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てらまち・ねっと



 多重債務問題、国や地方公共団体で対策が進んでいるとはいえ、深刻状況にかわりはありません。
 行政の側の、特に職員の側には誤解が多いのは事実。
 議会人にしても同様。
 しかも、民間の一般の人たちでも、「そりゃ、本人が悪いんだ」という固定観念がいまだに強い状況。

 ところで、先日、多重債務問題の研究者から、
 「自治体の多重債務対策に関する状況、今後なすべきと思われることを、地方議会質問のような形でまとめました。行政や議会に興味のある方、ご自由にお使いください」

 と情報提供がありました。なお、
 「具体的には、それぞれの自治体の実情を自治体当局からしっかり聴き取ってまとめる必要があります。」 とのただし書きがついています。

 2月、3月の議会の一般質問や質疑にも役立つよう工夫されています。
    (通告期限過ぎなら次回でも)

 議員の一般質問に全部もしくは一部を使うとか、行政の検討に使うとか、用途はご自由にどうぞ。 
    このブログは前編。 後編はこちら
 下記とのとおり、PDFとしての全編やテキスト版もアップしてリンクしておきますので。

 gooブログは、1万字という制限があるので、2つに分割します。
 リポートとしても読み甲斐がありますよ。

 印刷用 全編9ページ PDF版 280KB 
 全文のテキスト・データ版 25KB

 インターネットの転載や転用・流用もリンクも歓迎です。
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 (関連情報) ⇒ 
  07.2.9ブログ → 多重債務者:過払い金を国保料に 滞納減目指し 厚労省
   07.5.7ブログ → 政府はすべての市町村で多重債務問題の相談に応じる態勢を整える方向


「自治体の多重債務対策に関する状況、今後なすべきと思われること」
= 目次 =
1 はじめに
2 多重債務に陥る仕組み
3 サラ金の仕組み
4 最近の動き(法改正と過払金の請求)
5 多重債務者の実情とサラ金会社の今後
6 ヤミ金・融資保証金詐欺
7 多重債務問題改善プログラム
8 多重債務者対策協議会を中心にした行政の取り組み
 (1)自治体の相談窓口の役割
 (2)自治体の関係部署間の連携
 (3)広報・啓発
 (4)都道府県の多重債務者対策協議会
 (5)自殺対策協議会との連携
 (6)無料相談事業
 (7)法律家の数の問題
 (8)その他
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 1 はじめに
 多重債務問題について質問します。多重債務は悲惨な結末につながることが多いです。自殺をはじめ、離婚、夜逃げ、犯罪、ホームレスへの転落、仕方なく風俗店のサービス従事者になる、といったところです。多重債務者は全国に200万人ぐらいいると思われます。深刻極まる問題です。
 その対策として一昨年の国会で、貸金業制度を抜本的に見直すためのいくつかの法案が通りました。それに関する国会論議が盛り上がり、マスコミでも大きく報道されました。
 最近はマスコミ報道はそれほど目立ちませんが、多重債務問題が深刻であることはまったく変わりません。
 むしろ、多重債務の相談体制の強化や多重債務者に対する相談先の啓発は以前よりもさらに急がれる状況です。なぜ、そういうことになってきたのか、その認識をまず深めねばなりません。そこを説明してみましょう。
 
2 多重債務に陥る仕組み
 サラ金会社や信販会社など何社かから借金して返済に行き詰まるのが多重債務です。年収が300万円に満たない、だけど6社に対する借金残高が約300万円もあってどうしようもない、家族にも内緒で借金しているから相談しづらい、といったところが典型的なパターンです。
 ほとんどのサラ金会社は一昨年まで年利20数%という高金利で貸していました。50万円の借金残高があって毎月2万円ずつ返済していくとき、その返済額2万円のうちの1万1000円ぐらいが利息といった具合です。
 月収20万円とか25万円という人が、サラ金会社に毎月1万円以上もプレゼントしていたら家計が苦しくなるのは至極当然です。
 でも苦しくなったときにとりあえずの打開策というものがあるのです。それは、もう1社から50万円借りるといったことです。
 当面、多少のゆとりができますが、毎月4万円も返済し、その中に2万円以上も利息が含まれるということになるのですから、しばらくすると一段と返済に苦しむようになります。
 この状態でどうするか。反省して支出を切り詰め、ひたすら返済ばかりという形に方向転換して完済に向かい始める人はいます。
 しかし、借金に対する依存心が高くなっており「もう1社から借りて当面はしのごう」と考える人が多いのです。こんな具合で、5社、6社と借入先が増えて多重債務に陥ります。
 
