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多様な働き方の先にあるものは

『大変化』より 多様な働き方の先にあるものは ⇒ こんな感覚で「政治」をされたのでは、たまらないですね

正社員礼賛の固定観念は昭和の遺物?

 働き方といえば、しばしば俎上に載せられるのが「派遣社員」です。「正社員」こそが「正しい」働き方であり、派遣というシステムは「リストラの調整弁だ」「かわいそうだ」と批判されるようになりました。

 しかし、これらの批判はあまりにも表層的です。「派遣切り」「派遣村」といった言葉から、派遣社員が非正規労働者の象徴のようなイメージが定着してしまっていますが、それは実態と異なります。そもそも派遣社員として働いている人は、すべての労働者中のわずか二パーセントに過ぎません。非正規労働者は全労働者の三分の一を占めていますが、その中ではパート・アルバイト、契約社員のほうがずっと多いのです。

 たしかに正社員として働きたい人もいます。しかし、そうではない人もいる。あるいは人生のライフステージによって変わる人もいるはずです。例えば業界が行ったアンケート調査によると、「あなたはなぜ派遣で働いていますか」という問いに対し、七〜八割の人が「派遣で働くほうが都合が良いから」と回答しています。親の介護や子育てなどで転勤も残業もできない人、他にやりたいことや副業があって週四日以下しか働きたくない人など、事情はそれぞれです。派遣という働き方なら、そういうニーズに柔軟に応えられるわけです。

 繰り返しますが、雇用で重要なのは多様性と柔軟性です。「誰もが正社員になりたがっている」「正社員だけが。正しい々働き方だ」という固定観念こそ、払拭すべきです。

「労働時間で給与を支払う」の問題点

 一時期、「ホワイトカラー・エグゼンプション」の是非が話題になりました。「エグゼンプト」とは「除く」という意味で、つまり残業代を払うという概念からホワイトカラーを除こうというわけです。結果的に国会で議論が熟することもなかったのですが、そもそも「残業」という概念があてはまらない職業(大学教授もその一つです)が増えていることは間違いありません。「残業代ゼロなど、けしからん」という声もありますが、働き方が変わった以上、それが時代の趨勢だと思います。

 時間によって賃金を払うのは、主としてブルーカラーの労働においてです。しかし、社会で年々増えているホワイトカラーの仕事は、成果を時間だけでは測れないことが多いのです。例えば、大学教授である私がいくら深夜までかかって原稿を書き上げたとしても、残業代はいっさい出ません。

 この話は、社会人にするより学生にしたほうが理解されます。例えば、大学の授業で教師が「今度の期末論文は、十時間かけて書いた人には成績A、五時間で仕上げた人にはBをつける」と言ったらどう思いますか、と尋ねるわけです。当然ながら、誰も賛同しません。評価されるべきは論文の中身でしょう。それが、ホワイトカラー・エグゼンプションの意図するところなのです。

 実際、すでに多くの国では、ホワイトカラーに残業代は支払われていません。ブルーカラーと同じように支払われているのは、日本の特徴です。だから、短時間で終わるはずの会議に長い時間をかけ、遅くまで残業している。よく日本のホワイトカラーの生産性は低いと言われますが、その原因の一端はここにあるのです。

 しかも今後は、ホームワーク(在宅勤務)のような働き方も珍しくなくなるでしょう。それを労働時間で管理することはできません。成果で管理するしかない。これは当たり前の議論ではないでしょうか。

 職種によっては、当然に残業代を支払うべきです。しかし、専門性の高い仕事については、労働時間ではなく、成果で評価されるべきなのです。

海外からゲストワーカーを受け入れれば、女性の働き方が一変する

 日本の生産年齢人口(十五〜六十五歳)は、約二十年前の一九九六年から減少し続けています。総人口は二〇〇八年をピークに減少に転じていますが、生産年齢人口はその十年以上も前から減り続けているわけです。

 ふつうの国なら、移民受け入れの議論が出るところです。しかし、日本には移民に関して強いアレルギーがある。ならば移民ではなく、とりあえずゲストワーカーなら受け入れられるのではないでしょうか。

 その議論の根底にあるのは、女性の労働参加です。日本の場合、女性は三十歳前後まで働き、結婚・出産を機に離職し、子育てが一段落した四十歳前後で復帰するというパターンが、よく見られます。よく言われるように、働く女性の数を年齢別のグラフにすると、三十歳代が凹んだ「M字型」になるわけです。

 もし、女性が家庭のことを気にせずに働き続けることができたら、つまり女性労働力のM字型の凹みが解消されたら、それだけで日本のGDPは一五パーセントも高くなると言われています。逆に言えば、現状ではたいへんなロスが生じているのです。

 当の女性にとっても、M字型の働き方はマイナスです。現在の労働体系上、復帰後は主にパートやアルバイトになるため、給料が安くなる。そのため、学校を卒業して同じ総合職で入ってずっと働き続けた男性と比べると、生涯収入でざっと二億円の差がつくと言われています。

 だから私は、卒業していく女子学生に「結婚して専業主婦になりたいと思ったら、それはそれでいいけれど、その男に二億円をかける価値があるかよく考えなさい」と言うことにしています。私の知る限り、二億円の価値のある男など、そう多くはいません。

 とはいえ、結婚すれば家事との両立を迫られる。そこで外国人労働者をゲストワーカーとして迎え入れ、家事支援をしてもらおうというわけです。まずは国家戦略特区として、神奈川などで実験的に解禁することになっています。大きな効果が得られることを期待しているところです。

 香港で会社を経営している知人の四十歳代の日本人女性は、「メイドのいない人生なんて考えられない」と言っていました。香港では住み込みのメイドさんを月五万円程度で雇えるとのこと。おかげで仕事もできるし、子どもは世界に色々な国、色々な人がいることを知る。日本国内でも、システムさえ整えれば、こういう女性が増えてくるのではないかと思います。

 ゲストワーカーとして来てもらいたいのは、メイドさんばかりではありません。例えば外資系企業の日本支社はもっとあってもいいし、そのトップも含めて外国人社員がたくさんいてもいい。そのためには、家族も安心して住めるような環境を整える必要があります。英語が通じる病院、英語で教育を受けられる学校など、まだまだ足りない状態です。地域または都市全体として、トータルなシステムの改革が欠かせません。
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