みちのくの放浪子

九州人の東北紀行

「すぐ都市より退避せよ」

2017年08月09日 | 俳句日記

三日前にヒロシマを書いた。
今日も書かなければならない、避けては
通れない事実だから。
廃墟となった浦上天主堂の両天使像も、
やりきれない憂いに満ちておいでだ。

昭和50年の春、私は元憲兵隊の将校にお会いしたことがある、50代の方だった。
当日、彼らは福岡24連隊から直ちに長崎
へ向かった。

誰もが生まれて初めて眼にする光景だっ
たそうである。
実況検分と救護に当たっている時に、若
い婦人が着物の裾も露わに倒れていた。

ご遺体だと思い通り過ぎようとする刹那
「生きてます!」と部下が叫んだ。
身を翻し脈を当たると既に絶えている。
「いや、確かに自分で裾を被せました」

戦場では、よくある事らしい。
女性らしい羞恥心が最期の力で、そうさ
せたのだろうと彼は語った。
阿鼻叫喚の中の活動は辛かったそうだ。

各部隊の検分報告書は憲兵隊本部に集め
られていたが、戦後GHQが全て持ち去ったと言う。
私が聞いた唯一の現場の話であった。

翌10日、灰燼に帰した長崎に空襲警報が
響いた。
上空のB29がヒラヒラとビラを撒いた。
こう書かれていた。

「アメリカは今や何人もなし得なかった
強力な爆薬を発明するに至った。( 略 )
諸君はただちに武力抵抗を中止すべく
措置を講じなければならない。
然らざれば、我らは断固、この爆弾、
その他あらゆる優秀なる武器を使用し
戦争を迅速に終結せしめるであろう。
即刻都市より退避せよ」

〈あの日にも 浦上飛んだか 赤トンボ〉
放浪子 季語・赤トンボ(秋)

8月9日〔水〕朝夕時雨
福岡では、風のみの台風一過だつたので
今日の時雨はありがたい。
お隣の百日紅のピンクがお年頃の娘さん
のように鮮やかになった。

明日はポツダム宣言受諾の日。


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