夜中の紫

腐女子向け 男同士の恋愛ですのでご興味のある方、男でも女でも 大人の方のみご覧下さい。ちょっと忙しいので時々お休みします

おはじき遊び 壱拾六

2014-12-30 | 紫 銀

屋敷を後にすると自然に 気持ちが静かになった。

一歩ずつ足を濡れた地面に置くと ガラスの破片が肉の奥へ奥へと入って来る。

針の山

姉に嘘を付くと落とされる地獄の話を聞いた事があるが・・・・こんな痛みなのだろうか。

体重移動するたびに痛みが生き物の様に 足からわき上がっていた。

自分の為に傷つく姉。

彼女の心の痛みを考えれば この痛みなど軽すぎる

・・・・そう考えるほど 姉やトシ兄 あの屋敷からどんどん離れて行く


歩く総悟の周りでは 帰りそびれた遊び人が蝙蝠の様に頭を隠しながら強く降る雨から足早に 避難していった。

総悟は・・・・頭から背から全身を 雨に濡らしたが恥だけは 雨にさえぬらす事だえ出来ない。

その水がどんどんながれていく、体を綺麗に戻すためには その水の集まる所に行かなくてはならなかった。

街じゅうの汚水が一点に集まって来る 

轟々と大きな流れになり量を増し 

生き生きとうねりどこかに連れて行こうと呼んでいる・・・自由な川。

総悟の体と心は川に呼ばれているかのように・・・支配され始めた。



ざああざああと 雨が音を立てて降っていた。

街の中は人の気配が全く感じ取れないが お屋敷街の一角は 夜半の襲撃にざわめいている。

田嶋の服から血がどんどん流されて 走り回ると血が飛び散る。

しかし、総悟を探さなくてはいけなかった。

これで見失えば 絶対にもう会う事はないだろう・・・・。

 

あの・・・足のまま遠くに逃げるはずもなく、行く宛てもない

道場に戻りたければ トシに掴まって居れさえすれば良かったはずだ。

焦りだけが空回りし ただ街中を宛てもなく走って行く。

 

 

どこに行きたいんだ・・・・・。

家・・・・?全速力で走る自分より早く・・・・帰りつけるだろうか・・・・。

 

