夜中の紫

腐女子向け 男同士の恋愛ですのでご興味のある方、男でも女でも 大人の方のみご覧下さい。ちょっと忙しいので時々お休みします

沁みる 21

2017-06-28 | 紫 銀

江戸の列車は この大きな操車場に集まる。

武州に物資を運んだ後にここに戻って来たのだが、

護送した物が、そのまま送り返されたと言うので、土方と山崎は引き取りにやって来た。

総悟と銀時の二人とも、帰りは普通に帰って来ると思っていたのだ。


「総悟の訴追は、避けられたんだろう・・・?。」

土方は車を降りてドアにもたれ掛かると、ライターでタバコに火をつけながら呟いた。

「そのはずです・・。先方の有村さんが丁重に坂田氏に謝罪した後、駅まで送り届けたって連絡ありましたから。」

山崎が 線路わきの道を歩いき、土方の前を過ぎていく。

目の前には彼方からの線路が横たわり 例の列車が止まっていた。

積み荷降ろし様に、横長の台車が護送列車の前に付けられ、台車に二人が乗ると

きりきりと列車の扉の高さまで 台が持ち上がる。

「じゃ誰が 乗ってる?・・・・・・総悟が、優雅に寝台列車貸し切りしてきたんなら、たるみ過ぎだ。」

と土方が煙を吐き出した。

山崎は

「・・・副長だって・・・他人の事言えませんよ?。」

と、言う。

「はあ?・・・どこが!?。」

土方が山崎に向かって聞くが

「・・・あれから・・・酒飲まないじゃないですか。・・・この時期お呼ばれ多いのに・・町内会の花見、長の付かない奴他の奴に行かせられます?・・。局長もちょっと・・・おかしいし。・・・沖田隊長だけって事じゃないと思いますよ。・・・だから毎年うちでやってる花見だって・・・。」

山崎は列車の扉を見ながら言った。

「みんなが・・なんだ?・・・俺らと関係ないだろうが。花見でも何でもすればいいだろう?。」

土方が言うと、列車の扉はガラガラと空き、

「・・・桜っすよ・・?。・・・揃って見るもんでしょ。」

と言う、

列車の中からアルコールの匂いが漏れて来て、二人は会話をやめた。


「・・・総悟か!?。」

土方が叫び。

「沖田隊長?!そこに・・・いるんっすか?。」

と山崎も呼んだ。


すると中の暗がりから ずるっと何か引きずるような音がして

光に向かって手が伸びてきた。

土方と山崎はぞっとなったが、それが誰の手だか判ると 土方はずかずか奥に入り

設置されている簡易ベッドの方に行く。

山崎は

「どうしたんっすか?!坂田さん!。」

その腕に駆け寄って体を引き起こすと 銀時の体が異常に熱い事に気が付いた。

「・・・あの野郎・・・不思議って・・・三途の川に近いって意味かよ!・・・総悟に・・・。」

そう言うと、目から力が抜け意識が朦朧となる。


「総悟!!・・・起きろ!馬鹿!・・・いつまで寝てやがる!。」

土方もベッドの上の総悟を揺すったり頬を叩いたりして、やっと起こした。


「しっかり!坂田さん今 病院に連れて行きますから!・・・副長!銀時さんが!・・・高熱。」

山崎が銀時を担いで台車に乗ると、土方と沖田総悟も台車に乗った。






「風邪かも・・しれない??。」

土方が 両手をポケットに突っ込みながら、藪医院の廊下で一見よぼよぼに見える爺さんの医者に聞く。

藪医師はかすれた声で、

「お前さん方が・・・、善良な市民をいじめてこじらせたのなら風邪と言う事の出来るが、・・・・具合が悪いの承知で寒い監獄列車にのせ、長旅させられたストレスによって、何かの・・・重大な病気が発病したとも言えるな。・・・風邪は万病の元じゃからな。」

