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てらまち・ねっと



 臨時国会が29日に始まり安倍晋三首相の所信表明演説、昨日はそれに対する各党代表質問。

 南日本新聞が簡潔にまとめている。
 ★《人口減対策と地域活性化に向けた「地方創生」や、経済成長のために「女性が輝く社会」を目指すと表明した。また、有効求人倍率や賃金上昇をアベノミクスの成果とし、今後も「経済最優先」で政権運営に当たると強調した。来春の統一地方選を意識してアピールする狙いは明らかだ。一方、閣議決定による憲法解釈変更で行使を容認した集団的自衛権や、来年10月に予定される消費税率10%への引き上げなど、世論の批判がある課題に踏み込んだ発言はなかった。》

 ★信濃毎日《首相が本腰を入れる気があるならいいが、急に重要課題として持ち出したことが気になる。政府に自らをトップとする地方創生本部を新設すると表明したのは6月のことだ。首相は選挙のために「地方創生」という大風呂敷を広げてはいないか》

 今日は、一番強調している「地方創生」について検証。
 (10月2日追記 ⇒ ◆安倍内閣の「女性が輝く社会」/5人の女性閣僚たちの「女性観」(ライブドアニュース)

 そももそ、「地方創生」というコピーは極めて怪しい。元鳥取県知事・元総務大臣の片山善博氏は、今回の「地方創生」を批判して、「詐欺に遭う人は何回でも遭う。自治体は気を付けろ」と注意喚起している。

 確かに、多重債務の人の相談などを受けていて感じることの一つは「詐欺的なことに受容的な人は何回でも遭う」、ということ。それと、人生経験から、「確かに、才能ではないかと思えるほどに『詐欺』をしてしまう人がいる」ということ。

 構図は、詐欺にあう自治体とあわない自治体、詐欺を平気でする『政府』。
 分かりやすい警告なので、安倍氏の所信表明のタイミングで、片山氏の警告をみておく。
 報道のエッセンスは以下。

 ★日本記者クラブ 8月27日《地方を動揺させ、足元を見て政策を誘導する。今回の手法は、財政破たん危機をちらつかせ、特例債というニンジンをぶら下げた平成の大合併と状況が似ている。「国は合併が地方を救うと言ったが、消滅可能性都市には合併した自治体も多く含まれている。その検証がない」とした上で「詐欺に遭う人は何回でも遭う。自治体は気を付けないといけない」》

 ★毎日《自治体側は政府作成の政策パッケージを丸のみしないよう注意が必要だ、という。過去に何回か似たような局面があり、結果として地方が痛い目にあってきたからだ。バブル崩壊後、多くの自治体が地方交付税の大盤振る舞いという政府の甘言に乗り、身の丈を超えた公共事業を発注、その結果財政危機に追い込まれた。平成の大合併では、合併特例債のアメに引かれ規模拡大を図ったものの、行政サービスの低下などの対価を払うことになった。
 二度あることは三度ある。しかも、事前に危機的データで警告し、自治体側の動揺を誘った上で国策に従わせる手法も、大合併時と同じとのことだ。ではどうすればいいのか。「自治体が自らの頭で考え抜くこと。その力が衰えている」。》

 ★マイナビ《これまで、地方自治体は自ら考えるということをせずに、政府や中央省庁が指示する政策にただ飛びつき、それについていけば良いという安易な考え方しか持っていなかった。そもそも政府には地方を救う余裕などない。余裕もなく具体策もないなかで、公共事業費を地方にばらまいて、地方も忠実に公共事業を展開してきた。それでは地方創生も進むはずがない。そもそも地方には各々の特徴がある。
 なぜか地方議員たちは、調査や研究をすることが本分だと思っている。本来、議員の役目は合議制の決定機関である議会において、予算や政策を決定することにあり、決定の過程で徹底的に討論することにある。しかし、議員たちは自分たちが決めることや決めたことには関心がない。》

 ふむふむと思いつつ、毎朝恒例のノルディックウォークを済ませて帰ってきた。
 このあとは、今度の土日に名古屋で開く「選挙講座」のレジメの準備。

 ところで、昨日午後に、『最新版 市民派議員になるための本』のカバーデザイン修正案と裏表紙と背表紙も届いた。
 「9月30日刊行予定」と聞いていたのが、2週間ほどスケジュールが遅れている。

