居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

横浜横須賀放浪記 後編

2016-12-09 15:51:10 | 銭湯
横須賀3日目は後輩達と飲みの約束を入れてしまったので既存コースを辿る。
飲みの場所は京急田浦のおかね。
ということは必然的に立飲みと銭湯は決まってしまう訳だ。

仕事終わってさっさと京急田浦へ向かう。
おかねでの飲み始めは19時頃と聞いていたのでまずは立飲みです。

前回の京急田浦編を書いたとき、酒屋の名前を失念し、後から「京急田浦 酒屋」で検索掛けて当りをつけて三好酒店と日記に書いたのだが、ものの見事に間違ってました。
京急田浦からすぐの立飲みコーナーのある酒屋は三杉商店さんでした。
もし、この日記読んで「よっしゃ、行ってみよ」とか思って京急田浦まで行った人がいたらスンマセン。
立飲みコーナーで瓶ビール注文して、速攻訂正しましたわ。
今回はおかね待ち合わせで完全別行動、よって立飲みも一人だ。
お客さんは奥の方で同じように瓶ビール飲んでる人が一人、立飲みコーナーとは反対の店舗側で三人程飲んでいるようだ。
前回来たときに後輩が頼んだ茹で卵が旨そうだったので頼んでみる。
おかあさんが丁寧に殻を剥いてくれた卵を、陶々酒のカップにのせて食卓塩の瓶と共に出してくれる。
綺麗に剥けた卵に塩を振り、かぶり付けば黄身は固まっているがしっとりと柔らかい絶妙な茹で加減、高温で茹ですぎたボソボソの黄身なぞ犬に食わせろ。
こんなこと言ってるから、いつまで経ってもスペンサーのような渋い男になれねえんだ。
まあ固茹でに生きるには、色々なものを背負い過ぎだしな。
卵料理は数あれど愉悦的に最たるは、卵かけご飯かねえ。
まともな死に方が出来るとは毛頭思ってないが、忌まわの際に食いてえとか言いそうな気がする。
阿呆な事を考えながら、卵を片付けビールを干す。
さあてと風呂いくかな。

当然銭湯も前回同様竹の湯である。
今日の番台は大おかみかな。
時間はあるので身体を流した後、ゆっくり浸かり暖まる。
昨日とはうってかわり急に冷え込んだので、湯が熱く感じる。
十分暖まった後、徹底的に髭をあたる。
普段、銭湯セットにいれている使い捨てではなく、シックのハイドロ5とFXの二本使いで、娘にすべすべとーさんと言われる位に剃りあげる。
時間あると下らねえことするよな、俺。
40分近くも風呂を使い汗が退くまで脱衣所でゆっくりしても、竹の湯をでて20歩も歩けばおかねの目の前である。
着いて程なく後輩達もやって来た。

おかねでは茸で鍋でもと頼んでいたが、おかあさんが忙しくまだ茸買って無いとの事で後輩と二人で近くの京急ストアまで買い出し。
茸やら惣菜やらで結構買い込み、おかあさんに料理してもらい茸鍋。
いや食った食った、頑張ったけど全部は無理でした。
それでも一人2000円位で済んでしまうあたり、安いよねえ。
後輩コネクション、有難いことで。

翌日から休みがあったのでそのまま後輩達と京急田浦で別れて実家に帰省。
流石にその日はすぐ寝たわ。

翌日朝飯は流石にパス。
昼まで本読んだり、ソシャゲのイベント進めたり。
昼飯のあと、横浜まで帰ってるのでいつものようにコンバット越前の科白を一、二の三、ハイッ、「折角だから、俺は銭湯に行く事を選ぶぜ!」
とまあ夕飯は家で食うことにしてるので、家から然程遠くなく立飲みも近くに有りそうなのは小机の藤の湯なんかが良さそうだ。
銭湯物語第二十四回で紹介された銭湯だ。
直接近くに行ける路線はないが、手近な所までバスかな。
時間合わせて近くまで来たが、まだ少々早いかなというわけで、食べログで当りをつけた立飲みを確認するも既に無さげ。
まあ酒を飲むところなぞどうとでもなるので、藤の湯の方に歩くと不自然に広い謎の更地。
マジかよ!またやっちまった!
携帯で検索すると8月で廃業してしまったそうである。
こうなると銭湯物語で取材した銭湯全部ヤバいんじゃねと思えてくる。
もし藤の湯があれば立飲みから、鶴見川畔にある阿部商店までのコースも視野にあったが、銭湯の時点で頓挫しちまったぞ。

