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『地球の長い午後』
ブライアン・W・オールディス(英:1925-)
伊藤典夫訳
"Hothouse" by Brian Wilson Aldiss (1962)
1977年・ハヤカワ文庫
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「ヤトマー!助かったんだ!陸にあがるぜ!」
グレンははじめて沈黙を破った。
ヤトマーが立ちあがった。
ポンポンたちは立っている。
五人はたちまち心を一つにして抱きあった。
<うつくしい>が鳴きながら頭上を飛んでいる。
「四五年のあの<沈黙抵抗同盟>の事件を忘れたのか?
堂々と権利を主張するのだ。
やつらの言い分などに耳を貸すな―――どうせ嘘っぱちだ、プロパガンダだ。
デリー官僚政治や共産主義者の策謀に巻き込まれてはいけない。
今こそサルなみの労働から足を洗うときだ!」
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すげぇなぁ、オールディス。
人類の繁栄が過去のものとなった時代。
地球上は植物の世界に変わってて、しかも植物たちは極端に凶暴化してて、まあ、ナウシカの腐海みたいな感じ・・・って、本書の方が元祖か。
動物は5種しか残ってない。
トラバチ、木蜂、草蟻、ハガネシロアリ、そしてサル並みに小型化した人類。
いちばん脆弱で、皆からカモにされるのが人類。
基本的に植物は走ったり、鳥に擬態して飛んだり、刺したり、溶かしたりしておっかない。
こいつらが全部、脳を持たない植物ってのは無理があるJ、
なんて言うのはやめようJ。
そんな異様な世界を構築した、この1アイディアで1冊書いちゃうかと思ったら、とんでもない。
クモの糸で月まで渡ったり、月に渡った人間たちが鳥人化して、地球を侵略しに帰ってきたりの大暴走・・・ってだいぶストーリー書いちゃったよ。
でも、平気だねぇ。こんなん序の口だから。
主役は少年グレン、その彼女のヤトマー。
2人のことは、読んでてどんどん好きになる。
グレンの頭にとりついて支配する、高度の知能を持ったキノコ”アミガサタケ”。
後半に登場する、アミガサ以上に知識を持った魚、ソーダル・イー。
この曲者2人の化かし合いも、面白い。
キツネと狸じゃなく、キノコと魚ってとこがまた一興。
ん?
魚?
動物、5種類じゃないじゃん・・・。
<尼孫>
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地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224) |
伊藤 典夫 | |
早川書房 |