 なお、昨日のブログのアクセスデータの通知は、「閲覧数 8.411 PV」、「訪問者 965 IP」だった。

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●臨時国会召集 首相「地方創生国会に」
            NHK 9月29日 12時25分
 第187臨時国会が29日召集され、安倍総理大臣は、衆参両院の本会議で行う所信表明演説に先立って、自民党の両院議員総会で、今回の国会を「地方創生国会」と位置づけ、地方の活性化に取り組む決意を強調しました。

第2次安倍改造内閣の発足後、初めての国会となる第187臨時国会は、29日召集され、午前10時から開かれた参議院本会議で、常任委員長の選任などが行われました。
国会では、午後1時から天皇陛下をお迎えして開会式が行われたあと、安倍総理大臣が衆参両院の本会議で所信表明演説を行うことになっています。
これに先立って、安倍総理大臣は自民党の両院議員総会で、「われわれの政策によって経済は上向きになっている。これをしっかりと全国津々浦々にお届けすることが私たちの使命だ。この国会を『地方創生国会』にし、地域のよさを生かした地方の再生のための国会にしたい。堂々と論戦を展開し、成果を出していきたい」と述べ、今回の国会を「地方創生国会」と位置づけ、地方の活性化に取り組む決意を強調しました。
これに対し、民主党の海江田代表は党の代議士会で、「臨時国会では、いくつも大事な法案が出ているが、特に労働者派遣法の改悪が、再び、国会で取り上げられようとしており、悪法の成立を許してはならない。安倍政権へのノーという国民の声を受けて、論戦に臨みたい」と述べました。
臨時国会の会期は11月30日までの63日間で、政府・与党は、「地方創生」の基本理念などを盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生法案」や、女性の活躍を推進するための法案、それに、広島市で起きた土砂災害を踏まえた土砂災害防止法の改正案などの成立を図る方針です。
これに対し、野党側は、消費税率の10%への引き上げ判断や、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定などについて、政府の姿勢をただすことにしていて、活発な論戦が展開される見通しです。

●地方創生相、過去の地域活性化策 10月2日から検証
      日経 2014/9/30 20:19
 石破茂地方創生相は30日の閣議後の記者会見で、国や地方自治体による過去の地方活性化策の検証作業を10月2日から実施すると発表した。地方移住や少子化対策、地域産業の振興などテーマごとに地方創生本部の事務局が有識者とともに関係省庁や地方自治体から意見聴取する。2015年度から5年間の総合戦略づくりや、15年度以降の予算編成に反映させる。

●余録:地方に足を延ばすたびに感じるのは、その活気のなさ…
  毎日新聞 2014年09月01日
 地方に足を延ばすたびに感じるのは、その活気のなさ、衰退ぶりである。駅前のシャッター街の多さ、街中の人の少なさに改めて驚かされる。将来的には日本の市区町村の約半数が人口流出などにより消滅する可能性がある、との警告もむべなるかな、と思う

▲そこで、政府がやろうとしているのが、「地方創生」なる新政策だ。地方を元気にするため地域の雇用創出を中心とした総合戦略を構築しよう、というものだ。来年の統一地方選対策という側面があるにしても、その大きな方向性は間違ってはいまい

▲ただ、片山善博(かたやま・よしひろ)慶大教授(元総務相)によると、自治体側は政府作成の政策パッケージを丸のみしないよう注意が必要だ、という。過去に何回か似たような局面があり、結果として地方が痛い目にあってきたからだ

例えば、バブル崩壊後、多くの自治体が地方交付税の大盤振る舞いという政府の甘言に乗り、身の丈を超えた公共事業を発注、その結果財政危機に追い込まれた。平成の大合併では、合併特例債のアメに引かれ規模拡大を図ったものの、行政サービスの低下などの対価を払うことになった

二度あることは三度ある。しかも、事前に危機的データで警告し、自治体側の動揺を誘った上で国策に従わせる手法も、大合併時と同じとのことだ。ではどうすればいいのか

「自治体が自らの頭で考え抜くこと。その力が衰えている」。片山氏の答えはシンプルだが、なるほどと思わせた。国主導のお仕着せの時代よ、さらばである。自治体が考える力を再生させ、個々の事情に合わせたオリジナルな創生を作り上げる時である。

