居酒屋黙示録 新章 暖簾を繋ぐ刻

旧き善き銭湯を訪れ、立ち飲みを巡り、居酒屋で思う。

佐世保 木場田湯

2015-09-10 20:36:54 | 銭湯
佐世保の駅は中々広いが人は余り多くない。
JRの佐世保線と松浦鉄道の駅が佐世保駅を構成しているが、立派な駅舎の割には静かなものだ。
鉄道に平行して高架の道路が走っている。
一部の土地の収用に難航して、1メートル作るのに1億掛かったと聞いた事がある。

佐世保の銭湯は数年前に五色湯が廃業して2軒になってしまった。
20年近くの大昔の話だが五色湯にも行ったことがある。
流石に渋い銭湯だったこと位しか覚えていなかったが、他の人のレポを見て思い出した。
後は佐世保の老舗デパート玉屋からもう少し歩いたところにビルタイプの徳の湯があり、ここも行ったことがある。
そして、最近まで存在を知らなかった木場田湯は佐世保市役所の近くであり駅からは2キロと少し。
町を見ながら歩いていると、着いた頃にはシャツはじっとり汗に濡れていた。
市役所の北の道を曲がると、奥に階段が見える。
階段のすぐ脇に駐車場があり、その上に「ゆ」の看板が据えられている。
しかし銭湯らしい建物はまだ見えない。
階段の麓まで進み周りを見渡せば左手に見える一見アパートのような建物にまた「ゆ」と書かれた看板があり、さらに「オゾン浴泉 木場田湯」の文字が見てとれる。
入口は道に対して正面ではなく、細い通路に入って手前側に男湯、奥に女湯のドアがある。
横須賀竹の湯も似た感じだが竹の湯は細い通路自体が下足場になっている。
木場田湯の下足場はドアの内側だがとても狭い。
三和土の広さは靴2足置いてあったらもう入れない位。
下足箱は脱衣場側に向いており5列6段、さらに下三段も棚になっている。
見た目からして小さな下足箱にトレッキングシューズを入れるのは諦め下の棚に押し込むと番台の主人に500円玉を渡す。
お釣は150円、長崎県銭湯料金安いな。
脱衣場は板張り、浴室入口側は二間の幅があるが番台側は少し狭くなっている。
土地に合わせて建てられているようだ。
斜めに切られた外壁に木のロッカーが作り付けられ数は8列3段、鍵は新し目の松竹錠だ。
外壁の一番浴室側に体重計、番台側は下足箱だがロッカーと下足箱の間に少し空間があり大きなガラスケースが置いてある。
中には車の模型とかが置いてあり、その前に傘立てが置かれてる。
傘立て周りは結構埃が積もってるのだが、脱衣場の他のところは普通に掃除されてるようでありアンバランスな感じだ。
仕切壁側は普通に鏡、大きな一枚鏡ではなく分割されていて計4枚。
一枚毎に広告が入っている。
浴槽側に身長計、マッサージ椅子、エアロバイクが置いてある。
身長計はスライドする部分の柱の両側に広告がついていて初めてみるタイプだった。
ていうか銭湯で身長計みるのも初めてかも。
マッサージ椅子の後ろの仕切壁上に何やらごつい機械が置いてある。
近寄って見るとオゾン発生機と銘板がついている。
なるほど、これが看板にあったオゾン浴泉の由来のようだが、既に動いている様子ではなかった。
後は中央に長椅子が一つと、その真上にシーリングファンがあるくらいだ。
さて、服を脱ぎいざ浴室へ。
ロッカーの中も普通に掃除されてるよな。