田嶋は自分が行く方向から歩いてくる 旅人を捕まえると

総悟の人相を言い尋ねる。、

旅人は雨で良く見えなかったが、誰も見ては居ないという・・・・・。


彼が行きたくない、川の船宿街・・・・ならば・・・・・以前の様に潜り込めるかもしれない。

と、頭に浮かんだ田嶋は旅人に挨拶もそこそこ 踵を返し川に向かった。


街から江戸に向かう街道の一つは大川を横切って居てそこに 都橋が掛って居る。 

川幅は広くは無いのだが魚が多く 橋の上からでも糸を垂らせる場所だった。

川が曲がった所に船着き場が有って その船を借りて鮒釣りをする場所。

朝焼けが川面に映り赤く染まる頃は 何度見ても心地よい・・・。


やっと店を抜けて角を曲がると拓けて橋が見えた。その橋の袂に 小さな街灯がついている。

そのから視線を動かすと 斜めに川を渡る橋の上を 白い人影がゆっくり歩いていた。

見つけた・・・・

田嶋は 全速力で走り橋のたもとに着くが そ子からはゆっくり 一歩一歩 橋を渡って行った。


総悟は、はあはあと苦しそうに木の橋の手摺に身を乗せると 手で体を引き上げようとしがみついていた。

田嶋はまだ 20メートル以上は手前。

船の上から石を落されイラついた・・・・あの橋だった。

やっと 総悟が橋の欄干の向こうに足を垂らすと田嶋は 5-6メートル手前に居た。


「・・・・総悟・・・・。」

と彼に声を掛けると彼は動きを止めた。

田嶋がちらっと川を見ると この雨で以前総悟が飛び込んだ時よりも水かさが増していて轟々と音を立てている。

飛び込めば まず助からない・・・・。


「総悟・・・・・何をするつもりだ・・・・?。」

慎重に訊いた・・・。

「・・・・・・。」

総悟は答えず。田嶋はにじりよる

「・・・・・お前の 借金の証文・・・・・取り返したぞ・・・・。ほら・・・・。」

そう言って 証文の文字を見せる様に総悟の前に出したが 

彼はちらっと それを一瞥するとまた川を見る。濡れるので懐に入れた。


「・・・・・・・・・そんな事をして・・・・・姉上が お前の後を追ったらどうする・・・。」

聞いて考えたのか 総悟の体が前に伸びあがった。

欄干に座った総悟の体を押し出そうとしている 彼の腕を見た。自分から後少しだった。


「・・・・・。」

総悟が 振り向いて田嶋を見た。悲しそうな顔は・・・・・

悲しむ姉を 想像したのだろう。


・・・・ここから飛び込んだら 上がらない・・・・

そう鮒釣りで教えた自分を 怒鳴りたくなった。

「・・・・・総悟・・・・。」

何を言ってやればいいのか 思いつかない。そうこうしている間に

総悟が体をひねってこちらを見たので 片足が欄干からはみ出した。


「良く聞け・・・・ろくな世の中じゃないだろ?俺も、お前もそうだ・・・・姉上も お前があれだけ薬代掛けたのに・・・・治らないし、嫌になるのは・・・・。」

「姉上のせいじゃないよ。」

と総悟が言い返すが、体をもっと捻ったのですぐにも落ちそうになった。

「・・・・そうだな・・・。」

田嶋も彼に近ずくために、欄干に自身の体を付けた。総悟に飛びつけば 届く距離になった。

「・・・・・。」

それを見て総悟は警戒し 更に体をひねる。片方の脚はもう落ちていた。

「・・・・俺に その命・・・売らないか?。・・・・・姉上が 水の中で膨れて魚に食われるのは嫌だろう・・・・?。」

「・・・・・?。」

「・・・・お前は 誰にも見つからないつもりだろうが・・・・・。俺は お前がここから飛び込んだと 姉上に言うぞ・・・?そして確実に後を追うだろう・・・。」

総悟の顔が怒り 目がきつくなった。 

「人でなし!!・・・・。」

総悟が罵声を上げると 彼の体がずるっと落ちた。

田嶋は川に飛び込むように腕を伸ばし 総悟の腕を掴まえた。

バタバタと暴れる総悟の体は引き上げられず 静かになるのを待つ。

とりあえず腰を折り曲げて欄干には架かているが 手が滑りそうだ。

彼の腕を持ちかえたりすれば 自分の手が拭いきれていない人脂で滑りそうだ。

総悟は 俺の腕に掴まるつもりは無いらしい。

「離せ・・・・エロ爺・・・。」

そう言う総悟の首にはまだ 縄が掛っていた。

「・・・・ダメだ・・・総悟・・・俺が三つ葉を治してやる。・・・だから俺の物に成れ!・・・お前をなりたかった侍に・・・・仕立ててやる・・・。」

そう言うと 田嶋は有無を言わさず 手を伸ばし総悟の首の縄を引っ張った・・・・。

「ぐえ!・・・・。」


ずるっと欄干に担ぎあげ 急いで縄を緩めて 総悟を呼ぶ。


 

 

気が付いたのは ・・・・しっかり起きたと覚えているのは

3日経ってからだった。


晴れた秋晴れの空が高い日。

とてつもなく高い・・・・空の下。


奥まで覗こうとしていると 近くで自分を覗く者が居た。


医者の石川だった。


「姉上は・・・今日俺の診療所に行く事になった。・・・・田嶋がお前を門下生見習いとして・・・・引き取ると挨拶したからな?・・・・・それでいいんだろう・・・?。」


石川は髪が伸び縛れそうな長さで ときどきうっとおしい前髪を掻き上げるのだが 髪は又訳目通り額で別れ目に掛る。眉は太くてぼさぼさだが すこし茶色い目が黒い髪に生えていた。時々自分を覗き黒髪が日の光に透けて茶色になるのを見つけ 眺めていると

・・・・・聞いているのか・・・・

と怒られる。なぜか聞いた事が頭から消えて行くのだが それでいいと・・・・

思っているので 目を閉じた。

「・・・・・・まったくしょうがないな・・・・・。」

石川は 口癖の一つを口にし、部屋の片隅に居るトシに 後は任せたつ、声を掛けた。


余り良くは覚えてないのだが・・・・・。

姉上が 羽織をかぶせられ石川の背に負ぶわれていた。隣で俺は誰かに

負ぶわれている。

トシの背中の様に安心して暖かく 安心して眠気に襲われる。


トシのこの背中が 酒屋の番頭によってバンバンと叩かれたのを見た。

・・・・自分のせいだったが、自分が叩かれた様に音が響いて来てたまらなくなり

俺は自分がやったのだと言えず逃げてしまった。

その事を としは未だに怒らない・・・。


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おはじき遊び 壱拾四

2014-12-14 | 紫 銀

耐えていた痛みが 逆襲して来て 震えている。

自分の体の汚れを トシが取ってくれていた・・・・。

 

