内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

 日・ロ平和条約締結に向けた北方領土問題の実質合意を期待

2016-12-10 | Weblog

 日・ロ平和条約締結に向けた北方領土問題の実質合意を期待

 121516日、プーチン・ロシア大統領が訪日し、山口県と東京で首脳協議が行われる。プーチン大統領の訪日を歓迎すると共に、日・ロ平和条約の締結に向け、北方領土問題の実質的な合意が図られることを期待する。

 日・ロ平和条約交渉は、1956年以降数次に亘り協議、交渉を重ねて来ているが、北方4島問題がネックとなり実現に至っていない。

 日本側は歯舞、色丹、国後、択捉の4島返還を主張しているが、ロシア側は、プーチン大統領になって‘北方4島は戦争の結果獲得したもの’であり、ロシアの領土であると主張している。

 その通りである。ロシアは、北方4島が第2次世界大戦前は日本の領土と認めていることになる。それを戦争でソ連(旧ロシア)が占領した。だからこそ、北方4島問題を解決して日・ロ双方が和解し、平和条約を締結しようとしているのではないか。

 ソ連は、米・英・ソ3国首脳によるヤルタ会談(19452月)の結果を受けて、日本が終戦宣言を行った8日前(194588日)に日・ソ不可侵条約(19414月締結、有効期限5年、1年前の予告で終了可)に違反して参戦し、北方領土を占領した経緯がある。ソ連は、2国間の約束、国際約束に反して北方4島を占領・占拠した。その法律的技術論は別として、日本の国民感情としては2国間の約束、国際約束を守れないような国を信頼することは難しい。日・ロは北の隣国でありながら、両国間の経済交流はそれ程進展していない。日本の経済界も直接投資含む経済交流の促進を期待しているが、躊躇がある。経済約束、契約をロシアが守らないのではないかという信頼性の問題が一つの抑制要因になっている。日・ロ経済交流の促進の上でも、信頼回復が望まれる。

 日・ロ平和条約締結のためのキーワードは、信頼回復と和解である。そのためには、北方4島の問題を実質的に解決することが必要だ。そして両国国民の相互信頼と和解の象徴となる4島問題の解決には、4島に住むロシア人への補償と4島を巡る日・ロ両国の安全保障の枠組みが鍵となろう。

 他方、ソ連の4島占領後、日本人が4島から武力の威嚇により強制的に退去させられたが、戦前の戦争法規においても、一般市民(シビリアン)の保護が定められており、その財産を含む生活の基盤を没収し、強制的に生活の場を奪うことが正当化されてはいない。そのようなシビリアンへの行為は、基本的な人権、人道に反する。ロシア側も、日本人の旧島民とその家族の4島帰還を認めると共に、一定の補償を行うことが望まれる。

 日・ロの交渉は、1956年の共同声明の発出以降、半世紀以上に亘り行われて来たものであり、論点は出尽くしていると思われるので、両首脳の決断を待つだけと言えるであろう。今回の訪日で、プーチン大統領の英断を期待する。

20161210.)(Copy Rights Reserved.


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