こうなるともう意地と云うか何と云うか。
小机駅から東神奈川方面へ横浜線に乗り、電車の中で次の銭湯を考える。
漠然と未だに一軒も押さえていない鶴見区へ向かう積もりでいたので、西寺尾に福助湯もあったなと気付いたのは大口を出た後だった。
大口なら立飲みも近くに何軒かあったのにね。
まあその時点で鶴見区の中でも最も移動が大変な安善の安善湯に決めてた訳だ。
鶴見駅で鶴見線に乗り換え、鉄ヲタ成分も少しはある俺だが、撮り鉄乗り鉄成分フリーなため、はじめての鶴見線である。
安善駅までは5駅、その筋には有名な居酒屋国道下がある国道駅を過ぎると、一気にローカル線風味が増すな。
安善駅はホーム端から階段で下に降り線路を渡って改札という「おいおいこんな駅まだあるんだ」って感じだが良く考えると北鎌倉もそんなだった。
藤の湯に口開けから行くつもりで早い時間から動いていたので、安善湯についたのも開業間もない時間であった。
意外と小さな建物だなというのが第一印象、煙突は目立つが周りの住宅街に比べ背の高い建物とは思えなかった。
暖簾をくぐり脱衣所に入ると流石に年代物の風格だ。
他にお客さんはまだ居らず、まだ番台に入っていなかったおかみさんにお金を払う。
服を脱ぐのももどかしく、ロッカーへ詰め込むと早速浴室へ。
安善湯の特筆すべき点はその浴室そのものなのだから。
写真で何度も見たアールデコ調の八角型の浴室中央に二つに分けられた真円の浴槽。
正面描かれるペンキ絵は故早川利光師の富士山、右手の壁には近江とあるので琵琶湖のようだ。
大曽根の太平館もそうだが、力強いタッチを感じさせる絵だ。
外からは見えない位置なのか、天井は結構高く、湯気抜きは丸く、更に高く切られている。
いや良いなあこれ。
ひとしきり感動した後身体を流す。
さてと浴槽へと脚を浸けるも、こりゃ熱い。
水栓はあるが、埋めた後に常連さんが入って来て、「チッ、こんなに温くしやがって」なんて顔をされたらチキンな俺のハートはすぐさまその動きを止めてしまいかねない。
とりあえず堪えるだけ堪えた後、カランの冷水で冷ます事とした。
暫くして常連さんらしき人が一人入って来る。
おもむろに湯加減を確かめると「熱いでしょ」と水栓を開け埋め始めたのであった。
常連さんと少し話をして上がる、今日は結構気温が下がったので上がり湯はいつもの冷水ではなくぬるま湯にした。
脱衣所で短い髪が乾く位のんびりしてから暇した。

安善の駅前にほてい屋酒店という立飲みがあるのは行き掛けに確認済み。
安善湯への道すがらにも酒屋が一軒あったが、鶴見行きの電車の時間も未確認だったので駅前へと足を向ける。
ほてい屋は安善駅の改札から道挟んで目の前、これ以上ホームまでの距離の短い店はちょっと記憶にない。
表に簡易テーブルが何個か設えてあり、かなりの人が訪れる様相だが時間が早かったのかまだ他の客の姿はない。
最初、冷蔵庫が見える店舗側の引戸を開けようとして、開かなかったのでまだ開いてないのかと思ったが左手に立飲みコーナーの入口があり、そちらには一人お客さんがいた。
立飲みコーナーはかなり広く、奥まで続くカウンターと島テーブルがあり、荷物を掛けるフックなども据え付けられ立飲みの為の装備が充実している。
勝手が分からないので、カウンターの中にいた女性にビール下さいと声をかけると、サイズや銘柄などを詳細に聞かれたので、俺の定番サッポロ黒ラベル350缶をお願いした。
先客は飲んでいたビールを空けるとすぐ出て行ってしまったので、立飲みコーナーは俺一人。
壁にはつまみ等の短冊か貼ってあるが、次の電車を検索したところ10分位しかなく時間の読めないつまみは諦め店の観察に徹する事にした。
店内の壁には雑誌か何かで掲載された記事が貼ってある。
それによるとこのほてい屋酒店は多い日には200人もが来店するモンスター立飲みらしい。
営業時間は鶴見線の最終電車の一本前の電車の時間、駅まで10秒もあれば行けるだけにギリギリを攻める人も多いんだろうなあ。
記事の片方はムック本に掲載されてたようなので、本のタイトルをメモっておく。
チキンな俺がビールを干したのは電車が来る3分程前、この店に来るには時間が早すぎたようだ。
今度来るときはお客さんで賑わう時間に是非来ることにしよう。

