マクロ経済そして自然環境

経済的諸問題及び自然環境問題に感想、意見を書く事です。基本はどうしたら住みやすくなるかです。皆さんのご意見歓迎です。

TPPの餌食第一号は軽自動車か??

2013-08-30 14:03:57 | 税、財政

 8月23日日経報道によれば総務省は軽自動車の自動車税を大幅増税する検討に入ったとの事である。周知のように”軽自動車税”は市町村がその所有者に年一回かける税で標準税率(地方税の定める標準と言う事)で年間7200円である。

この自動車税については普通車の場合だと1000CC以下でも29500円で租の差が大きいとしてアメリカから”非関税障壁”として指摘されていると以前より言われていたものである。これに付き TPP、軽自動車で検索すれば多数出てくるのは言うまでも無いが、以前の某野党○○党機関紙によれば(以前にも引用しましたが)

 

 

7月24日の参院予算委員会で私は(紙智子参議院議員)TPPでコメなどの重要品目は関税撤廃の例外になるかのようにいう政府のごまかしを追及しました。

 

実は4月10日に青森県が主催したTPPに関する説明会で政府関係者が出席し、”TPPは全品目関税撤廃が基本””基本的には関税撤廃期間を長く取ることで配慮できると言う考え”と説明していました。またアメリカは日本の参加条件として

①牛肉の月齢制限の緩和

②簡易生命保険や共済の優遇処置の撤廃

③軽自動車の税金優遇処置の廃止

を突きつけています。私の質問に対し、玄葉光一郎外相も「信頼醸成の材料を米国側が希望しているのは事実」と認めました。

 8月1日の衆議院外務委員会で共○党の笠井亮議員が米国の条件は「牛肉、保険、自動車」の3項目だけかと質問したのに対し玄葉外相は「100%は断言できない」と答えました。さらなる条件を米国が持ち出してくる危険があります。”

 と言うことで正しくTPPの、と言うよりアメリカの的になっているのは疑いない所であります(同日付け日経報道では”欧州連合(EU)との交渉で問題になっている”としか触れていないのは全くのミスリードである) 

 

 自動車取得税(総税額約1900億円で都道府県の税)を廃止すると言う事になっていますがこれは消費税増税により地方消費税分も増収になる(5%増収分13.5兆円×1.2/5(地方消費税割合)=3兆2千億)事を見返りとして廃止すると言うニュアンスが強いものであり、この減部分を軽自動車税を増税すると言うのは全くこじつけに等しいとしか考えようが無い。本日付け報道でもスズキの会長が弱い物いじめであると言っているが全く今や総低所得の中、我々庶民の足代わりのものであり、それをあたかも減収分を補う等の表現で増税しようとするのは全くのTPP隠しでありアメリカ迎合の第一歩である事は間違いないであろう。

 

 

 

 

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東京電力株価500円の不可思議。

2013-08-24 15:21:00 | Weblog

報道によれば昨日の東京電力の株価が一時500円割れしたそうである。終値が508円だったそうであるが(日経8月24日朝刊)これを見てハタと考えたのは私だけではないで有りましょう。確か東電の株価は一年以上前200円かそこいらだったはずだったからである。その時も200円でもよく買う人間がいるものだと思いましたが、現在では500円近辺で売り買いが為されている事になる。

昨日は株価はタンクからの汚染水の問題や柏崎原発の再稼動が問題視されたためだと言う。しかしこれを読むと多くの人は”おい、おい、ちょっと待ってくれ”と言うのではないかと思う。これの下地には同報道によれば東電は”総合特別事業計画で2014年3月期の経常黒字化を公約している”との事である。しかしまともな人間ならこれを読んでやはり東電と言う株式会社の異常性を思うのではないかと思うのであります(更に言うならその株式を購入する”投資家”もであるが)

 

