『バード』
"bird"
監督:クリント・イースートウッド
脚本:ジョエル・オリアンスキー
1988年・米
わずか34年で生涯をとじた、伝説的なサックス奏者チャーリー・パーカー(1920-1955)の人生を描く。
若き日、レノのコンテストでまずい演奏をし、ドラマーにシンバルを外して放り投げられた屈辱の思い出。
NY52番街でビ・バップを創始し、成功を掴んだ日。
なかなか落とせない意中の人チャンを射止めるため、サックスを質に入れて白馬を借り、チャンのアパートメントに白馬で乗り付けた輝かしい日。
西部でのビ・バップへの偏見と、NYへの敗走。
52番街の変貌と、新しい音楽(ロック)のバカバカしさ。
そして死。
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カントリーの大物、ジョニー・キャッシュの半生を描いた『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』とかもそうなんだけど、伝説のミュージシャンを描こうとすると、どうしてもヤクの話が切っても切れない。
あっち(ヤク漬け)とこっち(健常)を行ったりきたりという話が2時間40分も続く。
うーん、寝てまうで。
バード(チャーリー・パーカー)は、ただの駄目なヤク中で、強烈な魅力みたいなもんは伝わってこない。
そのへん不満だった人もいるようで、バードと同時代を生きた(チャーリーより7つ年下)いぶし銀のベーシスト、ビル・クロウは自著『さよならバードランド』でこのように書いている。
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僕はクリント・イーストウッドの映画『バード』にその思い出を求めることができればと思ったのだが、
サウンドトラックをべつにすれば、
結果は失望でしかなかった。
その映画には、バードの持っていた人間性や、自らに対する確信や、知性や、とくにウィットが欠けていた。
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もちろん、こっちはバードの人柄まで詳しく知る由もないが、クロウの書いた本から伝わってくるバード像は、楽天的でウィットに富んでいて話好きで、この映画のバードとはずいぶん違う。
まあ、バードの描き様はともかく、イーストウッドがこの時代のジャズ・シーンをメジャーで映画化した事には意味があるような気もするんだけど。
バードランドの例の名物司会、ピー・ウィー・マーケットも登場したりする。
でも、まあ退屈っちゃあ退屈だ。
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