鶴見で乗り換え横浜まで移動。
いつまで経っても終わりそうにない横浜駅の工事をサグラダ・ファミリアと比べ揶揄する事もあるようだが、たまに帰って来ると色々変わっていると感じる。
ザ・ダイヤモンドに降りるエスカレーターなんか増えてるし。
横浜で本屋と言えば昔も今も有隣堂とは思っているが、移転以降使い勝手が悪くなった感は否めない。
とはいえ、規模や他店舗との連携を考えると、本を探すならやはり有隣堂になる。
銭湯の本と先程ほてい屋で見たムックを検索、西口店に在庫なしだが他店に在庫ありと出る。
うーむ、他店といえばまず本店だろうなあ、流石に伊勢佐木町行ったら飯が遅くなりそうだし明日にするか。
翌日、昼飯後再び横浜に。
サービスカウンターで確認してもらうと予想通り2冊共本店に在庫有りだった。
取り置きをお願いし関内へ移動、さっくりと受け取りさっさと帰る。
随分ドライな感じになっているのは、財布の中身のイエローシグナルが点灯したからである。
どうしても欲しい本はすぐ買ってしまうのは、昔からの悪い癖だな。

横浜に来て、もう一つ探していたのが麻辣ピーナッツである
伊集院光がラジオで話していたのを聞いて、一度食ってみたいと思っていたが横須賀横浜とあちこちコンビニをまわるも見当たらず。
中華街にある料理店でオリジナルを売ってるらしいがもう横浜まで帰って来ちゃったよ。
鶴谷町に支店があるらしいが、営業時間外れたし。
仕方ねえ、広島帰ってから通販しよ。

仕事に戻り横須賀最終日、昼からフリーになったものの財布の中身は既にイエローを通り越しレッドに近い。
流石は日本一高い公衆浴場料金が地味に効いている。
じゃあ金の掛からない遊びをするか、変な所で昼からビール飲んでて通報されても困るしな。

田浦と言えば梅林が有名らしいが、最近グーグルで田浦と打つと続けて出る検索ワードに廃墟と出てくる。
田浦大作町に廃墟集落があるらしくYouTubeでも動画が何本も上がっている。
だが廃墟より俺が気になったのはある神社、その名も伏見白赤稲荷神社だ。
本家京都の伏見稲荷の様に鳥居の立ち並ぶ参道の写真を見て、ちょっと実物を見てみたくなった。
JRの田浦駅はトンネルとトンネルの間に作られた短い駅で、停車する時横須賀側の1両はトンネルに頭を突っ込んだ状態となるのでドアが開かない。
駅前から山側に歩くとすぐ国道16号の下りを渡り、100メートル弱で上りを横切る。
白赤稲荷のある大作町へ行くなら横浜方面に少し歩き、田浦町3丁目辺りから登れば良いが、地図を見ると田浦町1丁目にループになった道がある。
ループなど呉の音戸や早瀬で見慣れたものだが、暇潰しともののついでというやつで、住宅街の細い道を歩き始める。
天気は上々、大汗かかない程度にゆっくりと歩を進めるがループにつく頃には上着を脱ぐ位に暑くなってきた。
中が児童公園になったループを越えると尾根筋の道に合流し、今度は一気に谷へと下る階段、谷に流れる川まで下れば後は川沿いに登っていけば田浦大作町へと向かっていく。
京急の下を抜けて、3、400メートル程進むと民家の脇に鳥居があり、はたして白赤稲荷と幟が立っている。
予想ではもっと登ってから入口があると思ってたので、民家で庭仕事をしていた人に聞いてみると、やはりここから登るので良いようだ。
何日か前に降った雨で道はぬかるみ、所々で滑り易いがグレーチングを利用して階段が整備されているので歩き辛くはない。
しばらく登ると小さな畑を回り込むように道が続いて、ようやく朱色の鳥居が見えてきた。
所々で痛みの激しい物があるものの、本家伏見稲荷のように鳥居が立ち並ぶ参道は中々神秘的だ。
参道は途中で左手に曲がり、右手に社殿が見えてきた所で鳥居の列が途切れる。
誰も居ないかと思っていたが、カメラを持った人が居たので黙礼して通りすぎる。
世の中には物好きが、結構いるものだ。
鈴から賽銭箱まで遠かったので先に賽銭を入れ、鈴まで戻り鈴を振る。
世界平和を願うほど博愛主義者ではないので、娘の健やかな成長を願っておく。
帰り道も滑らないようにゆっくりと、参道からの眺めはかなり良く海の方まで一望できる。
海の向こうに見えるのは富津辺りだろうか、すっきり晴れていればかなり遠くまで見通せるようだ。
参道から出て、靴の泥を払っていると先程の人も降りてきた。
同じように田浦駅に向かってるようで、やはり物好きな人と確定だな。
田浦の商店街、と言っても昔ながらの店がぽつぽつと残っている寂しい通りだが和菓子屋、肉屋などを覗きながら歩く。
肉屋のコロッケなど揚げ立ては外れを引く方が難しいし、和菓子屋に売ってる素甘も旨そうなのだが今はそれより冷たい物が欲しいわ。
それも大人向けのやつ。
けどJRの田浦周辺にはコンビニとか無いので、結局さっさと中央に出てしまうことにした。