 3 サラ金の仕組み
 ほとんどのサラ金会社はカードローンという形式で融資しています。利用限度額、借金残高の上限額という意味ですが、これが最初に設定されます。
 とりあえず50万円の利用限度額にされることが多いです。毎月の返済額の最低額も決められます。50万円の限度額なら、毎月の返済額は2万円が標準という状況が長く続いてきました。
 借り入れと返済は、自動機にカードを入れて簡単に行えます。しっかり覚えておいてほしいのは、カードローンは利用限度額の範囲内なら何回でも繰り返し借りられることです。
 限度額が50万円に設定された、それで最初に50万円借りた、2、3カ月は毎月2万円ずつ返済して追加借り入れはしなかったという人は元金の返済は2、3万円進んだことになります。
 借金残高は47万円とか48万円とかになっているわけです。限度額まで2万円とか3万円とか借りることができます。
 こういう状態のときに利用限度額いっぱいまで、また借りてしまうのが多重債務者となる人のパターンです。サラ金のカードローンは、借金の自動販売機で多重債務者を大量生産するようなシステムだったのです。
 
 4 最近の動き(法改正と過払金の請求)
 多重債務者が200万人を超す事態に、これではいけない、と一昨年、貸金業法、出資法などが改正されました。これは、これ以上は新たな多重債務者を生まないようにしようとするものです。
 現状では、出資法の上限金利は年29・2%で、利息制限法の上限金利は貸し出し金額によって年20%、18%、15%のどれかに決まっています。
 二つの法律の上限金利の狭間がグレーゾーン金利。サラ金会社はこのグレーゾーン金利で融資して巨額の利益を上げ、過剰融資を続けていたのです。
 ですが、一昨年の法改正でグレーゾーン金利での融資は2010年以降はできないことになり、大手サラ金会社は前倒しで、利息制限法の上限金利以下の金利で融資するように変わってきています。
 法改正では過剰融資をさせないために、融資額の総量規制も導入されました。債務者に対する何社かの貸金業者の貸付額の合計がその人の年収の3分の1を超えてはならないというルールです。
 この規制も2010年以降に実施されますが、サラ金会社は今でも融資にあたっての審査を以前よりかなり厳しくし、融資を断ることが多くなってきています。

 グレーゾーン金利はもともと法的な根拠は弱いもので、多重債務者が法律家に相談すれば、借金残高は契約したグレーゾーン金利ではなく利息制限法の上限金利で計算されるのが普通に行われています。
 この再計算で、サラ金会社に50万円の残高がある人でも残高が20万円とか30万円とかに減ったりします。残高が計算上はマイナス30万円になったといった場合は、借金は既に完済していて30万円は払いすぎの過払い金だ、ということになります。
 サラ金会社との取引期間が7年以上といった人は、サラ金会社に過払い金返還の裁判を起こせば、過払い金が実際に戻ってくることが多いのです。
 サラ金会社に50万円の借金残高があって返済に苦しんでいた人が、サラ金会社に返済する必要がなくなって、逆にサラ金会社から金がもらえるというのだから、多重債務者には夢のような話です。ですが、これは現実なのです。
 というわけで、サラ金会社に対する過払い金返還請求が年々増え続け、今では過払い金返還がサラ金会社の経営基盤を揺さぶっています。
 過払い金返還の増大と貸金業制度の抜本改正でサラ金会社の淘汰が進行し始めています。昨年9月、東証一部上場、本社静岡市のクレディアが民事再生法の適用を申請したのは記憶に新しいところです。今年もサラ金会社の倒産が続くことは必至のようです。
 出資法上限金利の引き下げと貸出額の総量規制が実現する2010年にはサラ金会社は数社しか残らないという見方もあります。

 5 多重債務者の実情とサラ金会社の今後
 多重債務者の実情を考えてみましょう。借入先は6社ぐらいのことが多いです。サラ金会社に限って言うと、多重債務者となる人に最初に借す会社は広告やCMをがんがんやってきて知名度の高い大手サラ金会社であることがほとんどです。
 3社目とか4社目とかで準大手からも借り入れし、5社目、6社目は中堅サラ金会社といった順序が普通です。
 借金残高の合計が年収の3分の1を超えてはいけない、というルールが2010年には始まることを思い起こしてください。
 多重債務者には年収が300万円以下の人が多いです。そこで、年収300万円の人を例に考えてみましょう。借金残高の限度は100万円なのです。アコムに50万円、プロミスに50万円借りている人に対しては、もうどこのサラ金会社も貸せないのです。
 こういうことなので、総量規制は準大手や中堅のサラ金会社にはものすごく厳しいです。倒産、廃業が続くのは必然と思えます。

