【戦場を北へ南へ鯉悠々と】哲露
GWのある日、荒川をママチャリで走った。
芝生が青々と茂り、河川敷に少ない柳もたわわに風に揺れていた。
行政かボランティアが植えたのだろうか。
純白、極赤や紅、黄、紺、紫など、花々は目にも艶やかに咲き誇っていた。
天空は筑波山まで遠く、広い。
海へと流れる川面の上を、降ろし風が滑っていく。
少年たちが白球を追いかけ、カラフルなボールを蹴っている。
老若男女が色とりどりのウェアで淡々とRUNしている。
外国製の高級自転車がその横を唸りを上げてすり抜ける。
わたしは、その同じロードを黙々とママチャリで走っていくことにした。
子供の日も近い。
川の上を、希望に膨らんだ鯉が登っていく。
東向島から海へ。
海から山へ向かう。
赤羽が近づくと、ゴルフ場のグリーンでパット中。
かつて、フルマラソンで走ったコースを自転車で走るのは気持ちいい。
水門がみえる。
岩淵水門だ。
大雨、台風など増水時には、この水門を閉じ、隅田川への流入を防ぐ。
徳川さんの成した水害対策事業が、ここでも活かされている。
封建の偉業が現代の繁栄を支えているんだ。
なのに、政は後退するような報道が続いている。
偽政者は、文学部の存在を軽視し、歴史に学ばないことで自分の思い通りにしたいということか。
ここで茶を飲む。
水面の輝きが心なし色を失くしたようだ。
時の政治は、市井の民度に比例するという。
このままでいいわけはない。
未来ある若者たちのためにも、僕らは学び、声をあげ、行動すべきだ。
たとえ、小さな一歩でも。
河川敷を50km走りながらそんなことを思う。
思いの丈を、書き続けよう。