●自立した地方へ 自治体は「自ら考える」姿勢を /日本記者クラブ 2014年8月27日 片山善博 慶応大学教授 2014年8月27日 |
       日本記者クラブ 記者による会見リポート/山陽新聞東京支社編集部長 前川 真一郎
 日本創成会議の人口減少問題検討分科会が公表し、多くの自治体に衝撃を与えた「消滅可能性都市」。試算自体は「当たらずといえども遠からず」と評しながら、その役目は、政策を思惑通りに進めたい各省庁の「露払い」と分析する。

地方を動揺させ、足元を見て政策を誘導する。今回の手法は、財政破たん危機をちらつかせ、特例債というニンジンをぶら下げた平成の大合併と状況が似ている、という。

「国は合併が地方を救うと言ったが、消滅可能性都市には合併した自治体も多く含まれている。その検証がない」とした上で「詐欺に遭う人は何回でも遭う。自治体は気を付けないといけない」
と強烈な警告を発した。

では、人口減少社会に自治体はどう立ち向かうべきなのか。「国から政策をもらい受けるのでなく、自ら考えること」。鳥取県知事当時の経験を引き合いに、エネルギーの自前調達を含む地産地消の推進から、地方議会や教育委員会が機能するための組織変革まで、処方箋は多岐に及んだ。

揮ごうは「常に学ぶ」。自立した地方を担う首長や議会にも通ずる言葉である。

●【レポート】"地方創生相"で地域経済は復活? 元総務相・片山氏「政府の政策頼みではダメ」
           マイナビ 鈴木ともみ  [2014/09/03]
9月3日に内閣改造が行われ、新たに発足した安倍内閣の最重要課題とも言える「地方創生」。その地方創生を担当する大臣に前・自民党幹事長の石破茂氏が就任することになり、「地方創生と経済の好循環」に対して大きな関心が集まっています。

そうしたなか8月27日、日本記者クラブにて、元・総務大臣、元・鳥取県知事で、現在は慶應義塾大学法学部教授の片山善博氏の会見が開かれました。

少子高齢化と人口減少化が進む日本において、「地方を創生させ、好循環の波を全国に広げていくためには、どのような政策や成長戦略が必要なのか」、片山氏が先鋭的かつ建設的な意見を述べました。

元・総務大臣、元・鳥取県知事の片山善博氏

地方自治体(鳥取県)の知事を務めた経験もある片山氏は、まず、

『今のように、政府や中央省庁が出す政策を、地方がそのまま受け取り進めていく体制は改めるべきである』

と、現在の地方行政の在り方そのものについて、改善点を指摘しました。
これまで、地方自治体は自ら考えるということをせずに、政府や中央省庁が指示する政策にただ飛びつき、それについていけば良いという安易な考え方しか持っていなかった。

そもそも政府には地方を救う余裕などない。余裕もなく具体策もないなかで、公共事業費を地方にばらまいて、地方も忠実に公共事業を展開してきた。それでは地方創生も進むはずがない。そもそも地方には各々の特徴がある。
政府の地方に対する政策は、公共事業によって地方経済を再生させ、雇用につなげるという一辺倒な発想にあるが、それはあまり意味のないことだ。

私が知事を務めた鳥取県を例に挙げれば、道路や橋を造るような公共事業を行うには、鉄やアスファルト関連の資材や、建設機材を県外から買う必要がある。国に例えるならばギリシアに似ており、輸出よりも圧倒的に輸入が多い自治体だ。買うものばかりが多くなってしまい、お金は外へ出ていき、結局、県内の労働賃金は安くなってしまう。

また、産業に必要な電力や化石燃料など、エネルギーも県外から買っているため、日常のエネルギーを維持するだけでも多額のお金が外に出ていく。政府の言う通りに公共事業を行っても、県内は活性化しないのだ。

そこで、私が知事を務めた頃には風力発電事業を始めた。

他県においても、従来型の公共事業だけではなく、地方のニーズに応じて、交付金を活用する計画性と柔軟性が求められる』

と、政府・中央省庁と地方自治体との関係性について、具体策を述べました。

また、地方議会の在り方について片山氏は、
『そもそも地方議会も地方議員も、地方経済を救うのは公共事業で良いのかということを吟味せず、予算も点検していない。世間では一時、号泣(地方)議員の登場と共に、政務活動費(政活費)の問題が取り沙汰されたが、政務活動費というのはたとえるならば、学校に通う子供たちが自由研究を行うための経費だ。実際に使っていれば問題のない経費であり、なぜか地方議員たちは、調査や研究をすることが本分だと思っている。