当然ではあるが東電は福島原発の汚染地域を元に戻す責任を持っている。多くの地域の風評被害等がなくなったとは誰も言っていなし、又昨今、原発事故が原因で自らの命を絶った方の訴訟について被害を認めるどころかそれについて争う姿勢だそうである。また現在でも放射能被害で避難されている方が約15万人いるわけであり、これらの方々への応答はおざなりとしか言いようが無く、というよりもその方々からすれば東電に対してははらわたが煮えくり返る状態ではないかと思いますがそのような中で”黒字”だなどと言う言葉がどこから出るか不思議としか言いようが無い。東電ではあの事故が起きたときに退職した社長だか会長だかが退職金5億円を手にしたのはついこの間の事である。これについても一部でも返納したと言う話は聞かない。

 

 

 

 

既に”株式会社”としての東電は破綻している。この様な破綻会社の株がどうして未だに上場されたままなのか全くの疑問である。(追記:不勉強ながら昨年7月1日の原子力損害賠償支援機構による1兆円出資により”実質国有化”がされているとの事であるも、今回のタンク汚染水水漏れが東電の”コストダウン”に原因しているとも言われ、中途はんぱな姿勢が事態の悪化を防ぎきれて居ないのではないかと思われるが)自分の負債は目をつぶり一人前の法人のような顔をしているこの会社、およびその株を買う方々はこの”資本主義”では通用しないと思われるが、それともこの国は資本主義ではなくやはり先般の露骨な株式PKOに見られるように国家資本主義と言う言い方が適切かも知れませんが。

 

 

 

 

 

 

 

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景気政策史―59 19世紀イギリス対外商業政策と不況 その15 “自由貿易”と砲艦外交

2013-08-18 15:14:46 | 景気政策史

 

上記で述べたように欧州諸国では英仏を中心として“自由貿易体制”が確立したが目を若干他地域に向けるならかなり様相が異なる物が展開されていた事が分かる。まずナポレオン戦後19世紀半ば過ぎまでの主なイギリスの関連した主な戦争を見てみるなら

ビンダーリ戦争(1817-1818)

マラータ戦争(第三次)(1817-1818)

ギリシア独立戦争(1821-1829)

ビルマ戦争(第一次)(1824-1826)、(第二次)(1852)

エジプト・トルコ戦争(第一次)(1832-33)、(第二次)、(1839-1840)

アフガン戦争(第一次)(1838-42)

アヘン戦争(1840-42)

シーク戦争(第一次)(1845-46)、(第二次)(1848-49)

太平天国の乱(1851-64)

クリミヤ戦争(1854-56)

アロー号事件(1856-60)

セポイの反乱(1857-59)

メキシコ遠征(1861-62)

ブータン戦争(1865)

であり欧州以外の地では(ギリシャ独立戦争、クリミア戦争以外)戦争が半ば常態化していたのが良くわかると思われる。又そのような中でビンダーリ、マラータ、シーク等一連のインドでの戦争、土侯国アウドの併合(1856年)によりインドのイギリス征服が成立(イギリス史:大野真弓編p518)、又、ビルマ戦争ではビルマに(第一次)アッサム地方の英領化を承認させ、又ブータン戦争でブータンの南部を手に入れた。(戦争・事変 全戦争・クーデター事変総覧:溝川徳二編 教育社1991年)

中南米ではナポレオン戦争中にスペインとポルトガルの植民地からの独立を求める諸国に独立を助けた代償として1810年にブラジルに関税引下げを主体とする不平等な通商条約を呑ませ

同様な不平等条約を1825年アルゼンチンと1834年にペルーと結び1850年代までにラテンアメリカは“自由貿易”とイギリスの利益の為に開放された。(秋田茂編:パクス・ブリタニカとイギリス帝国 ミネルヴア書房2004年p40)~

更に中国について見るならアヘン戦争で南京条約(1841年)、虎門寨追加条約により不平等条約体制の基本的条項が作られ、香港を割譲、広東等5港を開港等を行い、領事裁判権、軍艦停泊権が締結され、最恵国条款(片務的・無条件的・概括的)を結び義和団事件までに18カ国が条約を結んだが殆どの条約がこの最恵国条款を挿入した(姫田光義他著 中国近現代史上巻 東京大学出版 1982年: p32、116) 

