伊豆の寺田歯科

趣味(船釣など)と仕事の独り言

歯科医療の進歩もすごいですねぇ

2008年05月21日 | 歯科医療
久々の書き込みです。
保険医協会主催の講演会をプロデュースしました。
講師は、昨年の秋BSC大会で講演された寺内吉継先生、
まだ若い先生ですが、おそらく歯内療法専門医として開業成功されている方は、
まだ日本に指折り数えるほどしかいないのじゃないかなぁ。

聴講者は20数名、会員なら最先端の話をただで聞けるのにもったいないです。
というより、あまにも不勉強すぎ、ともなければ・・・仕事が忙しくて出られない?
まあ、それはそれでうらやましい話なんですけど。

懇親会で、私自身どうしていいかわからない症例のレントゲン写真を
見てもらいましたけど、
講演の後でですが、CT検査の結果さえあれば問題なく治療してしまいそうな感じでした。
専門医さすがです!
治療成功させる自信のある先生は尊敬しちゃいます。

一般の方にも一言
1本の歯の保存治療がうまくできなくて、抜歯になると
1.そこにインプラントを1本・・・30~50万
2.両隣の歯を削ってブリッジに・・・自費のセラミックものなら25万ぐらい
3.歯内療法専門医が保存治療すると・・・うわものいれて20万
みなさんどちらを選択しますか?
ちなみに「保険で」なんて話は論外ですよ




第二の目実態顕微鏡と第三の目CTでみる最新歯内療法

2008年05月21日 | 歯科医療

東部支部では515日(木)、三島市民文化会館にて「第二の目実態顕微鏡と第三の目CTでみる最新歯内療法」と題して歯科研究会を開催しました。

 講師の寺内吉継先生はCT&米国式根管治療センターの理事長を務める数少ない歯内療法専門医です。米国歯内療法学会に毎年参加発表され、4月のバンクーバーの大会に出席されたばかりで、まさに最先端の話をまじえての講演でした。

 講演内容はおおまかに以下の項目とキーワードです。

  1. 歯科用CT

  2. 実態顕微鏡

  3. NiTiファイル(Active Instrument, Passive Instrumentの使い分け、使用限界)

  4. 根管形成(感染牙質の除去など超音波チップ使用が標準)

  5. 垂直加圧充填(レジロン、MTA、ガッタパーチャは感染源になりうる)

  6. 根管洗浄(側枝や扁平な根管、イスムスに対して重要、MTAD、音波洗浄、エンドバックシステム)

  7. マイクロサージャリー(歯根端切除術).

  8. 破折ファイルの除去法

 今まで見えなかった根管は、歯科用CTと実態顕微鏡を使用することにより、ほぼ死角がなくなったといえる。各項目の説明に使われた症例、湾曲根管、S字状根管、根尖分岐、側枝などわたしの感覚では困難症例が絵に描いたようにきれいに治療されていた。また、自らの失敗症例を供覧、原因について明確に解説された。

 根管洗浄には、さまざまの薬液、器材が開発されている。また、洗浄液の還流がいかに大切か動画を交えて示された。

 抜髄は1回治療推奨されていること、感染根管治療は24回、それ以上は無意味、CTなどで原因を再確認する必要があるなどなど、あくまでエビデンスベースの治療である。

 #70以上まで拡大された根管、パーフォレイションに適用する根管充填剤、MTAについて、開発の経緯や高い封鎖性、生体親和性が詳しく説明された。

 最後にさまざまな角度から、歯内療法の点数の低さ、歯科医師の収入の低さについて訴えられた。歯内療法は、毎日の診療でしない日はない、歯痛を対象とした治療の中でもっとも医療的な治療である。また、インプラント全盛の今日ではあるが、やはり保存できる歯は残したい。また患者さんにとっても保存は恩恵であることを忘れてはならない。

私の世代が歯内療法のバイブルとしてならったグロスマン・エンドドンティクスは、すでに過去のものになったようであり、従来難易度の高かった症例でも治療が可能となり、歯内療法の進化にはただただ驚きであった。

 日本では、最新の器材、薬剤が使えない、CTや実体顕微鏡を設備する環境、経済状態にない、などさまざまな障害があることは否めないが、歯科医師自身も低診療報酬に甘んじることなく、歯科医療の進歩に目をむけ治療の質の向上に努めるべきであり、歯科開業医を取り巻く環境を考え直す必要があると感じたのは私だけでしょうか?

 講演終了後、懇親会に場を移して講演会では聞きにくい話、自由診療としての料金の設定、経営の推移、患者さんの受け止め方など率直なお話をお聞きすることができ、寺内先生の屈託のない会話から、歯内療法専門医として成功されているまさにトップランナーとして実感させられた。