コンビニでビール一本買って、喉を鳴らす。
明るい内から酒飲むのは堪えられんねえ、はー生き返った。
後は上町の惣菜屋でメンチカツやコロッケ買ってビールを飲み、ショッパーズで巻寿司や焼売買って酎ハイ飲んだりして、ぐだぐだしてから横浜横須賀の放浪を締めました。

佐世保編から続いて長編三本のアップとなりましたが、さっくり読み返した感想を一言述べて締めましょう。
「やはりこいつ頭おかしい」
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横浜横須賀放浪記 前編

2016-12-09 15:49:23 | 銭湯
昨年10月以来の横浜での仕事以来久々の関東出張である。
ちょっとやり過ぎた感もある佐世保に引き続きの悪行の記録である。

横浜の銭湯の廃業が続いている話を少し前の記事にも書いたが、まさかの西区太平館、金沢区の能見堂赤井温泉の廃業の報を聞き、流石に焦る。
赤井温泉は少し前にTVKの銭湯物語で取材されて間もない廃業、西区の太平館も銭湯物語第三回に取材され、改装済みの大店で早期の廃業は全く想定外だった。
そりゃ焦りも生まれようってものですよ。
飲み屋近いからといつも同じ銭湯行ってる場合じゃない。

そんな訳で初日、仕事は昼過ぎに終わり同僚と二人街に出る。
ラーメン神豚の小といった遅い昼飯のあと、同僚はネカフェ行くわと別れ、俺は銭湯の開業時間まで本屋。
ぴあの横須賀食本2017年版をぱらぱらと立ち読み、買い続けている小説の新刊が出ていないかを確認。
漫画の新刊もチェックした後、佐世保の図書館で見た、町田忍先生の銭湯研究本を探す。
やはりないな、出版社自体大手でもないようだしこれは実家帰る時に横浜有隣堂かな。
他にする事もなし、腹は昼のラーメンでまだ一杯だ。
横須賀モアーズのベンチで携帯で時間潰しする不審なおっさんが一人いましたとさ。