本来、議員の役目は合議制の決定機関である議会において、予算や政策を決定することにあり、決定の過程で徹底的に討論することにある。しかし、議員たちは自分たちが決めることや決めたことには関心がない。
そういう環境にあっては当然、議会中に野次も飛び出す。地方議会において、野次は特異なものではなく、昔から存在するのだ。先日の、東京都議会のセクハラ野次問題を例に挙げれば、あれは一般質問の日であり、決定することと関係のない質問が長い間続き、16人が登壇していたなかで起こった。

16人が順番に議題とは関係のない質問を続けるなか、100人を超える議員たちは何もやることがなく、野次を投げかけることくらいしか仕事がなかった。あのような議会運営は間違っている。

本来ならば、米国の地方(州)議会のように、まず委員会で議案ごとに、役所や住民の意見をしっかり聞いた上で、議員が議会で議決するという体制が望ましいはずだ。

議会には住民も参加でき、議員が議題と関係のない質問をすることもない。そして、オープンである。
日本には公の場で議論せずに、根回しや人間関係で事を進めたがる慣例があるが、それはやめるべきだ』

と、地方議会の問題点と改善点を示しました。

そして、地方創生と経済の好循環については、
『コマツのように、東京ではなく、地方に拠点を移す企業がもっと増えるような環境作りが大切だ。これまでのように、官僚が腕まくりして国の関与のもとに、地方創生を進める政策はやめた方が良い。また、地方の優れたリーダーは、自身が目立つようなパフォーマンスで注目を集めるのではなく、政策で人を引きつけるよう努力を重ね、知恵をだしてほしい』

と、自身の経験から、地方創生に向けたメッセージを述べました。

●臨時国会の主要議題の一つ「地方創生」って何を目指すの?
     マイナビ   [2014/09/29] 「THE PAGE」から提供
 政府が地方創生の具体化に向けて動き始めました。安倍首相を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」を首相官邸に設置し、具体的な施策について検討を行います。地方創生は秋の臨時国会における主要議題のひとつですが、政府の本格的な対応に期待する声がある一方、いつものように、単なるバラマキに終始するのではないかとの懸念も出ています。

 19日に開かれた会合では、12人の有識者がそれぞれの立場から地方創生の方向性についてプレゼンテーションを行っています。

 自治体の「消滅可能性」について言及している増田寛也元総務相は、中央官庁における縦割り行政の弊害について指摘、地方移住支援など複数の分野にまたがる方策についてはワンストップの支援体制が必要と主張しました。経営共創基盤CEOで元産業再生機構COOの冨山和彦氏は、労働生産性について着目しています。地方には仕事がないのではなく、生産性が低いため魅力的な仕事になっていないだけであり、ここには大きな改善の余地があるとしています。

 本社機能の一部を北陸に移した実績のある建設機器大手コマツの坂根正弘相談役は、自治体の行政効率を「見える化」し、自治体間の健全な競争を促すことが必要であると指摘しました。

 地方創生とひとくちにいっても、対象となる分野は非常に多岐にわたっているのですが、少子化対策、東京一極集中の是正、地方の雇用確保といったあたりが主な論点となりそうです。ただ、どのような方向性で基本的な対策を打ち出すのかについては、必ずしも明確になっているわけではありません。

 創生本部では、首都圏在住者の4割が地方への移住を希望しているという世論調査の結果などをもとにして、地方から東京へという人の流れを逆転できる可能性があることを前提に議論を進めようとしています。しかし、この世論調査には様々な解釈があり、都市部への人口集中という大きな人の流れについては、あえてそれを止めない方が全体としては効果が高いと指摘する声もあります。

 また地方の雇用を創出するにしても、いわゆる財政支援を中心にしていくのか、競争原理を導入し、産業構造を大きく変えていくのかでそのやり方は大きく変わってきます。日本全体でも、財政出動で需要を創造すべきなのか、産業構造の変革に重点を置くべきなのかについては議論が分かれています。地方創生の仕事は、いってみれば、日本全体の縮図ともいえる状況なわけです。

 有識者会合では10月をメドに論点をまとめ、創生本部ではそれをもとに年内に長期ビジョンを策定する予定となっています。
(The Capital Tribune Japan)

●所信表明演説 掛け声ばかりが目立つ
         信濃毎日 09月30日(火)
 掛け声ばかりが目立ち、具体策が乏しい。こう感じた人も多かったのではないか。
 安倍晋三首相がきのう行った所信表明演説である。