 こういうサラ金業界の状況が、多重債務者やその一歩手前の人に大きな影響を及ぼし始めています。4社から借りている人が次の5社目に借り入れを申し込むケースは、以前は審査で通って借りられることが多かったのですが、今では審査が通らず借り入れられないことの方が多くなっているようです。
 また、サラ金会社が廃業とか破産したりしたとき利用者は、毎月の返済の義務は続く一方で、追加融資は受けられなくなります。
 サラ金会社が廃業や破産に至っていなくても、そういう方向に向かい始めるだけで、追加融資をやめる傾向が強くなります。
 多重債務者やその予備軍の人は「返しては借りる」という行動パターンのわけです。その借りる部分がストップしてくるのです。このことの意味は大きいです。
 
 6 ヤミ金・融資保証金詐欺
サラ金6社に対する借金残高がそれぞれ50万円で、各社に毎月2万円返済している人は、返済したとたんにまた、限度額いっぱいまで1万円ぐらい借りる人ことが多いです。
 そのうちの2社が追加融資をやめて返済の受け付けばかりになると、手元に入る金は毎月2万円ほども減ります。手取り月収が20万円ぐらいの人にとっては、これはすごくきついです。
 自転車操業という言葉はよく知られています。その自転車操業の自転車をこぐのが難しい状態なのです。
 この状態ならどこかの相談機関に行くだろう、と簡単に考えるのは甘いです。多重債務者の10人に7、8人は家族に内緒で借りています。だれにも打ち明けず借金を膨らませたのです。

 人間には体面を保ちたいという意識があります。多くの多重債務者は内緒の借金なので「打ち明けたくない」とか「体面を保ちたい」という意識が強く働きます。その上、借金依存心が強くなっています。
 そういう多重債務者の特性を熟知していて、ターゲットにしているのが、ヤミ金融や融資保証金詐欺などの悪徳業者です。「低利融資で借金を一本化」とか、巧みな誘い文句のダイレクトメールを送りつけたりして勧誘します。
 ヤミ金融は3万円とか5万円の小口融資ですが、悪質な違法業者です。利息を一週間で1万円要求したりします。金利は出資法上限金利を何十倍も上回っています。
 返済が滞ると、ヤミ金融業者はおそろしい口調の恫喝電話を執拗にかけます。債務者本人だけでなく、家族の勤め先や近所の家にまで嫌がらせ電話をかけまくる業者が目立ちます。債務者の精神状態は極限まで追い込まれてしまいます。
 ヤミ金融は2002年、2003年ごろに猛威を振るいました。ヤミ金融被害者は数十万人以上もいたようです。
 2003年に大阪府八尾市で、高齢者3人がヤミ金融の脅しが原因で電車に飛び込み自殺し、それがきっかけでいわゆるヤミ金融対策法が成立したことは多くの人が覚えておられると思います。ヤミ金融についての罰則が重くなったりしました。
 その後、ヤミ金融被害はかなり減ったのですが、被害の根絶には遠いのが現状です。多重債務者の救済に真剣に努力されている方々は、しょっちゅうヤミ金融業者とどなりあっておられるそうです。

 融資保証金詐欺もはびこっています。「お金を貸します。その前に保証金を出してください」と言って十万円とか二十万円とかを振り込ませ、その後は連絡がとれないようにして保証金をだましとる手口です。
 多重債務者には借金依存心が強い人が目立ち、また今はサラ金会社から借りにくくなってきています。ヤミ金融や融資保証金詐欺の誘いに乗ってしまう人が急増しかねない状況なのです。
 多重債務者救済運動を展開されている法律家らは「今年はヤミ金融被害の封じ込めに全力投球しなければならない」と強調しています。
 ヤミ金融や融資保証金詐欺は犯罪行為なので、対策の柱は警察がきっちりと摘発を進めることです。
   (続く)

コメント ( 3 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
TBありがとう! (明子)
2008-02-21 21:01:56
 寺町さま、はじめまして。
私のブログ『幸せの黄色いニュース』へのTBありがとうございます。
 多重債務の問題は、格差と貧困の広がる中で、いっそう深刻ですし、興味深い記事をありがとうございます。
 こちらはいろいろと充実したブログですね。勉強させていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
 
 
 
TBありがとうございます (ひとみ)
2008-02-22 01:14:38
何年か前に取り上げましたが、いい解答は得られず、それっきりです。私のところへ相談に見えた方だけは、いっしょになっていろいろ解決したりもするのですが、多くなっていますね。貧困が増えれば、ますます多くなると思います。世の中かえないといけないですね。
参考にさせていただきます。
 
 
 
ご活用を (●てらまち)
2008-02-22 07:56:56
★明子さん、おはようございます。

>多重債務の問題は、格差と貧困の広がる中で、いっそう深刻です

⇒そうですね。行政のできることは多いと思います。

★ひとみさん、おはようございます。

>何年か前に取り上げましたが、いい解答は得られず、それっきりです。

⇒そうでしたか。

>参考にさせていただきます。

⇒どうぞ、ご活用ください。
 作成された人の願いはそこですから。
 
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