tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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観光地奈良の勝ち残り戦略(22)タコヤキストと語る地域の魅力

2009年02月15日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
2/14(土)、奈良女子大で「2008年度奈良女子大学 生活観光現代GPシンポジウム」を聞いてきた。テーマは「タコヤキストと語る地域の魅力」で、「奈良の『たこやき』を探せ!」という副題がついている。
※シンポジウムのポスター
http://www.nara-wu.ac.jp/news/H20news/090214.pdf



シンポジウムは2部構成で、第一部は熊谷真菜さんの基調講演と学生による活動報告、第二部はたこ焼きの実食会だった。開会時間の午後2時前に会場(生協食堂)に入ると、すでに学生たちが実食用のたこ焼きを焼いていた(写真の右にシンポジウムのポスターが見える)。とても良い匂いがする。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nara/news/20090214-OYT8T00969.htm



この現代GP(グッド・プラクティス)は「地域資源を活用した全学的教育プログラム」で、「古都奈良における生活観光」というタイトルがついている。

同事業のHPによれば、生活観光とは《地域の生活環境の再評価と観光による地域の活性化》のことで、《生活観光の発展は、地域資源の価値を高め、新しい奈良像の形成に直結すると考えます。本プログラムでは、地域の人々とともに地域資源の発掘と再評価を行い、それらの資源をコンテンツとする新しい観光の設計をすることで、地域づくりに貢献していきます》とある。これは頼もしいチャレンジである。
http://www.nara-wu.ac.jp/gp2007/



さて、まずはタコヤキストで日本コナモン協会会長の熊谷真菜さんの講演「コナモンでまちおこし」である。なおコナモン(粉もん)とは、粉をベースに作られた食べ物のことである。具体的な提言を交えたお話は、とても参考になる。ポイントをかいつまんで紹介すると…。


1.B級グルメによるまちおこしの必要最低条件
(1)地元(商店、家庭)での密着度
(2)単純明快な(わかりやすい)メニュー
(3)勢いとバランス感覚のあるキーマン…「必食仕掛け人+必食仕事人」、「いいだしっぺ・いちびり+仲間」
・私(熊谷さん)が最近注目しているのは、青森の「黒石やきそば」で、これは際立って面白い。
http://kuroishiyakisoba.com/ 


講演される熊谷さん

2.ご当地名物になれるか、5つのチェックポイント
(1)味…おいしい(わかりやすい味、見せ方、意外性)
(2)背景…歴史、文化、地産地消
(3)担い手、つなぎ手、いちぴり隊…若者、よそ者、バカ者
(4)名物度…まちのお宝自慢度、メジャー度(信頼度)
(5)話題性、認知度…ストーリー→メディア露出度
・有名な富士宮やきそば(富士宮市)は、おいしいだけでなく、ストーリーがある。富士宮市へ行き、富士山を仰ぎ見て(富士山頂=富士宮市)、神社(富士山本宮浅間大社)にお参りする。その後で富士宮やきそばを食べる、という仕掛けである。


富士宮やきそば。有限会社マルヤスのホームページ(楽天市場内)より
http://www.rakuten.co.jp/maruyasu/862433/862440/

3.奈良の「生活観光」を考える
・私は「シルクロードは麺ロード」と言っている。ある意味で、奈良は日本の麺類の発祥地といえるのではないか。
・しかし残念ながら、奈良の「食」は、あまり知られていない。奈良の人に聞いても「何もない」という。それは、あまりにもたくさんありすぎるからではないか。逆に「これしかない」という所は、それを言うしかないのだが…。
・奈良へ行き、行列ができている有名店で食事しても「おいしくなかった」という声を聞く。情報発信に問題があるのではないか。
・「観光」は易経の言葉「王たる者、その国の光を観(示)すべし」に由来する。「自国の良いところ(光)をお観せするのが、最良のもてなしになる」ということである。生活観光とは地域住民が暮らしの中の光を示す(観す)こと。しかし奈良には光があふれすぎていて(真っ白になっていて)見えないのではないか。
・また「観(かん)す」とは「示す」ことだが、「示」という字は象形文字で祭卓(神を祀るときに使う台)の意味。台の上に載せて提示しなければ、客には見えないし人が集まらない。「良いものを見せよう」(観光情報を発信しよう)という努力が必要だ。