見ればトシはいつも何かと自分の世話をしていた。幼馴染の弟なのだが

良く飽きずに・・・・。


ぼーっと眺めていると

「しっかりしろ・・・今 石川先生が来る!。」

と言う。

痛みで考えられない・・・。

「・・・・医者・・・?。」

と総悟が聞き返すと 田嶋が呼びに行かせたと言う。

医者・・・病院・・・。

総悟は はっとして


「姉上!・・・・・姉さんが・・・。」

と体を起こそうと動き出した。

トシは足の裏に刺さっているガラス片を取ろうとしている所だったが、どこから手を付けていいものかもわからず 白い脚からにじみ出る血を拭こうとする。しかし痛そうに動くとそれさえも出来なくなった。

腕には刀傷もあちこちあったが 口の中に浮かび上がった小さな火傷の後は 胸にいくつも有った。

どこかで見た紋で六角の中に花の紋。

田嶋先生は これを見ただけでどこかに行ったのだ・・・・。

比較的傷の少ない肩を押さえこみ覆いかぶさって居ると 総悟は 暴れていても無意味だと思ったのか静かになった。

体を離してみると・・・総悟は目を閉じていた。

起こせば又暴れると思い そっとそのままにしておく事にした・・・・・。




自分は・・・・・


闇の中に落ち 時間をさかのぼって居た。



あるお屋敷の門をくぐり 自分と同じような格好をした 小姓頭だと言う男に案内されて

屋敷の奥に来た。

これから会う者を若様と呼ぶようにとだけ言われ 

障子に向かって正座し頭を下げていると障子が開かれた。

若様に挨拶し自分の名前を告げ頭を上げると そこに虫ずの走る様な おぞましい眼光の若い侍が 酒を飲んでいた。

「こい。」

と言うので 頭を下げて進み 杯を自分の前に差しだすので

姉上の様にお銚子を持ち上げ 震える手で注いだ。

若様を見ずにいると

「・・・・良い・・・。」

と言われ 又、居村と言う小姓頭に連れられて 湯あみをした。


その後は・・・・・・・いつもの 仕事をこなした・・・・・



朝になると


着衣を整え 寝具の上で酒を飲んでいる若様に 頭を下げた。



「帰るー・・・・・・?」

「はい・・・・。御暇いたします。」

と総悟が答えると 若様は馬鹿にしたように笑い始めた。


「帰れるはずは なかろう・・・?。」

「と言いますと・・・?。」

総悟は内心震えそうになりながら 聞き返す嫌な予感だった。

そこに居村が文箱を持って現れた。

彼が蓋を開けると 若様が中の紙に手を伸ばし 読む。

そして 総悟に見せ始めた。

自分が人買に書いた証文と 自分の名前が書かれた証文がいくつかあり・・・・・身売りされたのだと気が付いた。

謀られたとはっと顔を上げ逃げようとすると 奥の障子の裏から屈強な男たちが総悟を捕らえ縛り上げる。


「畜生騙したな!!・・・・卑怯な事しやがって!!・・・・。」

と、怒りをあらわに総悟が怒鳴ると 口が悪いと顔を何度もはたかれた・・・・。




「総悟!・・・・大丈夫か・・・?!。」

はっと目を開くと数秒だった事に気が付く。

「ト・・・・。」

総悟が声の主を見ると 自分の腕に包帯を巻く所だった。

肘を持たれて上げられた腕は縄の跡がくっきり残り 割れ竹刀で叩かれた裂かれた傷が幾重にも重なって居た。

その腕を黙って持ち包帯を巻くトシと目があった。

黙って総悟が見上げると トシは傷だけを見た。


いつも・・・・・トシは自分には何も言わないのだ。


姉には 話しかけて笑いもするのに、自分には興味がないらしく彼を怒らせようとする事を 何度しても 怒らない。

自分は・・・・・見限られているのかと思うと、こうして世話を焼く。

トシ兄は理解不能。

姉上は・・・・・・そうでもないらしい。


「姉上は?・・・。」

総悟の目に又力が戻ると パニックも始まった。

起きようとすると 腕や胸の傷からふつふつと血の玉が生まれ出した。

「師匠が助けに行った!お前はここで待つしかないんだ。」

とトシが包帯を巻くスピードを上げながら言った。