当り湯は横須賀中央駅からバスなら5分程、歩いても2、30分程度の不入斗公園の向かいにある。
腹ごなしの為にも歩きを選択、上町商店街をぼちぼちと歩く。
和菓子屋、コロッケなどの惣菜専門店などを見分しつつゆっくりと歩く。
雲は低かったが傘を出す事もなく、不入斗公園の三叉路に着く。
左手は衣笠へと続く道、以前銀泉浴場へ行ったとき衣笠から歩いて来た道だ。
そちらに曲がらず右手側すぐに当り湯がある。
TVKの銭湯物語の栄えある第一回に選ばれた激渋銭湯である。
以前は営業日が合わずに銀泉浴場に行く事になったが、今日はしっかりと確認済み。
曇り空に煙突の煙は確認出来なかったが、果たして玄関に暖簾はちゃんと下がっていた。
台形に切られた玄関は正面に四枚程の小さなタイル絵、三和土の両側はすぐ引戸である。
下足箱に靴を入れる、トレッキングから履き変えたので大抵の下足箱に入る様になった。
番台で日本一高い公衆浴場料金470円を払う。
銭湯料金を払うのが嫌な訳ではない。
俺の払う料金が銭湯存続の一助になれば喜ばしい限りだが、地元の公衆浴場料金が日本一高いというのが少々面白くないだけの話だ。
脱衣場の広さは二間半?三間四方?建具の幅がまちまちで分かり辛いぞ。
床は板張り、天井は格天井、仕切りの上側は自然木があしらわれて風情があるがあれ背の高いやつは女湯見えるんじゃね?
外壁側にロッカーが横に一列、入口側の五個はまだ新しく鍵もちゃんと付いているが、浴室側は古く扉の真ん中に穴が空いている。
どうやら昔ながらの落とし込みの鍵の様だが、既に物入れ替わりに使われているようで中を伺うことは出来なかった。
その五個しかない新しいロッカーの前にマッサージ椅子があり、更に小さなテーブルと椅子もあるため、ロッカーが非常に使い辛い。
幸い一番端が空いていたためそこに荷物を入れることができたが、常連さんは専ら脱衣籠を利用するようだ。
外壁入口側に水槽が置かれ、外に出る引戸がある。
外に休憩所や池などがあるようだが、この季節勇んで出る必要はないと思う。
高い位置にある明かりとりの窓は正方形のガラス周りに巻くように組んであり素敵な感じだ。

さてさて浴室も広さは脱衣場と同じくらい、島カランが3×2で鏡もなくカランのみ。
両壁のカランは鏡シャワー付きだが鏡の縦幅がかなり短い。
著しく人様より座高が高い訳ではないが、髭を剃るのに屈み込まなければならない感じだ。
浴槽は奥壁に浅湯と深湯、仕切り壁脇に下風呂へ通じる扉がある。
浅湯と深湯の仕切りは蛇口の所でなだらかに盛り上がり、古民家が描かれたペンキ絵の下にあしらわれた自然石へと続く。
富士山は女湯の方のペンキ絵に描かれているようで男湯からその頂部を見ることができる。
ペンキ絵は笹野富輝師作、他では見たことがない。
湯温はかなり熱めに感じたが温度計とは合ってなさそう。

浅湯でゆっくりしたせいか初冬にしては暖かい日だったので、中々汗が退かず脱衣所でビールを一本空けることにした。
10円玉を減らすため小銭を集めて払うと助かりますと言われた。
そうか、こういう所にもこちらが気を使えることが有るんだと改めて気付かされた。
今度から出来るときは10円玉を積極的に使おう。

さて、ビール一本飲んじゃったので面倒になり帰りは中央までバス。
あっと云う間に中央に戻り一軒目の店を考える。
ビールはもう良いかなと、ヒトモトの扉をくぐった。
酒のデパートとうたうヒトモトの立飲みコーナーは奥に長い鰻の寝床のような立飲みだ。
かなり人がいたが幸い奥の方に誘導されカウンターに着くことができた。
ここはおすすめの日本酒が手頃な値段で飲めるので、せんべらーに有難い。
早速おすすめ日本酒メニューから二兎300円を注文。
俺の後に入って来て隣に立った人も日本酒からだ。
つまみを悩んでいると、隣の人が湯豆腐を注文、便乗して注文する。
湯豆腐は辛子付けますかと聞いてくれるので勿論付けてもらう。
横須賀の湯豆腐はこうでないと。
隣の人へ然り気無く醤油差しを回し、小さくコミュニケーションをとる。
こういう間合いが良いよな、立飲みって。
鼻に来る位辛子を効かせ湯豆腐半ばで、二杯目の厳270円を継ぐ。
その厳が無くなる頃、湯豆腐も綺麗に片付いた。
うーん、もう一杯位飲みたい処だな。
カウンターに残っているのは250円、短冊に丁度同額のにごり酒があったので注文したが、何もつままないで飲むのもあれだし、ポケットから60円を出して塩豆をもらった。
適度な塩気がつまみに良いが結構量があるな。
何とかにごり酒一杯で片付けて、ご馳走さまでした。