イギリスは日本と片務的最恵国条款、領事裁判権を認める日英修好通商条約(1858年8月)を結ぶにあたり、日本との交渉を任されたエルギン伯はアメリカのハリスから提示された日米通商条約を土台としながら、調印されたものと粗同様の案を示し、“もし日本の委員が条約の実施を延引するなら自分は立ち去りやがて50隻の艦船を先頭に戻ってくるであろう”と威嚇した。(石井孝 日本開国史 吉川弘文館1972年: p378,380)

(因みに日本の特殊な所としては、1854年の日米和親条約、1858年の日米修好通商条約で片務的最恵国条款(日本開国史p350参照)、領事裁判権を認め、関税自主権の否定等の不平等条約を結ばされ、1858年イギリスとも上記日英修好通商条約を結び(日本開国史:石井孝p380)英米を中心とする欧米とは不平等な条約を呑まされたが、逆に1895年の下関条約で清に上記不平等条約を押し付け、又朝鮮とはやはり武力の威嚇の元、1876年に開港、領事裁判権、開港場に於ける日本貨幣の使用等々の不平等を内容とする“日朝修好条規”を押し付けた)(糟屋憲一 朝鮮の近代 山川出版社 1996年: p29)

これらに関し、19世紀前半から中盤にかけて英国外相、首相を歴任しその間イギリス外交政策に大きな影響力を持ったとされるパーマストンは1841年1月には“敵対する欧州の製造業が我々の生産物をヨーロッパ市場から急速に追い出しつつある。我々は世界の他の場所に自分たちの工業生産物の新たなはけ口を絶えず捜し求めなければならない。世界は広く、そこには我々の製造する全ての物を需要するだけの人々の欲求がある。そして市場を開き市場への道を確保するのは政府の仕事である。エチオピア、アラビア、インド亜大陸の諸国、ならびに中国での新市場は遠くない将来に我々の外国商業圏にとって最も重要な拡張になるであろう”(前掲 秋田茂:パクス・ブリタニカとイギリス帝国p36)とし、更に“貿易は砲弾によって強制すべきものではないが、しかし他方で貿易は安全なくしては繁栄できない。力の誇示無くしては獲得できない事がしばしばあるのだ”としてアロー号事件での武力行使等を正当化した。(所謂“砲艦外交)但しこれらに関しコブデン等は”穀物法廃止の為に戦った人々のうち自由貿易原理の真の意味を理解している者のなんと少数のことか“としてそれら中国やインドでの武力行使に反対した。(前掲 秋田茂編:パクス・ブリタニカとイギリス帝国p35)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 以下次回

 

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何度言ってもマクロ的効果を理解できない法人税引下げ論者。

2013-08-13 14:19:28 | 税、財政

 報道によれば安倍首相が法人税の引下げの検討を関連部局に指示したそうである。これは何度も言っているように法人税の引下げが国際間の法人税引下げ競争の一環である事は言うまでも無い。これは何度も言っているが”我が国が相対的に高いから”と言うのが主な理由でありましょうが、これは他国が追随すれば意味が無くなる 果てしの無い引下げ競争である。

 

その結果がナンであるかは言うまでも無く、再び三度の財政欠損の増大である。消費税の引下げも”財政再建のため”としているが過去のデータを見れば分かるように(昨今躍進した某野党共○党も指摘しているが)消費税導入後の消費税の累計増税額と法人三税減税額は粗額が等しい 即ちいくら消費税を増税してもそれは法人関連税の減税の穴埋めに使われるだけである 馬鹿を見るのは必死に消費税増税に耐えている一般庶民である。ましてこの間、みれば分かるように上場企業等でも役員の億円プレーヤーが続々出るような中でのこの法人税引下げ方向である。

 

首相は山梨の別荘で休暇中らしいが今現在この猛暑の中でも電気代を気遣って、エアコンもろくに使わず過ごしているであろう多くの低所得層一般庶民の生活など恐らく頭の隅にも無いでありましょう。年収80万円にも満たない国民年金生活者がこの10月以降またもや年金1%(最終で2.5%)もカットされる中で、アベノリスクの無策(年金カット、物価上昇、消費税増税のトリプルパンチである)に耐えている事なども眼中にない そういう首相の一刻も早い退陣を望むものである。それこそが世の為人の為である。

 

 

 

 

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