意志による楽観主義のための読書日記

面白きこともなき世を面白くするのは楽観力、意志に力を与えるのが良い本 *****必読****推奨**閑なれば*ムダ 

箸はすごい Q.Edward.Wang ****

2017年09月13日 | 本の読後感

著者のエドワード・ワン、1958年上海生まれでUSニュージャージー州ローワン大学教授、北京大学歴史学教授でもある。箸を日常的に使う文化圏は東アジア一帯に広がり、人口にして16億人、世界人口の2割ほどにもなる。食事の方法を大きく分けると、手でじかに食べる手食、フォークとナイフ、スプーンで食べるフォークナイフ食、そして箸食である。手食から始まった人類の食事方法、箸には骨や木の枝を使った時代を含めると7000年の歴史があるという。

食べ物の原材料と箸文化には密接な関係があることが分かる。東アジアでの主食としては紀元前10世紀ころには北部ではキビ、稗や粟などのミレット類、南部ではコメであったが、小麦による麺類が食されるようになり、箸の文化が定着してきたことが考えられる。コメでもパラパラのお米は箸には向かないことが容易に想定できるが、もち米や粘り気のあるお米の炊き方が広まると箸による食事が適してくる。箸より以前に存在していた匙による食事と箸が共存する時代や地域があり、日本でいう鍋料理、中国では羹料理では大匙や箸で取り分けたうえで、食べるときには匙や散り蓮華と箸の両用が便利であるため、朝鮮半島では匙が主役となることが多い。また個食から大勢で一緒に食事をする合食では箸による食事が一般化した。

日本には遣唐使の時代、小野妹子が伝えたとされ、仏教や漢字とともに箸による食事が持ち込まれた。8世紀には広く普及していたことが出土品や文献から知ることができる。朝鮮半島でもほぼ同時期に箸文化が導入されたが、汁もの系を食べる際には匙が使われ、また肉食が多かったため、箸は金属製、日本では野菜、コメ中心だったため箸は木製が中心となった。箸という漢字が竹カンムリなのは、木製、竹製が多かったということなのか。中国のぜいたく品としては象牙製もあった。熱いものを料理したり、おいしく食べるには箸は最適な道具となる。また調理段階で細かく切って、料理として提供する習慣ではナイフは不要となり、箸は便利な道具になる。フォークナイフ文化圏では食卓に用意されるナプキンは箸文化圏ではあまり用意されない。食事時にマナーを守れば、口の周りや手を汚すことはないということだ。それでも日本ではおしぼりが用意されることもある。これは食事に対する清潔感からくる。

欧米人に比べて日本人にやせた人が多い理由にコメ、野菜中心の食事が挙げられることがるが、箸で食べることによりフォークスプーンよりも2割ほど食事時間がかかることから、結果的に食べる量が減る、という研究がある。また、箸を毎食使うことは手先を使うため手指と密接に関係する脳を刺激するため子供たちの脳活動を活発にする効果もあるという。

箸のマナーも紹介されている。あるべきマナーは箸文化圏では、持ち方などほとんど共通。箸を使ってコメを食べる際に、中国や日本は器と口の距離を縮めるため、お椀を手にもって口に近づけたうえで箸で運ぶ。朝鮮では匙を使うので器から匙で口に運ぶなどのマナーは少し異なる。

本書記述には、数多くの日本における箸文化の紹介があり、日本人による研究はもちろん、その他の箸文化諸国への言及もあることから、広く東アジア全体の研究を実施したことが伺え、興味を持って読み進むことができる。2016年6月発刊である。

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