「姉上が!・・・姉上になんか有ったら・・・俺は・・・・。」

総悟がトシの着物の袖を掴みながら 何度も言った。

「静かにしろ!・・・何かって!・・・何が?・・・・・何が起こるんだよ。」

トシは素直に訊くと、

総悟の体が震えるのを見 しまったと思ったがもう遅い。

総悟の目の焦点がずれ始め 声にならない悲鳴を上げ 頭を抱えて前に蹲り始めた。


「あああ!。」

「総悟!・・・・しっかりしろ!。」

彼は、上半身肌蹴たまま髪を掴むように前のめりに丸まった。

トシは総悟の背中に浮き上がる 壮絶な傷跡を眺めながら 声を掛ける事も出来ず うろたえていた。

弟の様に思っていた総悟の変わり果てた姿に 自責し、何故もっと総悟の面倒をみなかったのかと悔む以外にない。

「総悟・・・・。」




又闇が目の前に有る・・・・。


今度は 真白い闇・・・・。


さんざん折檻された後

自分の親指からずきんずきんと信号が送られてくる。意識の奥で体が揺れていた。

背中の傷が背に回された腕にぺたぺたと付き さっきの事を思い出した・・・・・。 


犬の様な首輪をされて天井からつるされて竹刀で叩かれる。

足が 例のガラス入りの足袋をはかされて、痛みで立っていられない。

ガクッと落ちると首が締まるのだ・・・・。

痛みに耐えかねて自分が

・・・・・姉さん!。・・・・・・

と叫ぶと 若様と自分に呼ばせる悪魔が嬉しそうに笑った。

ぞっとしていると


「お前には・・・・姉が残っているのかぁ・・・。」

と おぞましい笑顔で呟き、どこに居るのかと問いだしたのだ。




姉上・・・・。

何日経ったのかただの悪夢なのか・・・・・・。

朦朧とする


自分の目に入って居るのは 小姓頭と名乗った男が自分達の行為を 無表情に正座して眺めている姿だった。

行燈のろうそくは狂った男に煽られた様にゆらゆらと揺れている。

襟は拡げられそのままくくられた手の傍まで下がり、 辛うじて腰ひもで留まっている。

総悟の白襦袢は鮮血に所々赤く染まっていた。

ぽたぽたと・・・・

脂の様な熱い汗が時たま降って来る。

若様と言う男の汗が飛び 総悟の胸に落ちた。

彼の体は無数の傷があり 掴まれた腰は男に支えられ 彼が突くのに任せ揺れていた。

男が押し込むと総悟の膝から先がぶらぶらと揺れ 男の背に当たるが、男は気にも留めず

ただ総悟の腰に自分の物を突き入れる事に集中していた。

ひとしきり動くと休み 総悟の足を舐めまわす。

足袋を掴み足先を握ると

畳に腕を後ろ手に縛られた総悟が苦痛に顔を歪めた。

「泣け!!・・・・。」

男が無情に繋がったまま覗き込むと 総悟の胸はろうそくの火に照らし出されピンク色の胸の突起が目に入る。

下卑た顔をして若様が総悟の胸に舌を落とすと、

「あ!・・・。」

と総悟の口から息がつまるような声が漏れた。

「殿・・・・。」

脇に居た小姓頭が片手を着いて 声を掛けると若様が総悟の表情を見て体を上げた。

「はああ・・・はああ・・・・。」

総悟が呼吸を始めると 細い肢体を見

着物に消えた腰を眺めた。

総悟の物は着物で隠れていた。

先程味わってまだ子供だと確かめた性器。

すぐに大人にする事が出来ないのが残念だった。

「・・・・・ふふ・・・・わしの物は良かろう?・・・・そなたはこれからじっくり 仕込んでやろう。」

と若様が総悟のあらわになった腿から手を下ろしていく、それを総悟が首を戻し眺めた。

「っ!!・・・・。」

総悟の胸が浮き上がり口を開けたが声に成らない。

男が総悟の痛めつけられた性器を再びいじり始め・・・。

「姉は・・・どこに居る・・・?。」

と聞いた。

「!!・・・・。」

苦しそうに身を捩り足を動かすが しっかり腰を押さえ付けられ抵抗できなかった。



そして 総悟は

姉が通う病院の名前を 悪魔に告げたのだ。

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