春の陽気が気持ちいい上野東京国立博物館へ。
キトラ古墳展の大行列に恐れおののき、栄西と建仁寺展で風神雷神よりも十一面観音坐像(清住院)と17世紀長崎の楽しげな涅槃図(春徳寺)と六道珍皇寺の餓鬼図をたっぷり味わった後、本館のリニューアルした常設展へ。割と最近見たばかりなのでリニューアル部分と光琳版の風神雷神を見て軽く流そうかという程度だったのだが、リニューアル部屋で釘付けになったのが↑の土田麦僊「大原女」だった。
土田麦僊は明治から昭和初期にかけて活躍した竹内栖鳳の弟子でもある画家で、大原女という京都大原から都へ薪を売りに行く女を題材にした絵を何作か残しており、そのうちの一作がこのトーハク版「大原女」。
屏風の地の色に透き通るような水色を基調とした衣裳がとても綺麗。そこに白と赤がいいバランスで入っている。足の表情も良いのだが何と言っても顔。特に口。漫画みたいな三角の表現なんだがそれがなんとも言えない魅力を放っている。鼻の感じや閉じた眼に水色のアイラインも良い。大原女が道端で一休みしている場面を描いたのだろうが、ほんわかとした気持ちにさせられる表情でずっと見ていても飽きない。淡い色の使い方がやほんわかとした印象は栖鳳のみみずく(正式名称何だったろう?)に似ているなと思った。この画家の絵をほとんど見たことがないので今後出会うのが楽しみだ。
この口!!