夜中の紫

腐女子向け 男同士の恋愛ですのでご興味のある方、男でも女でも 大人の方のみご覧下さい。ちょっと忙しいので時々お休みします

おままごと その19

2016-10-29 | 紫 銀

総悟に


どん!!と、


何かにぶつかったか バイクがよろける。


深夜・・・眠いからだろうか


物にぶつかったのではなく・・・・。

体の中から叩かれたような・・・。

前を見ると単調な登りが一時期途絶え

細くなった峠の山道をずっと走っている。


時々大きなライトの車や バイクとすれ違う事もあったが、それも今は途絶えた。

「はーー。」

首を左右に振ると鼻先が凍ったように冷たい。


「・・・眠っちまいそうだなー。」


沖田総悟は 山に向かってつぶやいた。

すると、道は行き止まりのように 木々が立ちはだかった。

左にカーブしているので車体を倒すと、

からっ

何かが バイクのハンドルの中央から落ちてぶら下がった。

見ると白いイヤホンで

何かに繋がっている。

右に左に曲がり始めて 車体の傾きと共に揺れる

それが気になった。


「返してやる。」

と彼らに言った手前 

本当に返さなきゃならないし、備品が壊れるのも嫌な感じだった。

手に取って引き抜こうとしたが取れず、仕方なく耳にはめる。

潔癖の土方なら他人のイヤホンを耳に入れるなんてありえない行為だが、

「ふん。」

と言って、

総悟は

本体を探り当て起動させてみた。

音を体に入れた方が 

余計なことを考えずに済むかもしれない。


これ以上何か思い出すと、途中でバイクを止めたくなるのだ。


「・・・・・。」


音が流れ始めて どこかで聞いた事のある歌だった。

今の総悟には しっくり来たのか・・・。

山を下る道でアクセルを吹かし、

先を急いだ。









その頃







「・・・・資格がないから 俺と勝負出来ないって言うのか?」

港が田嶋に山の上の庵で剣を抜き放ち 勝負を迫っていた。

納得いかない港は


「20年前はお前が 勝負で勝ち、俺の上に立つことになった。・・・先生の決めたルールでは 俺だけが 道を違えたお前を戒める事が出来る。・・・今!俺が切られても、お前が切られても、それは道場の決めごとの中の事だ!。」

