夜中の紫

腐女子向け 男同士の恋愛ですのでご興味のある方、男でも女でも 大人の方のみご覧下さい。ちょっと忙しいので時々お休みします

沁みる 15

2017-04-19 | 紫 銀

思い出すのは、土煙と火薬のにおい


「話せば判るんじゃないか?!。」

と、おかっぱ頭の桂小太郎が後ろから走って来て 坂田銀時の肩を掴んだ。

大砲が近くで炸裂したので、土がばらばらと降り注ぎ、伏せた顔を上げると銀時が小さな堀の中から外を覗いている。

刃の大きな鉈のような槍を持ち、目の前にいる黒ずくめの3人の男を睨んでいた。

「武士がどうとか、主君がどうとか・・・俺には関係ねぇ・・・。」

銀時が言う

「俺には、あいつが全てなんだ・・・。」

「銀時!殺すなと言ってるんじゃない、あいつらの意図が見えないと言っている。それが分からるまで・・・待て!。先生も・・・」

小太郎が堀を登る銀時を捕まえようとしたが、土を浴びた体は滑り、小太郎も堀の壁を登る羽目になる。


討ちたい敵は3人なのだが、走る銀時の周りには雑兵が集まった。銀時は刀を抜かず大ナタを振り回して雑魚を蹴散らす


・・・鬼神のごときその後姿を見慣れているはずなのだが、

白と言うより銀色に輝くその髪は 彼が自分たちとは全く違う種族なのではないかと思わせる。だが、天邪鬼と呼んでいたガキの頃を思い出し一笑に伏す。

「待てっ、つってんだ!!。馬鹿

小太郎は銀時の後に続いて 大砲の砲弾の落ちる中を走り。

銀時よりも早い足で一足飛びに追いつくと、銀時の後ろに回り込んで

槍で彼を突こうとしている敵をなぎ倒す。

「・・・はあ、・・はあ。」

「コタ・・。」

追いつくと・・間の抜けたような銀時の声に

「・・・スコティッシュじゃ・・・ないと・・・言ってるだろ・・。日本産だ・・・。」

小太郎が息を整えながら答え、彼の背後に付く。


「俺も・・・道産子だ・・。」

銀時がまたおかしなことを言うので、眉をしかめざるを得ず 小太郎が彼を覗きながら

「・・・お前・・・、本州育ちだろ・・・?。」

と水を差す。

銀時はかちんと来たのか 背後の小太郎を見ながら、

「は・・・?お前が、日本産だって言うから・・。」

と反論したが、

「前見ろ前!・・・。」

小太郎がどんと銀時の胸を押し、自分の手は引いた。

ばさっと、大薙刀が降って来て小太郎は後ずさみ、攻撃者を見る。

大きな体の男が 自分たちの間をかき回すように、薙刀を左右に振りながら笑った。

「わっはははは!・・・わっぱどもまだ生きとったか!・・・悪運も実力の内だのぉ。」

銀時が薙刀を受け払い、大鉈の重みで相手の腕を払い落そうとするが、

男は柄を器用に くるっと回して銀時の顔を突いた。

その一撃を避ける、だが大鉈に力が乗らず 

逆に気合の一声と共に切りつけられる。

小太郎も 加勢しようとしたが、脇から白刃が一閃したような気がして銀時から離れると、耳ぎりぎりで切っ先がかすめて行った。


「六助・・・。」

この静かな切れ味に覚えがあり、彼の名を口にすると

全身が黒ずくめで、小手、地下足袋をゲートルで巻いた、侍と言うよりはまるで忍びの者が、自分の目の前にいる。

これは、容易にさばける相手ではないと、小太郎が剣を構えると、

「・・・来るなと・・・言っただろ・・・。」

と 六助が呟いた。

「大局を見れない奴ほど、大口を叩く。」

彼が背を伸ばしながらいうと、小太郎が


「仲間を見捨て生き延びても、その世界に生きるは価値ない!。」

と叫んだ。

六助は少しだけ笑い

「・・・それが本音だったか?死んだら意味がないんだろう?。」

と、答える

「・・・理想が・・叶わぬ時、仲間と往くのも・・・侍だ。」

と小太郎が、銀時に近づこうと回り込む。

六助も周り 構えながら

「それを、お前の嫌いな 負けの遠吠えと言う。」

と呟いた。

「・・・。」

黙る桂小太郎。



「出来ないのなら、初めからやらなければいい・・・。お前の師匠は 何と嘆くか。」

六助が言うと、桂小太郎は六助に切りかかり力任せに数歩押す。


「売られた喧嘩を買って何が悪い!、信じて死ぬ事に意味があって 何が悪い!!。・・・・お前たちに生きがいが無いからって、俺たちの死も無駄だなんて、言わせない!!。」

