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アンキオルニスの体の輪郭


すでに多くの研究がなされているアンキオルニスですが、今度は骨格や羽毛ではなく、体の軟組織の外形(輪郭)を解析した仕事が報告されています。
 レーザー励起蛍光法という技術がポイントです。鉱物の結晶中に含まれる有機物や無機物の不純物の組成によって、特定波長のレーザーを照射したときに異なる蛍光を発するようです。この方法を保存の良いアンキオルニスの標本に用いて、体の外形を明らかにしています。

結論として得られた体の輪郭は意外なものではないですが、これまでの骨格や羽毛の形態と、現生種との系統的な比較 extant phylogenetic bracketing からの推定を裏付けた、といっています。この復元図にはScott Hartmann が活躍していて、論文の共著者に入っています。

前肢では、肘の前方あたりにpropatagium (前飛膜、前膜)があることが四翼恐竜で初めて示されました。ここには雨覆羽の突起の痕が等間隔に並んでいるが、現生鳥類のように分化して特徴的な配列パターンをしてはいない。propatagiumは、鳥類では翼の前縁で揚力の発生に関わる機能をもっているが、アンキオルニスでも同様に滑空などの飛行機能に役立っていたかもしれない。ただし、propatagiumは明らかに飛べない平胸類やオヴィラプトロサウリア(カウディプテリクス)にもみられるそうです。

後肢では、ふくらはぎの部分が鳥類と同様にドラムスティック状をしているのが確認された。また恥骨のpubic bootの先端に軟骨らしい痕があり、さらに外側にpubic callosity (恥骨だこ)らしい組織があった。これは座った時に体を支えるのに役立つということです。

足の指の腹側には鳥類と似たfoot pad (toe pad) があり、細かい小石状の鱗で覆われていた。

尾の輪郭はスレンダーで、尾椎の形と対応している。尾の付け根の部分もわりと細めで、アンキオルニスには大きな尾大腿筋はなかったことがわかる。このことから、後肢と尾を独立して動かすことができ、飛行機能に役立ったかもしれないということです。

オープンアクセスなので全文が読めます。

参考文献
Wang, X. et al. Basal paravian functional anatomy illuminated by high-detail body outline. Nat. Commun. 8, 14576 doi: 10.1038/ncomms14576 (2017).

http://www.nature.com/articles/ncomms14576
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