そう田嶋に向かって言った。


「理由は!・・・・総悟との過ちについてだ!。あの時貸していた時間を返してもらう!間違う事なき!正当な 理由だ!・・・・そうだろう田嶋!!。」

そう言いながら、

田嶋が床の間に置いてある剣を取れるように 回り込んで下がった。

田嶋は 首を振る。

ろうそくの炎は港の心に同調したのか

ぼうぼうと荒れ狂い、二人の影を大きく揺らし続けた。


「くーー!田嶋!許さん・・・・許さんぞ!。」

港は我慢の緒が切れたらしく 拒絶を侮辱ととらえ 

嚙んだ唇から血が流れ落ちる。

田嶋が再度首を振ると

港は 目を見開いて仁王立ちになり

田嶋のいる奥の間の下 次の間の真ん中に座り、羽織を脱ぎ捨てた。

先生からいただいた太刀を鞘に納め 恭しく田嶋の目の前に置き 

ぐいっと両手拳をついて ぐいっと下がり、太刀に頭を下げる。


「最早これまで。・・・御免!。」

そう言うと、

脇差を田嶋の目の前で抜く


田嶋は

「港!!・・・貴様!。」

と制止しようとしたが、

港は 手早くその刀身に懐紙をくるくると巻く。

ぐいっと、さくらが仕立てた着物の襟を引いて腹を開くと 両手で・・・腹に・・・


どん!!と、


港に

田嶋が体当たりをした・・・。


「ば・・か・野郎!!。」

叫ぶ

港のわき差しを取り上げようと手を掴み、

立ち上がりながら二人はもみ合った。

力は互角で、刀を持った腕をお互いに押し上げてガツンと 額をたたきつけ、お互いの目を覗き込みにらみ合った。


「・・どっちが!!貴様に言われたくないわ!!。」

港が言う。

言うとすかさず田嶋の襟を持ち 肘を入れ彼の半身を床に 落としにかかる。

田嶋は脇差の柄を 垂直に下に叩きおとし畳に突き刺すと、体は畳に落とされた。

港は剣を持ち直そうと ぐいっと抜こうとしたが、

思いの他深く刺さった脇差はすぐには抜けず、

田嶋は逃さず港の頬を拳で殴った。

港も殴られたままにはしない。 

殴られた反動を使って脇を開け 田嶋の首を掴み

あごの下に肘を入れようとしたが、彼の縛られてはいたが ぼさぼさの髪が邪魔で

なかなか絞められない。港は足で胴を抱え込み、

田嶋は港の体を 持ち上げ 畳に叩き落す。


はあはあと・・・

息が切れ、お互いが殴り合って一息つくと、

港が

「共にっ・・・どこまでも!・・・はあ、はあ、・・・信じて・・たんだぞ!。」

「俺と・・お前と・・石川と!・・・剣術大会に・・・ついて行って!赤チン塗って・・・絆創膏は・・・って。」

と、港が息を切らしながら言うと

「・・・こんなとこ!・・・一秒だって居られるか!・・・先生もおらん!。」

と田嶋も本音を答えた。


「いつから!・・・俺が・・・嫌いなんだ?!。」

「・・・。」

田嶋は苦しそうに首を擦り 

港は 口が切れたのか手の甲で口を拭う。

「答えろ田嶋!。」

「ずっとだ!・・・お前が 本も・・・そろばんも!・・・なんでも出来っからずっと!・・・ずっと 大っ嫌いだ!。」

田嶋が吐き捨てるように言うと 港は満足そうに笑って

「ふん!・・・何が!・・・剣指南役だ!・・・城内に上がらせももらえないくせに・・。」

と言う。

田嶋も

「おめぇも、・・・ただのそろばん侍だもんなぁ!。」

と返した。

港がばっと動いて田嶋にとびかかり、もう一度首を絞めようとすると、

田嶋も、両手を伸ばして港の体を足でうけようとする。

巴で投げられそうになるところを

田嶋の襟を掴んで耐えたので、田嶋の着物は崩れた。


「先生に依怙贔屓されやがって!拾われたからって!乞食だったからって!。・・・今度は面倒くさくなりましたなんて!!許さん!」

港は田嶋に馬乗りになると 平手で彼の頬を叩き始めた。

田嶋の手が港の顔に届き、爪を立てて ぎゅっとつねってくる。


「馬鹿は!馬鹿なりに・・・・貰えるもん受け取って おけばいいんじゃ!。ぼけ」

田嶋が叫び、

 

また自分を馬鹿にした。

俺は本当に資格がない・・・。


「お前みたいなバカ 大馬鹿!先生が・・・大先生が!認めるわけない!・・・俺だったはずだ!なのにお前が変な手使って 取ったんだろ!。」

港が田嶋を平手打ちして言うと 

田嶋が

「・・・その 通り!。」

と答えた。

港は ざわっと背筋が動いた気がして、掴んでいた襟を投げ捨てるように離す、

「・・・何を・・・!。」

と田嶋に尋ね、

田嶋は 叩かれ切れた口を舐めながら

港を見つめ


「手じゃない・・・・・。」

とつぶやいた。

港が呆然と・・・自分の上に座っているので付け加えて、

「・・・体だ。」

と言う。



港が退くのを待っていたが、

港の目にみるみる涙が集まり、

顔が苦悶に歪んでいく。


そして、拳で思いっきり殴られた。


ぐっと両手で襟を掴み締めていいやら、持ち上げたらいいのやら 

港が体中の力で

今聞いた言葉を拒絶しようと苦しむ 

田嶋は成すすべなく眺めた。


「嘘だ・・・嘘だ・・。」


港は

田嶋が自分に嘘つく事は無いと知っている、

嘘と言って欲しくて 何度も自分に言い聞かせる。

握っていた手を開いて田嶋の胸に広げ押した・・・。

 

「・・・ここでだ。」

田嶋が静かに

言った。











「先生・・・俺は先生のお世話をずっとさせていただきますが、港の手伝いをしろと言われれば、喜んで・・・そうします。」

若い

田嶋は

先生の付き人として 道場で修行に励んではいたが、

18ほどになり

港と共にと、将来を夢に見

それをこの上なく喜んでいた。

馬鹿が付くほどまじめな港は、

自分に対しても まじめに付き合ってくれる。

皆が港を 先生の一番弟子だと認めていたので

田嶋もそれを認めていた。


「・・・・お前は、・・・・ここに連れて来られた時に・・・儂に何でもすると誓ったな・・・?。」

先生が晩酌で 珍しく酒の2合目を呑みながら、田嶋に聞いた。

「勿論です。・・・今ここで命を絶てと言われても 何の依存もございません。」

そう言いながら頭を下げる。

ただ・・・、すぐにと言う事でないならば、

自分は、大先生と重蔵のように畑を作り、港を手伝い

余生を・・先生と二人で暮らす事を夢見ている・・・。


「よし・・・忘れるでないぞ。」

「はい・・・。」

その夜はそのまま終わったが、


次の日先生のお供で、山の上の隠居を訪れるとそこには、

大先生と重蔵、自分と先生後他に 先の道場師範たちが 3人並んで座っていた。



田嶋 六助は緊張して 畳に頭を付けるように下げ、

固唾をのみ込みもう一度聞き返す。


「契りを・・・かわし・・・?。」

何の話なのやら、

道場後継者の誓いがどうとか言っていたような気がするが・・・

大先生の高弟と自分が 体で契りを交わして

誓わなくてはいけないと言うのだ。

先生をちらっと見ると大先生の横に座り 前だけを見つめている。

大先生は

「・・・ほんとに こやつか?・・・港と・・・おもうておったが?。」

と自分の顔を見ながら嫌そうな顔をした・・・。


「はい・・・私には これで・・・。」

と先生が自分を肯定する。

田嶋は頭を下げて、昨夜のことを思い出し、

了承した・・・。

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