浴室は幅二間、奥行き三間のこぢんまりした浴室。
これはかなり年季入りの代物ですな。
浴槽は仕切壁沿い奥半分、縁が大きな白タイル、内側は水色の小タイルで二段式。
外壁側一間は奥に半間ほど広くなり副浴槽に薬湯が湛えられている。
仕切壁手前半分は洗面器台のあるカランが4つ。
外壁側もカランが8あるが中央で分割されていて、その洗面器台の切れた部分が排水口だ。
壁下側は白タイル、上部に装飾タイルがぐるりと巡っているのが唯一の装飾のようだ。
仕切壁上半分は曇りガラス、壁の上側は水色ペンキだが剥がれも酷く黒く煤けてるところも多い。
床のタイルは、白と茶色の長方形タイルを合わせて市松模様に組んである。
湯気抜きは一番奥に一間四方で切ってあり、上の方は薄暗い。
ケロリン桶は入口側に積んであるのだが、椅子は各カラン前に置いてある。
掃除はされているのだろうが洗面器台や床タイルの目字が緑色になっているとこもあり、これは上級者向けだわ。
とりあえず身体を流そう。
松ちゃんさんのレポートでカランの湯が熱いと聞いていて良かった、確かにこれは熱い。
髭まで剃り、さて風呂に浸かろう。
先ず副浴槽に、少し温めだが良い感じだ。
今日は外がじめっと暑いので温い風呂が良いか。
外壁の窓が少し開いていて、そこから入って来る風が心地よい。
主浴槽に河岸を代えると更に温いが、今日はこれで良いや。
一人いた先客が上がり、貸し切りとなった浴室でぼんやりと考える。
次はどこの銭湯に行けるのかな。

湯は温めだったが、それでも上がると汗が中々引かない。
長椅子の上のシーリングファンを回してくれていたのでその下で汗が引くのを待ちながらメモをとる。
15分位ものんびりしただろうか。
漸く汗も引き、新しいシャツを着て着替えを済ませご主人に礼を言って暇した。

佐世保の夜は幾度となく過ごして来たが、立ち飲みは今迄したことがない。
というか前回来た時は、付き合い酒で自分の行きたい店に行く時間が無かった。
今回は付き合い酒も無いので、検索してみたところ何軒かヒットした。
一軒は佐世保では有名なささいずみという居酒屋の系列で、九州の地酒揃えてますという「注連蔵」
他には入店時に500円払えば後は全品100円と謳う「小銭番長」など数件あるようだ。
木場田湯から飲み屋の集まる四ヶ町付近、上京町下京町辺りまで汗をかかないようにゆっくり歩く。
大分涼しくなったとは言え、まだまだ夏の気配は残っている。
さてさて、適当に歩いてここらへんかなと注連蔵を探すも何か見つからないな。
食べログでピンポイントで地図を出すとありました、閉まったシャッター。
定休日ですか。
仕方なく第2候補の小銭番長へ向かうとここも休みか。
むう、どうする。
検索で他にヒットした華おんとかいうところは普通に居酒屋っぽい感じだったし、酒品館いしかわはちょっと通り過ぎてきたしな。
ぐるりと頭を巡らすと、角に立ち飲みひでちゃんと検索にかからなかった一軒が目に入った。
問答無用で決定ですよ。
カウンターにはお客さんが一人、奥のテーブルに若い4人組が椅子を出して飲んでいる。
当然カウンターに陣取って最初の一杯、いつもならビールからだが今日はハイボールといってみるか。
カウンター上に並んだつまみは一品100円、高いのはいか刺身とか200円。
とりあえず一鉢だけ残っていた南蛮漬を貰った。
勢いそのままにハイボールを半分くらい干すと、隣のお客さんがお兄さんペース早いねと声を掛けてきた。
ハイボールのCMの話など、とりとめのない会話をしながら飲む。
お隣さんはタクシーの運転手で仕事終わりの一杯を飲んでるところ。
普段はビールと焼酎だけど、俺のハイボール見て飲んでみたくなったらしい。
俺もお代わりをして、ちょっとしたハイボール談義になった。
カウンター上のコロッケのようなものは何かと尋ねると、鮭とチーズのフライらしい。
それと赤ウィンナーを注文。
お隣さんと話を続けると、注連蔵や小銭番長はやはり定休日らしい。
カウンター向こうではお母さんがつまみの補充か、焼売を揚げている。
ハイボール2杯目が空いたところで、揚げたての焼売と小鉢のゴーヤチャンプルーを注文。
飲み物は短冊には無かったが、冷蔵庫に高清水の純米酒が見えたのでそれをお願いした。
高清水は600円、少々高い。
壁の短冊を見ると一杯700円の魔王とかもあるので、横須賀辺りの立ち飲み、角打ちとは売れ筋が大分違うようだ。
一軒目ということで飛ばし過ぎたかな、1700円も使ったがコスパは十分良い。