と言うのだ。

土方はいらっと眉をひそめてから

「原因が 判らねえって言ったらいいじゃねえか。」

言うと、

藪医師は

「原因を考えるのが仕事なんじゃ。・・・お前さんが見ても、・・・病気じゃろが?。」

と土方を見て手を消毒した。

「・・・。」

土方が黙ると


「・・・まあ、合ってみるといい。お前さん方が心込めて謝れば治るかもしれんよ。」

と言い 診察室の方に戻って行った。


土方はそれを見送ると、銀時が寝かされている部屋に入って行く。

カーテンの向こうに入ると銀時は点滴に繋がれて目を閉じている。

「・・・。」

ベッドの脇の窓から、春の光が入って来て眩しい

「カーテン・・・閉め・・てくれ。」

土方がぎょっとして銀時を見ると、やつれた銀時が口を開いた。

黙って居る時は感じなかったが、口を開くと頬がこけているのが良く判る。

「おう・・。」

と土方がカーテンを引くと 銀時が

「俺の商売は・・何だか知ってるな?」

「万屋だろう?。」

土方が答えると、

銀時は喉を押さえながら

「俺は・・・生きてる奴専門なんだよ。・・だから、お前らの師匠の世話までは出来ねえ・・・が、いろいろ有ったのは、・・・事実だから。」

と、昨夜の事を話し始めた。








車が藪医院の前に泊まると 自分を置き、

銀時を土方と山崎が抱えて降ろし、医院に運び入れる。

旦那は 一晩で風邪をぶり返し こじらせたらしい。


昨夜の列車の事、今思い出すと夢だったのかもしれないが、

途中から銀時には見えず

先生が俺を抱きしめた・・・ように感じて、俺も

先生が切ったと言う腹を抱きしめた。

沖田総悟は・・・銀時の後ろ姿を思い出して

車のドアを開ける。

あの体は 旦那で・・・先生ではない・・・。

先生が一瞬だけ会いに来たと 判っているが、

またあの目を見たら・・・


車の中で眠ったふりをしたのは、銀時が起きて、自分を睨んでいるかもしれないから目を閉じていたのだ。

「・・・やばい・・・。」

沖田総悟は そう言い、藪医院の前から歩いてどこかに消えた。




 

「・・・って、俺にどうしろって言うんだ?・・・俺だって・・・生きた犯罪者 専門なんだ。」

と言い、土方が咳の酷い銀時の隣で煙草をくわえたが、火はつけなかった。

「・・・お前の師匠だろうが!・・・なんで俺に憑りついてるんだよ、何とかしろ。」

銀時は 熱のせいで虚ろな目をより一層虚ろにして言った。

「師匠を 悪霊みたいに言うな!・・・攘夷戦争を恨んでんだろうが!・・・お前らが暴れなきゃ、師匠が江戸に召喚される事も無かったんだぜ。・・・」

土方がいらいらしながら煙草を箱に戻す ここは病院だった、

「・・・俺たちが起こした戦争じゃねぇよ。・・・もちろん六助達もそうだが・・・今思えば、最初の発端は・・・まったく別な意図が絡んでた。・・・その意図のせいで・・・六助達は噛ませ犬、俺たちも・・・ついでに葬られた 間抜けたお仲間さ。」