酒も四杯飲んだし、この男が帰るかと言えばそりゃ帰らないよな。
ではどっか居酒屋かと云うことになるが日曜日はあまり開いてる大衆居酒屋がない。
しかし基本無休の酒飲みの強い味方が居酒屋天国(てんくに)である。
ヒトモトから歩いて一分、幸いカウンターが空いていたのですぐに入れた。
黒のホッピーを頼んで、品書きとにらめっこ。
実は昼の神豚が影響してがっつり食うほど腹は空いてない。
程々のつまみにしておくかと、レバカツと砂肝炒め葱ソースを注文した。
テレビに流れるニュースを眺めながら、レバカツをかじりホッピーを啜る。
砂肝も普通に旨い。
喧騒の中で自分の時間を十分堪能しその日はそれで店を出た。
でも帰りにコンビニでパスタとか買ってるけどな!

翌日は夕方までみっちりと仕事ということで宜しく、決して俺は暇だったとかそういうことはないということで。

さてと今日も銭湯へ。
兎に角いつ無くなるか分からないから、行けるところは行っておこうと吉倉の新湯に足をむけた。
国道16号添いのJR横須賀、京急の逸見と安針塚からどれも微妙な距離にある。
バスで行けば近くまでいけるが、基本的に街ウォーキングも兼ねるので安針塚からとなる。
うーむ、ものの見事に新湯までに飲めそうな店は見付かりませんでした。
こりゃ今日も中央かな。

新湯の玄関は一対の引戸の両脇にタイル絵、そして引戸奥の三和土の奥壁にもタイル絵のある贅を凝らした造りだ。
暖簾をくぐり下足箱に靴と大して中身の入っていない財布を入れておく。
番台のおかみさんにお金を払い、脱衣籠へ脱いだ服を入れていく。
そうです新湯にはロッカーなど無いのです、これまた銭湯マニアとして1度は体験しておかなければいけない事でしょう。
まあ呉市音戸の地蔵湯のように鍵の掛かるロッカーがないとか、倉敷の大黒湯、昭和温泉のようにお客さんがロッカーに鍵を掛けないのは今までにありましたが、最初からロッカーなど軟弱なものはない!と言い切ってしまう男らしさです。
一応知ってたんで、下足箱に財布入れたんですけどね。
板張りの床に壁紙貼りの番台、鏡に冷蔵ケースと他はオーソドックスな脱衣所から浴室へ。
白系のタイルが多く使われた浴室も東京型のオーソドックスタイプで、奥壁には富士山のペンキ絵が描かれています。
一度は無くなってしまったらしいペンキ絵ですが、有ると無いとでは銭湯としての風格に歴然とした差が出ることは否めないと思う。
その前に浅湯と深湯、カランは両壁と4×2の島カラン、島は当り湯と同じで鏡もないが端に公園にあるような水飲みカランがついている。
仕切り壁にはタイル絵があるがこれが渋い。
入口側に岩場、下の方に水面と幾艘かの帆かけ船、そして何羽かの海鳥の他は殆どが真っ白。
正に茫洋たる海の広さを感じさせる空白部分を上手に使ったタイル絵だ。
天井も白く高く湯気抜きの窓も大きい、三間四方の浴室がここまで広く感じる事も中々少ないだろう。
いやいや良い風呂だった。

安針塚に至る道には結局立飲みやコンビニがないので汐入まで出て、英義酒店に寄ることにした。
店の外まで出て飲んでいるのは数人、この店では空いている方だ。
ホッピーの焼酎半分を注文、お父さんもお兄さんも元気そうだ。
つまみにミミガーを頼むと隣にいたお姐さんにミミガー美味しいよねと声を掛けられる。
沖縄出身のお姐さんはミミガーのピーナッツ合えが美味しいよと教えてくれた。
お父さんに今年はおでんやらないの?と聞くと、調子が良くないから今年はやんねえかもしれねえなあとおっしゃっていた。
ここのおでんは旨いから残念だけど、お父さんには元気でいてもらわないとね。
お姐さんと談笑した後、追加したリンゴハイ半分を干して暇した。