 政府、与党はこんどの臨時国会に「地方創生国会」という大きな看板を掲げた。
 演説では、全国各地の地域活性化の成功例を実名を挙げながら、次々に紹介した。

 地方に自発的な取り組みを求める一方、首相は地方対策の司令塔となる地方創生本部を立ち上げたことを説明。「これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行する」と強調した。

 演説は今後への期待を抱かせることが中心で、政策の道筋や展望など具体性を欠いた。今国会のもう一つの目玉である女性の活躍の後押し策も同様だ。看板の大きさの割に中身は薄かった。
 少子高齢化が進む中、人やカネが一部の大都市に集中し、地方は衰退する。この流れを止め、地方を元気にする―。
 
 首相が訴えていることを大ざっぱに言うとこうなる。
 演説では「人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻」との認識を示した。構造的とは複雑な要素が絡み合っていることを意味する。過去の政権も取り組んだが、目立った成果を出すことはできなかった。それほどの難しさがある。

 首相が本腰を入れる気があるならいいが、急に重要課題として持ち出したことが気になる。

 政府に自らをトップとする地方創生本部を新設すると表明したのは6月のことだ。
その後の内閣改造では地方創生担当相を設け、地方を重視する姿勢を盛んにアピールするようになった。

 来年春には統一地方選がある。これに勝てば首相の長期政権が現実味を増す。演説では選挙や支持率への影響を意識してか、安全運転に配慮する姿勢が目立った。集団的自衛権の行使容認に伴う安全保障法制の具体的な中身や消費税率10%への再引き上げの判断には踏み込まなかった。

 いずれも国民生活に深く関わる問題だ。当面の政権運営に逆風になることを避けようとの考えだとしたら、不誠実である。

 首相は選挙のために「地方創生」という大風呂敷を広げてはいないか、実効性ある政策を打ち出すことができるか。冷静な目で政権の取り組みを見る必要がある。スローガンに終わることがないよう、野党は論戦で厳しく首相を追及してもらいたい。

●社説 [所信表明演説] 不人気政策には触れず
     南日本 ( 9/30 付 )
 秋の臨時国会が召集された。
 安倍晋三首相は所信表明演説で人口減対策と地域活性化に向けた「地方創生」や、経済成長のために「女性が輝く社会」を目指すと表明した。また、有効求人倍率や賃金上昇をアベノミクスの成果とし、今後も「経済最優先」で政権運営に当たると強調した。
 来春の統一地方選を意識してアピールする狙いは明らかだ。

 一方、閣議決定による憲法解釈変更で行使を容認した集団的自衛権や、来年10月に予定される消費税率10%への引き上げなど、世論の批判がある課題に踏み込んだ発言はなかった。


 第2次安倍改造内閣が発足して初の国会である。国政全般について首相の考えを国民に伝える重要な演説で、不人気な政策への言及を避けたのは不誠実と言わざるを得ない。

 集団的自衛権の行使容認について、首相はこの演説で「いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜く。その決意の下、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を進める」と述べるにとどまった。

行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定がなされたのは通常国会閉会後の7月で、本格的な国会はこの臨時国会が初めてだ。首相には与党協議など閣議決定にいたる経緯や、安保関連法の準備状況を説明する責任があるはずだ。

 12月に判断する消費税率再引き上げの可否についても直接の言及はない。経済対策の関連で「消費税率引き上げや、燃料価格の高騰、この夏の天候不順などによる景気への影響にも慎重に目配りし」と述べただけだ。

 臨時国会の会期は11月末で終わる予定だ。十分な審議時間を確保できないと野党側から異論が出たが、与党が押し切った経緯がある。これでは「集団的自衛権の閣議決定と同じやり方だ」と野党から批判されても仕方ない。

 今後の国会審議の中で、首相はこうした難題についての「所信」を明らかにすべきだ。
 首相は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に絡み「かつて、裏付けのない言葉だけの政治が沖縄の皆さんを翻弄(ほんろう)した」と民主党政権を批判した。「こんな無責任な政治を、二度と繰り返してはならない」と対決姿勢をあらわにした。

 民主党は執行部を一新し、安倍政権への攻勢を強める構えだ。新党「維新の党」など他の野党も存在感発揮を狙っている。「1強多弱」といわれる国会にあって、活発な論戦で政府の政策の問題点を明らかにしてほしい。

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