銀時が言う。

土方はがたっと立ち上がり、銀時に殴りかかる寸前と言う顔つきで

「・・・先生、間抜け呼ばわりすんじゃねぇ!・・・。先生は間違っても噛ませ犬なんかじゃねぇ!」

と、吠えた。

「・・・・。」

銀時は黙っている。

土方は不愉快だと言わんばかりに、病室を出て行った・・・。

すると、

山崎が入れ替わりに入って来て、

「・・・いいんっすか?・・・今なら・・・意図・・・かなりな悪意が有ったって証明できそうですけど?。」

と去った土方の方を見ながら言った。

「・・・・あの時・・・知ってなきゃ意味ねえんだよ。んなもの。」

と、銀時が 頭の上で腕を組んでため息をつく。

彼が目を閉じたので、山崎は

銀時のべっど脇の椅子に腰掛けた。


「どうしてです?・・・俺も・・・いろんな報告書読んで、維新て・・動機はおかしくなかったって・・・思いますよ。」

山崎が言うと、銀時は片目だけ開け山崎を見る。

「・・・・・・・・仲間も六助も・・・戻って くるわけじゃねぇ・・。何言っても 慰めになんねぇよ・・・。」

銀時が表情一つ変えずに答える所を見て 山崎は

銀時が この重荷に慣れてしまっていると理解した。

何がいいのか悪いのか  

自分は人間らしく・・・そんな物には慣れたくないと思う。


「そう・・・ですよねぇ・・。」

山崎は そう言い、考えるのをやめた。

「山崎・・・お前・・・いろんな事に顔突っ込んでんだな・・・。」

そう言いながら、銀時が体を起こした。

「ええ・・・まあ。」

山崎が答えると、

「じゃあ・・・謝罪ついでに調べてほしい事が あんだよ。」

銀時が山崎を見る。嫌な予感がしたが、風邪をこじらせてしまった手前、自分が調べるしかないようだったので、

「えーーなんっすか?。」

と、立ち上がった。






その後日


土方は、銀時が師匠の幽霊らしきものに遭遇したと言う 報告を近藤にした。

「・・・先生が総悟を気に入ってたのは 判ってますが、信じられない話で、・・・銀時が 総悟をからかったんだと分かっちゃいるが・・・。」

局長室の椅子にどっかり座る近藤は

深く腰掛け、ひじ掛けに左肘を立て少し斜めを向いたまま土方の報告を聞いて居た。

土方は近藤を良く知っていたので 信頼したように

「・・・総悟が・・・馬鹿な事しなきゃいいんっすけど、あいつ昔から先生の事になると・・・。」

と、相談しに来たのだ・・・。

土方が近藤を見る。

土方は、近藤が底知れない部分を感じている。

あの道場に入門した時は、もっと先々代の威光が強く 殺伐としていた・・・。

本来の理真流武士の姿 を知っているはずだから


「・・・わかった・・・トシ。俺が 見ておくよ・・。どの道しっかり言わなきゃならん頃だったからな。」

近藤が目を伏せて 声のトーンを落として言った。

土方はごくりと自分の喉が鳴る、あの感じ。

先生と近藤には・・・汚れた仕事と言う物が来る時が有った。

前は、道場主が出かけて行って 依頼された相手を暗殺してくると言う仕事などだった。

今はもうなくなった様だが、それを先生は引き継いで行っていた。


有る騒動で道場仲間の父親が巻き込まれた事件・・・

若いチンピラがどうしようもなく手に負えなくなったので、自分たちが出て行った時。

許してくれと言った若者に 近藤は

武器を持った意味を教えるといって 背中を切った。

ざっくりと切れた背中からぴちぴちと筋肉繊維が切れるのが見えた。

自分が・・・峰打ちしたのに対して 近藤は容赦がない。

その事を後で聞くと


先生が有る大名を脅したと言う女の子供を誘拐して 指を切り落とした時の話をしてくれた。


「・・・これが侍 と言う物だ。・・・命令されれば、徹底的やる刀。・・・そういうものだろ?。」

とあっけらかんとして

小さな指を近藤に渡したという。


二人は真の 侍だったのか・・・とその時は思ったと言う。


近藤も、行くと言う時は 空気がよどんで重苦しくなる・・・。

土方は・・・

憧れてはいないが 自分んも同じ刀としてありたいと いつも思う。


「山崎には・・・あまり口・・・目を 突っ込むなと・・言ってくれ。」

と言いながら土方を見る。

「はい・・・。」

土方は返事をする。


 

 

銀時は数日 入院しすっかり元に戻る。

一抹の嫌な予感はあったが、酒と・・・

甘いものが欲しくなって、夜の街に出た・・・。

すると。

『小説』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« しみる 20 | トップ | 沁みる 22 »

コメントを投稿

紫 銀」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。