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恐竜の類縁関係と初期進化についての新しい仮説:オルニトスケリダ


これはさすがに驚きますね。他の研究者はどうみるのか、今後の展開が楽しみです。
 恐竜はまず竜盤類と鳥盤類に分かれる。Baron et al. (2017) による解析結果は、この130年もの間、揺るぎない常識であった概念を覆す仮説です。なんと鳥盤類と獣脚類が姉妹群をなし、鳥盤類+獣脚類(オルニトスケリダOrnithoscelida)が、竜脚形類とヘレラサウルス類からなる竜盤類と分岐している。恐竜は、まずオルニトスケリダと竜盤類に分かれるというわけです。ちなみに今回、エオラプトルは基盤的獣脚類に「復帰」しています。
 オルニトスケリダOrnithoscelidaという名称は、1870年にHuxley がイグアノドン類、メガロサウルス類、スケリドサウルス類などを含めて命名した歴史的分類名を復活させたものです。鳥に似た後肢をもつということらしいが、今回の結果が正しければ、それが意外といい線いっていた、ということになる。

オルニトスケリダOrnithoscelidaがクレードを形成することは、21もの明確な共有派生形質で支持される。前上顎骨の鼻孔窩narial fossaの内側に孔がある、上顎骨の外側面に鋭い縦の稜がある、涙骨と上顎骨の接触により頬骨が前眼窩窓の縁から排除されている、前腹方に傾いた方形骨、・・・肩甲骨の長さが遠位の幅の3倍以上、上腕骨が近位で腹側に強く曲がる、遠位の足根骨が中足骨に癒合する、という具合である。結局、ヘテロドントサウルスのような原始的な鳥盤類と初期の獣脚類の間に、かなり共通した形質があることがポイントのようです。

なぜ今回こうなったのか?初期の恐竜進化についてのこれまでの系統解析とどこが違うのか。従来は初期の恐竜や恐竜形類の系統関係を解析する際に、獣脚類または竜盤類に重点があり、三畳紀にはまれな鳥盤類はわずかな種類しか用いられないか、上位の分類単位で代表されていた。また、竜盤類と鳥盤類に分かれるという先入観があったために、個々の形質の獲得についても多くの先験的な仮定を置いていた。今回著者らは、レソトサウルスやヘテロドントサウルス類などなるべく多くの鳥盤類を解析に含めるとともに、極力客観的に、すべての形質を適用した。従来は獣脚類や竜盤類の中で用いられていた形質を、すなおに多くの鳥盤類にも当てはめて解析した、ということのようです。過去にも何人かの研究者によって鳥盤類と獣脚類の類似性が指摘されていたが、収斂と解釈されてきた。それが今回明るみに出てきたようです。

竜盤類とオルニトスケリダの基盤的な種類(ヘレラサウルス、ヘテロドントサウルス、エオラプトルなど)からみて、恐竜の祖先はボディプランとしては小型で2足歩行性で、ものをつかむ手をもっていた。これは収斂ではなく原始状態と考えられる。
 最近の研究では、初期の恐竜の食性については曖昧になってきている。パンパドロマエウス、パンファギアなどの基盤的な竜脚形類は、異歯性をもつことから早い段階で雑食性に移行したと考えられる。今回の仮説では鳥盤類と獣脚類の基盤的メンバーであるヘテロドントサウルスやエオラプトルは異歯性であり、オルニトスケリダの祖先も雑食性と考えられる。これらのことから恐竜の祖先は雑食性と解釈できる。恐竜類と最も近縁なシレサウルス類が大部分植物食性であることもこれを支持するといっている。
 ヘレラサウルス類は明らかに肉食性であるが、今回の系統関係からは肉食性が派生的な形質ということになる。つまり肉食性は、ヘレラサウルス類と獣脚類で独立に進化したことになる。
 さらに古生物地理学的には、シレサウルス類や最近のイギリスなどの恐竜形類の分布から、恐竜の起源はゴンドワナではなく、ローラシアで時代も少しさかのぼるといっている。

これが定説となると本当に脊椎動物学の教科書を書き換えることになる。今後どういう展開になるのか、期待されますね。

参考文献
Matthew G. Baron, David B. Norman & Paul M. Barrett (2017). A new hypothesis of dinosaur relationships and early dinosaur evolution. Nature 543, 501-506. doi:10.1038/nature21700
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