当然の様にもう一軒、今度は座れる所で。
中央まで歩き中央酒場を覗くと、カウンターが空いてるようなので暖簾をくぐった。
昨日に続いて気温は高めだったので、瓶ビールを注文。
さあて今日はなにをあてにしましょうかね。
英義でミミガーを摘まんだだけなのでがっつりとカツ煮、そして横須賀らしくポテチキャベツを注文。
ポテチキャベツは横須賀のローカルフードの一つ、ポテチパンの具そのものである。
といっても俺はまだポテチパンなるものを食した事がないので、一回食って見ようと思った訳だ。
刻んだキャベツと砕いたポテトチップスのりしおをフレンチドレッシングで合えてあるだけだが結構旨いぞ。
簡単だし今度自分でもやってみるか。
カツ煮は比較的当たり外れの少ない居酒屋つまみだが、中酒のカツ煮は大当たりの部類だと思う。
ボリュームといい、味といい申し分なし、ビール大瓶と合わせれば腹も一杯になるわ。
流石に帰りのコンビニで弁当系は買わずに済んだ。
まあ帰ってから買い置きしていたエビのビスク食べたけど。

長くなったので後編に続く。



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佐世保放浪記

2016-12-09 15:40:56 | 日記
久々の更新である。
9月から大きな仕事が立て続けで、殆ど地元に帰れない日が続いていたためと言い訳しておこう。
その忙しいはずの日々でのことを思い出して綴っておこうか。

何日か佐世保で滞在する日があったので、その間の出来事。
木場田湯も閉業してしまい、佐世保市内の昔ながらの銭湯は徳の湯だけになってしまった。
少し離れた所にはスパ銭や日帰り入浴出来る温泉等もあるが流石に仕事が終わってから行くには面倒だし、市内で酒を飲むのに便利が悪い。
まあ必然的に徳の湯一択となる訳である。

佐世保の繁華街の中心、四ヶ町からアーケードを市役所方向へ。
昔ながらのデパートといった風情の玉屋を過ぎてしばらく行くと小さな公園があり、過ぎたところを左に曲がればすぐ、徳の湯へと上がる階段が見える。
横の通路に貸し切りの家族風呂があるような看板があるが、当然そっちに用はない。
2階部分が銭湯徳の湯であり、ビル型銭湯には珍しく番台だ。
全国でも安い方の銭湯料金350円を払い、靴を脱いで脱衣場へあがる。
幅奥行き共に三間程の脱衣場だが、階段部分があったりとお世辞にも広々としてるとは言い難い。
まあお客さんでごった返してる訳でもないので、問題はないが。

浴室部分も同じく三間四方程だろうか。
3×2の島カランが一つ、外壁仕切りに5個程のカランが並び、奥壁前に浴槽が3つに仕切られ並んでいる。
装飾等は見当たらずシンプルな空間だ。
カラン、シャワーの湯勢はメンテナンスがしっかりされているようである。
身体を流したあと、温めの浴槽でゆっくりし一時間近くもいただろうか。
お陰で飲みに行くまでに、また少し汗をかいちまった。

四ヶ町方面に戻る道すがら、玉屋デパートの一階部分を一回りしてみる。
半分が服飾、半分が生鮮食品と他では余りみない造りだが、俺が見るのは当然生鮮食品売り場の方である。
今回佐世保に寄る前に色々調べて、ローカルな名物を試してやろうと考えていたのだが、その中の一つが、ラビアンローズのサンドイッチである。
余り信用していない某サイトでもコアなファンがついているらしく、まあ飲んだ後の夜食にと思って、一箱620円の中々重みのあるサンドイッチをゲット。
ディバッグを使わない時にちょっとした物を放りこむユニオンバッグにサンドイッチを入れ、いざ酒を飲みに行かん。

ここ最近、佐世保の町ですっかり通いつめているのが、MRの佐世保中央駅すぐそばの酒品館いしまるである。
二坪程しかない立飲みだが、ここが楽しい。
元々酒屋なのでビールなどは殆ど酒屋の販売価格だ。
また奥のリーチインに10種類ほど日本酒が入っており、飲み比べセット800円で3種類を自分で選べるのも嬉しい。
今日はキリンのラガー大瓶から、お試しセットで。
長珍の純米吟醸、宗玄の純米、越乃寒梅の新製品、純米吟醸の灑(さい)を試す。
俺的には長珍が好みだが、最近は何を飲んでも旨いと言っている気がする。
まあ、安酒でも楽しく飲めば旨いのは確かだ。
ここは初見のお客さんにもフランクに声をかけてくる常連さんも多く、俺も2回目位のとき、商店街の偉い人に気に入られて飲みに連れていかれたことがある。
他にお客さんがいなければ店主夫妻と話ながら、しんみりと飲るもよし。
繁華街から10メートルも離れていないエアポケットのような空間だ。


