類であるが、脊椎の形質にはより特殊化した点もあるという感じである。


参考文献
Leonardo S. Filippi, Ariel H. Mendez, Ruben D. Juarez Valieri, Alberto C. Garrido (2016) A new brachyrostran with hypertrophied axial structures reveals an unexpected radiation of latest Cretaceous abelisaurids. Cretaceous Research 61, 209-219.
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« Rebor 1/35 ア... 浅草でラプト... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
 
この記事のトラックバック Ping-URL