てつりう美術随想録

美術に寄せる思いを随想で綴ります。「てつりう」は「テツ流」、ぼく自身の感受性に忠実に。

ある俳優の思い出(1)

2017年06月20日 | その他の随想


 少し前の話になるが、先月伝えられた日下武史の訃報は、文学に熱中していた若いころの自分を不意に思い出させた。

 といっても、日下の名前がどれほど人口に膾炙しているのか、ぼくは知らない。おそらく、知名度なるものがテレビへの露出によって大きく左右されることの多い昨今では、彼のことなど知らないという人が多いような気もする。

 実をいうと、かくいうぼく自身も、テレビのなかで動いている彼の姿を見たという記憶はほとんどないのだ。報道でも紹介されていたように、日下武史は劇団四季の創設メンバーのひとりで、テレビよりも舞台の人であった。同じ大学出身の浅利慶太は劇団を代表する存在としてみるみる有名になっていったが、あくまでも役者として舞台に立ちつづけた日下は、スターと呼ぶには程遠い地道な人生を送ったといえる。

 では、ふだん舞台をほとんど観ることのないぼくがなぜ日下の存在を知っているのか。それは、ずいぶん前にNHKで放送されていた「テレビ文学館」という番組で、彼が小説を朗読しているのを耳にしたからだ。その哀愁を帯びた声と、人生の機微に触れるような豊かな表現力は、たちまちぼくを惹きつけてしまった。

(画像は記事と関係ありません)

つづく
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