さて、酒だけではなく食い物も少しは入れんとなと二軒目に入るは、溝口商店。
入口から中を伺う位では何を商っているのかよく分からない店構えで、一見食料品店か何かに見えるが、その実は佐世保の歴史の生き証人的な老舗の食堂である。
酒品館いしまるの御主人が子供の頃からあったと言われてたので、相当古いのだと思われる。
勇気を出して奥に進むと、冷蔵ケースがあり刺身やお惣菜などが中に並んでいます。
そこから好きなものを取りだし更に奥に進むと5席程のカウンターと10人程が座れそうなテーブルがある空間が待っています。
後は惣菜を温めてもらうもよし、酒を頼むもよし、ワンダーランドの始まりです。
日本酒や焼酎は300円から、お惣菜は一パック200円程です。
ご飯ものや麺類もありますので飲まない人もOK。
しかしこの店の真髄はやはりその営業時間にあるだろう。
火曜日に定休日こそあるものの、24時間営業なのである。
つまり朝から豊富なつまみを揃え酒がのめる天国みたいな店である訳だ。
ちなみにここ最近食べた中でも旨かったのは、肉団子、焼きナス、鳥もつ煮など。
オーソドックスな料理が普通に旨くて安いのだから堪らない。
また、年季の入った大きな卵焼器で焼かれる厚く大きな卵焼きは、それだけを買いに来るお客さんがいるほどの人気商品だ。
焼きたてがあるときは特に押さえておきたい一品である。
ビールを他所で飲んで来たら、いきなり日本酒か焼酎、つまみを二品、酒をお代わりして千円ほど、せんべらーのためにあるような店だ。
今回佐世保にいる間、毎日の様に通ってしもうたわ。

毎日の様にと言うからには、通ってない日がある訳でその日は何処へ行っていたかというと、これまた立飲みのみっちゃん家。
溝口商店からすぐ近くにあり、入口は5、6人が入れる立飲みのようだが実は奥にテーブルスペースもある。
開店して間もない頃に同僚と立飲みで入り、ものすごく楽しかったので今回再訪したのだが、今回は面子が4人に増えてる。
ゆっくりテーブルに着けば良いのに、立飲みカウンターに着いてしまう訳は、女将のみっちゃんと調理担当ひろさんとの話が滅茶苦茶面白いからである。
ここは料理もかなり充実していて、壁の短冊メニューの他に大皿がカウンターに5、6品並び、カウンター内の鉄板でお好み焼きなども出来るのだが、今回あまりに楽しすぎて、殆ど料理を頼まなかった位である。
途中店の前を通りかかった、関係会社のTさんも引きずり込み、都合5人で2時間以上も飲んだが、頼んだ料理はチーズ盛、鳥もつ煮、砂肝炒めなど4、5品だけで、あとは飲み通しである。
如何に盛り上がったが伺い知れると思うが、上司がTさんの分まで含め奢って下さいました。
有り難く御馳走になります。
後日Tさんからは上司宛てに明太子の高級なやつが届きました。

サンドイッチの話ですが、帰ってからちゃんと食いました。
まあ飲んで帰った後の夜食には少々重たいですが確かに旨かったです。
マヨネーズ多めの野菜メインなので、これを摘まみながらビールを飲るくらいが良いような気がします。
あとビールに最高に合うと思ったのが、佐世保駅に売っていたハトシロール。
海老のすり身を食パンに塗り、くるりと丸めてそのまま揚げてあるだけなのに、食感といい味といい中々堪らないものがあります。
しかし佐世保の名物と言えば他にも、佐世保バーガーやレモンステーキなどがあるのにことごとくメジャーな所を外しておくのが俺らしい。
ちゃんぽんよりも基本皿うどんだしな。
この間上司の付き合いで10年、いやそれ以上久々にちゃんぽんを食った。
確かに旨いんだけと何で俺はいつも皿うどんなのか考えてみると、どうやら出来上がるまでにビール飲んでるから汁いらねえって事のようだ。
確かにラーメン、うどんなどの時はビール飲んで待つ事しないしなあ。
そんなこんなで佐世保に来ることも暫くないかな。
十分過ぎるほど楽しんだつもりだが、また来たら同じ様に行くのだろうな。





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