モンテル

モンテル、入ってる。
モンテルは、行ってる。

木之本から塩津まで。

2009年06月18日 | びわ湖一周

びわ湖をまわる旅。

前回は余呉湖まで行った。
この湖は山に囲まれている。
JRは山の下をトンネルで貫いて塩津まで行っているが、道路は西に抜けていない。
ここからは歩きでびわ湖一周はできない。

従って私の本日の歩き旅の出発は、前回の通過地点である木之本からとなる。

山科駅から木之本駅までの電車は調べておいた。
目的地に行けるダイヤは1時間に1本しかない。
だから家を出るタイミングも1時間おきとなる。

その日の朝、出発の準備ができ、植物に水もやり、する事がなくなった。
1時間の出発タイミングの中間の時間に出発してしまった。
あんのじょう、途中の長浜駅で30分待つことになった。
この駅の改札の中はトイレも売店もなく、ただぼんやりするしかない。
30分後に家を出たら乗るはずだった電車がやってきて木之本で下車した。
到着時間は11:30。
調べておいたとおりだ。

前回、木之本でおいしいパンを食べた。
もう一度その店「つるやパン」に寄る。
タクアンのサラダパンと、新製品「ラスク」を買った。
出発にあたり、木之本のお地蔵様に旅の安全を祈願した。

木之本を出発。
西に向かう。
ここより北国街道を離れる。
歩く道は国道8号線。
しばらく歩道を歩き「大音」という地点で道が分かれる。
ここから県道514に入る。
この道はたぶん国道8号の旧道なのだろう。
車の少ない道だ。
まったく車が通らない。
人も通らない。
サラダパンを歩きながら食べる。
しょっぱいタクアンがうまい。

国道を離れこの道を選んだには理由がある。
山を貫いてまっすぐ走る国道。
そのトンネルが非常に長く、歩きだと車の排気ガスが苦しそうだからだ。
田圃の中を進み、道は登り始める。
伊香具小学校の前を通り、つづら折りを上る。
やがて到着したのは「静が岳トンネル」だった。
トンネルの中は暗い。
不気味だ。
車の多い道が嫌でこっちにきたのだが、トンネルのなかに、歩きで自分一人というのも、ちょっと考えものだ。
変なものがある。
トンネルの壁にペットボトルがぶら下がっている。
いっぱいある。
誰がやっているのだろう。
壁の出っ張ってる何かに、ひもを下げ、それに主にペットボトル、その他のポリ容器を、ブラブラといくつも下げてあるのだ。
変。
ひとりぼっちで、おかしなトンネルを進む。
出口のほうから音がする。
良かった、工事をやっているのだろうか。
しかし音は、ぶら下げられたアルミ鍋(コンビニで売っている、容器ごとガスレンジにかけることができる、うどんの容器)だった。
これが風に吹かれて、カラコロと音を立て、トンネル内に音を響かせているのだった。
何ともはや。

トンネルを抜けると絶景だった。
びわ湖が目の前にあった。
いくつかの突き出した半島、湖上に竹生島が見える。
湖岸には集落。
びわ湖を眼下に見ながら、曲がった道が下ってゆく。
直線の国道もここがトンネルの出口、車が音を立てている。

峠を下りきる。
県道が8号線に合流する。
飯浦だ。

いったん合流した道は、ここから先、また国道と県道に分かれる。
国道は8号、県道は336号。
道が分かれる理由は、先ほどと同じ。
県道は旧道で、国道はトンネル。
そして私は、交通の激しい国道を避けて、半島を回るルートへと進む。

今から歩く半島、突端の地名は藤ケ崎だ。
湖まで迫る山のふちを道が通る。
右に山、左に湖面。
この旅で、びわ湖湖畔を歩くのは、これが初めてだ。
湖面に浮かぶ水鳥。
鵜だ。
ポツンと数羽。
近年びわ湖で鵜が大量繁殖して迷惑がられている。
だが、湖面をたたきながら飛び立つ姿は、悪くない。
風情がある。
湖上に浮かび首をもたげる姿は、ネッシーを水墨画に描いたような風情だ。

道は淡々と続く。
暑い。
結構距離がある。
車は走っていないが、時々大型車両が行く。
この先に何かがあるわけではない。
大型車は、道路脇のパーキング・スペースに、アイドリングしたまま駐車している。
中で運転手は休憩しているのだろう。
これらのスペースは、本来マイカーでドライブする人に、ちょっと停めてもらって、きれいなびわ湖の風景を見てもらうためにあるのだろう。
だが、その目的には使われていない。
つまり今やこの県道は、時間調整もしくは疲労回復のために、トラックの運転手が入る迂回路なのだ。
ましてや、歩いている人はいない。
だが、風景は絶品だ。

塩津が近づき、湖は北欧のフィヨルドの雰囲気だ。
直接山が湖に落ち込んでいる。
人がいない。
半島を回りきり、塩津の町並みに入る。
ここから敦賀まで「塩津海道」ということになる。
読者は「街道」が「海道」に変化したことに注目されよ。
塩津海道は、海に向かう「海の道」なのである。
ただし「塩津街道」という表記も、まったくないわけではない。
国道と平行する民家の間の道が塩津海道の旧道だ。
古い家が並ぶ。
この風情がいい。
好きだ。

近江塩津駅まで歩き続ける。
塩津、この先は福井県だ。
JRの近江塩津駅から先は行ったことがない。
また、今回の歩き旅は、県外に出ることはない。
ここの山の向こうはもう敦賀である。
海だ。
びわ湖一週が終わったら、機会を見つけて、塩津~敦賀の歩き旅もいきたい。

近江塩津駅は、びわ湖を取り囲むJR西日本の重要な駅だ。
北陸本線と湖西線、2線が近江塩津で合流する。
米原から始まり湖の東側を走りぬけ、余呉湖をかすめ、山の中を貫いてきた北陸本線。
山から顔を出すこの線路にあわせるため、湖西線はものすごく高い位置を巨大な高架で走っている。
重要なターミナルなのにこの駅は小さい。
駅員はいないが、うどんの売店がある。
改札には近所のおばさんが座る。

駅に着いたらちょうど帰りの電車が出る時間だった。
タイミング良く帰路に就いた。

本日の行程、20000歩。3時間。12キロ。


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