さあ次はまあ決めてあったようなものだが、佐世保に来たら魚を食いたい。
下京町から少し海側に行ったところに吉栄丸という居酒屋があるのだが、ぶらぶらと向かっているときに気になる酒屋があった。
池野酒店 塩浜店と看板にある。
日本酒冷えてますみたいな張り紙を見て、角打ちでもやってるのかと中を覗いて見たがそういう訳でもないようだ。
でもリーチインの冷蔵庫が何個も並んでいて良い酒が有りそうな雰囲気だ。
中に入り冷蔵庫の中を見せて貰うと、御湖鶴、山間、雨後の月、獺祭等かなりキテる品揃えだ。
気になったのは横山。
聞いた事がない銘柄だったのでどこの酒ですかと聞いたところ壱岐の日本酒だそうだ。
特定名称にもなっている壱岐焼酎は有名だが、日本酒も造り始めていたとは知らなかった。
俺も最近脇が甘い、また勉強し直さないとついて行けなくなっちまうな。
ふむふむ言いながら眺めていると店長さんが「私が飲んでみたくて開けたんですが、試飲してみてください」と一杯勧めてくれた。
有難く頂戴する事にして、先ず香りを。
良い感じだ、きつすぎない吟醸香。
口に含んで広げ、呑み込んでから鼻から息を抜く。
これは旨いわ、派手さはないけど香りの広がりと呑み込んだ後の余韻の儚さが好みだ。
久々に旨い吟醸飲んだな、最近晩飯といっしに飲むから山廃とか生もとに走ってたからなあ。
そこで初めて銘柄を聞いた。
福井の一本義 伝心 凛。
気に入りました、お小遣い貯めて今度買います。
感想を伝えて店長さんと日本酒談義をしました。
この店は始められたのは結構最近らしい、前来たにはやっぱり無かったようだ。
自家熟成もされてるらしく奥のリーチインの下に新聞紙でくるまれた一升瓶が何本もありました。
店長さん相当お酒好きな方のようです。
佐世保の居酒屋がここから色々な酒を仕入れてくれたらもっと楽しくなるなあ。

お礼を言って暇して、かねて予定の吉栄丸へ。
良かった、ここは開いてた。
食べるものは決まっているので酒を何にしようかなと日本酒を見ると、地酒1銘柄と冷酒1種類だけ。
魚が売りなのはわかるけどもう少し種類あっても良いのになあ。
菊水辛口1000円でいいや、もう。
で料理の方は一言、あら煮。
ここのあら煮、最高です。
700円で大きめの鉢にどっさりと盛られ、これだけで小一時間楽しめます。
前回来たときは一軒目だったのにあら煮とさつま揚げだけでお腹一杯になってしまったのでした。
冷酒を啜り、付きだしのホルモンらしきものをつついてあら煮を待ちます。
20分程も待ったでしょうか。
出来たてのあら煮を前に臨戦体制は完璧です。
そこからたっぷり30分はあら煮と格闘です。
ほじくり、剥がし、ひっくり返し、かき集め、しゃぶり倒します。
あら煮をちまちま上品に食べたって旨くありません、一気加勢に食い倒すに限ります。
30分後、骨を綺麗に山にして、冷酒の瓶を逆さまにしてる男が一人おりました。

いやぁ堪能しましたよ、でもあと一晩佐世保にいるんだよね。
困ったもんだ、小遣い多くないのに。
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