4.奈良のB級グルメ・おすすめ4案
(1)奈良チーズ饅頭…吉野葛を使って、夏は葛饅頭、冬は蒸しタイプ。奈良は饅頭の発祥地(林神社)でチーズの元祖・醍醐(蘇)は飛鳥で作られた(飛鳥時代・文武天皇の命による)ことにちなむ。
(2)奈良うどん…奈良の穀醤(こくしょう・こくびしお=米・麦・豆などの穀物を発酵させて作った醤油で、今の醤油・味噌の原型)や醍醐(蘇)を使った濃厚特製ダレで食べる。飛鳥鍋の締めにも。
(3)奈良茶漬…奈良の米、お茶、茶碗を使い、旬野菜の煮しめ、奈良漬を添える。「奈良茶漬カフェ」、メイドカフェ風の「飛鳥美人カフェ」なども。
(4)(人も食べられる)鹿せんべい…ノンソルト(無塩)、ノンフライで、人にも美味しく体にやさしいせんべい。ミルクせんべい、ソースせんべい、たこせん(たこ焼きをサンド)など。「鹿しか食べないせんべいなんて…」倶楽部の発足も。


このほか熊谷さんは、たこ焼きが世界中に広まっていること(ソウルでは甘い生地で焼く、マレーシアでは回転寿司店で売っている)の紹介や、ここへ来るまでに2軒のうどん屋さん(麺闘庵、ふく徳)を訪ねてきたことなどを披露された。会場から、「ぶっかけそうめんのような料理はどうか」という質問があったが、「今もそうめんチャンプルーは出回っているが(麺が細いため)今ひとつインパクトに欠けるのでは」とコメントされていた。

休憩時間に熊谷さんと名刺交換をした。「tetsudaです」というと「日々ほぼ好日のtetsudaさんですか? 奈良に行ったらぜひお会いしたいと思ってました」と言っていただき、これは光栄だった。ついでに、私のお薦めのうどん屋さん(初次郎)とお好み焼き屋さん(団)の情報をお伝えしておいた。
※うどんの匠 初次郎(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f55e07001cee56296659ea8f17eb37e2
※お好み焼き 団
http://naraslow.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_65b5.html


団のお好み焼き・ミックス(08.3.5撮影)

熊谷さんのお話は、示唆に富んでいる。「奈良は食情報の発信が足りない」というのは私も気になっているところだし、「人が食べられる鹿せんべい」も、よく話題に上るが未だに実行されていない。林神社や蘇(醍醐)などの良いネタを持ちながら、それを生かしていない。「奈良うどん」は、うどん玉が商品化されているが、これを売り物にする店はほとんどない。

熊谷さんご推奨の富士宮やきそばは、今は亡き「浪花麺だらけ」で食べたことがあり《一見、ごく普通のソース焼きそばですが、食べてみるとラードのからんだ麺がパスタのような口当たりで、とても斬新な食感です。豚肉の背脂を揚げたという「肉カス」に花かつお、粉末の干イワシなどが渾然一体となって、にぎやかな現代風の味を醸し出しています。自家製ソースも地元産キャベツもよくマッチしていました。これはソース焼きそばの富士山です》と紹介したことがあった。
http://www.news.janjan.jp/living/0411/041106443/1.php

「こってり」味ばやりの現代にあって、そうめんのような「あっさり」した料理は受けない、ということなのだろう。

基調講演のあと、学生たちによる生活観光現代GP取組報告があった。「安全・安心のまちづくり実践講座」「文化発信の企画力をつける」「24 時間テレビスタッフ体験講座」「奈良の食をさぐる」「生活観光情報発信講座」「M-House Project ~道~」の6つである。


とろけるチーズ(たこ焼きの具)

いよいよ第二部はお待ちかね、たこやきの実食会である。手元のメモによると、ずらり並んだたこ焼きは、約10種類。オーソドックスなたこ焼きから、チーズ、奈良漬、豚肉、エリンギ、大和まな、エンドウ豆、キムチ、チョコレートなどが入った「変わりたこ焼き」が次々と焼かれ、約60人の参加者たちがどんどん平らげていく。これで参加費500円とは、激安である。



シンポジウムのレジメにはアンケート用紙がついていて、どれが美味しかったか記入するようになっている。奈良漬は意外と美味しかった、大和マナは塩漬だったので塩味がきつすぎる、どんな具でもチーズを組み合わせると味がまろやかになって良い 等々と書いておいた。


エリンギ(たこ焼きの具)

実食会のとき(他大学の)大学院生の話を聞いた。彼によると「奈良女子大の現代GPは大変成功している。なぜなら地域住民の支持を得ているから」ということだった。確かに「奈良の食をさぐる」(食材の生産現場等の見学などを通じて理解と関心を高めるとともに、地産地消や地域活性化の取り組みを理解する)では、奈良漬を使ったアイデア食品の開発やセブン-イレブンでの弁当販売など、全国的な話題を集めた取り組みがあり、地元も歓迎していた。
※ならならのお弁当(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f222a94c6cf603d2b33ab829aabd21a8


熊谷さんの実技指導。写真中央は、粉もん調査隊の渡辺裕文さん

シンポジウムで閉会挨拶をされた増井正哉氏(生活観光現代GP代表 生活環境学部教授)は、この事業のHPに《活動の中で、地域で活躍しておられる様々な方々とのつながりができてきました。新しい生活観光現代GPは、その繋がりをベースに進めていきたいと考えています》《全学部でひとつの教育テーマに取り組むのは、大学としてもおそらく初めての試みでしょう。試行錯誤の繰り返しになるかと思います。教員、学生、そして地域の皆さんで、一緒に良い教育プログラムへと仕上げていきたいと思っております》と書かれている。


同会場内で行われた奈良漬チョコレートの試食会

奈良には「生活観光」のネタがたくさん転がっている。神社仏閣を外しても、むかし町、職人さん、伝統工芸・伝統食、奈良晒・大和木綿、農家民宿、吉野林業 等々、数え上げればキリがない。産・官・学のみらなず、公・民が一致協力して、もっと奈良の生活観光を盛り上げていきたいものだ。
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2 コメント

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新しい試みを (三笠奈良漬3代娘)
2010-09-12 22:45:12
twitter3代娘です
奈良漬屋の3代目で奈良漬を使った新たな試みを色々考えているのですが。。。

流行るお店と流行らないお店の違いは何でしょうか?
ブランドの確立 (tetsuda)
2010-09-13 05:27:22
三笠奈良漬3代娘さん、コメント有り難うございました。三笠奈良漬さんということは、高田の大和食品工業さんですね、総理大臣賞受賞の。

> 奈良漬を使った新たな試みを色々考えているのですが。

以前「奈良のうまいものづくり」の創作料理に、「奈良漬ラーメン」のレシピの応募がありました。残念ながら不採用となりましたが。

京都・伏見の玄屋の「酒粕ラーメン」のように、スープにほのかな酒粕の味をつけ、細かく刻んだ奈良漬をトッピングすればイケるのに、と思いました。

> 流行るお店と流行らないお店の違いは何でしょうか?

奈良市内で流行っているお店といえば、M奈良漬店とY屋。M奈良漬店は、やはりブランドイメージが確立されているので、流行るのでしょう。故ミヤコ蝶々は、お中元もお歳暮も、ここの奈良漬でした。

Y屋は、立地の良さと、様々なサイズを選べたり、刻み奈良漬などがあるという品揃えの豊富さ。女性に受ける甘口にこだわっている、ということも人気の秘訣でしょうか。柴漬や浅漬、奈良の地酒、お菓子なども置いていて、ワンストップでお土産物が揃います。

奈良漬は、実用品というより、やや値の張る進物用ですので、指名買いしてもらえるだけのブランドの確立や、商品イメージの向上に取り組まなければなりません。効果的な広告なども必要でしょう。

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