六助はあえて深追いせずに、小太郎を銀時の援護に回らせた。

すると2人がかりで銀時の相手をしていた大男が 小太郎に不意を突かれて銀時の大鉈を避けきれず、頭から血が噴き出た。

「あ!・・。」

小柄な男は、大男に手を伸ばすが小太郎に指を落とされた

薙刀を捨て大男が太刀を抜いて彼を助け、

小柄な男が大男が立つのを助ける 

近くで砲弾がさく裂した。

全員が耳をやられて朦朧とする中、銀時が また腰を落としている大男に刀を抜いて近づく。


濛々と煙る中銀時が、小太郎が立って現れた事に気が付いた。

小太郎は六助に貫かれてわき腹を押さえている。

六助が後ろから、小太郎の腹を切り開くと言わんげに睨んでいたので、銀時は 大男から一歩下がる。

大男が、小柄な男に支えられながら立ち上がると、六助は慎重に刀を抜いて、小太郎を押して銀時に返す。

砲弾がひどく降るようになり。

「何でけりを付けない・・・?!。」

と、銀時に肩車された小太郎が叫ぶと、六郎が耳をほじくりながら

「ガキだから。」

と言う。




「結局・・・俺たちはどっかの勢力に踊らされてただけで・・・維新志士も、討伐隊も何の意味も無かったのさ・・・。」

銀時は ベッドの沖田総悟に言う。

「・・・・。」

総悟はベッドに伏したまま黙り。

「・・・・俺は・・・。」

と、銀時がその先を表現できずに 黙る。



暫くして

「・・・・俺は、あいつらに・・・頼んじゃぁいない。・・・俺らがやったと言われている悪事は、あいつらが作り上げた事だ。だから、獄門首になったとしても何とも思わないが・・・。俺らにも、失えない物があったように、あいつらにも有った。・・・・俺たちは・・・死んでは叶えられないと思い知り・・・あいつらのは、死ななきゃ叶えられない物だったと・・・言う事だ。」

銀時が窓の外を見ながら言う。



「・・・そんなこと 聞いてねぇってばぁ・・・。」

総悟がゆっくりと肘をつき背中を押し上げ、くぐもった声で

「・・・・旦那ぁ・・・俺は・・・田嶋六助がどんな男だったか 聞いてんでぇ・・・。」

いうと、銀時が

「・・・忘れた。・・・・むさい男だったな。・・・中身は知らん、喋ったのはずらだし・・・。」

と答える、総悟は顔も上げず

「・・・なんで覚えてないんだよ!・・・旦那の代わりに 兄弟の首差し出したのにィ!・・・。」

と言う。

「・・・・・・お前の先生じゃねえか。お前の方が・・・」

「もう!分からなくなっちまったんだよぉ!・・・どんな気配だったか・・思い出せない。どんな声だったか・・・段々薄れていく、思い出すのが難しくなっちまう。・・・・先生が・・・俺の中から、消滅する。」

総悟がベッドの上で丸くなって拳を握り締めた・・・。

「・・・・。」

銀時は 黙ってそれを眺め、


「・・・・先生は俺に 魂半分くれるって・・・だから今まで、合わなくても・・・、俺はやってこれた・・・。・・・だけど!・・・腹切っちまった。・・・俺が償わなきゃいけない罪持って・・・・・・・・・。」

総悟の静かな嗚咽を聞いて居る。


外の中庭を見ると、外には真冬枯れしたままの庭木が貧相に立っていた。

閉まった窓の・・・

室外機の風に吹かれ枝も少なめに広げたその木は・・・

もう森に戻る事も無く、ずっとそこに居る。

誰もその木を知る事も無く、

枯れて切り取られても 惜しまれもしないだろう・・・。


銀時は 何の感慨も無く その木を見る。


「・・・・怖いんだ、・・・感触が思い出せねぇ。・・・その内 全部思い出せなくなる。・・・旦那ぁ・・・俺に 何か、思い出させてくれよぉ・・・。頼む・・。」




山崎は

病室の外に身を潜めていた。

沁みついた性質のように、二人が話して居ることに、聞き耳を立てるべく潜んだのだが、それを後悔していた。

人の秘密は 役に立ち、自分を助けてくれる  ・・・・・が、

これは秘密の中でも全く別なものだったのだ。

写真の中の人物を 知っておかなければならない対象だと思ったが、

それは止めることにする・・・。


山崎は買ったものを持ち、来た道を引き換えした・・・。


「はあ・・・。」

そんなに大きくない医院の玄関に出ると、ため息をつき立ち止まる。

偽隊士騒動、事態の収拾を付けるために、銀時を連れてきたのだが これで良かったのかどうか・・・。

あれやこれや考えて時間が経っていたが、気が付くと

以外にも 自分は・・・診察の終わった患者に挨拶されたり

それの受け答えをしている自分。

自分は 警備員じゃなく、新選組の隊士なんだけども・・・

ちょっと そう思っていながら、お兄さんお兄さんと声を掛けられる事が心地よい。だが

医院前の雰囲気がガラッと変わった。

パトカーが止まり中から 隊士2人が降りてきた


土方と近藤だった。

イラついた顔の土方がバンと、ドアを閉め、2人は揃って玄関の階段を登ろうとする。

「局長!・・・。」

山崎が取り巻く年寄りに手を上げながら、近藤の前に立つ。

「・・・山崎・・・。」

近藤が山崎を見つけて止まった。

「ここに居たのか・・・。総悟の見舞いか?。」

「ええ・・・まあ。・・・ちょっと、お話ししたい事が有って・・・。」

その近藤の脇をすり抜け、土方が階段を上ろうとするので・・・、

自分でもびっくりしたのだが

「土方さん!・・・副長に!・・・話があるんです。」

と土方の肘を掴んだ。

土方もびっくりしてみていた。


「はあ・・・?。」

「緊急に、・・・ここではまずい話なんです。・・・資料も俺のパトカーの中に有って、付き合ってもらえませんか?。」

そう言うと、コンビニのビニール袋を近藤に渡した。

「おう・・・。」

すると、山崎は小声で

「坂田さん 来てます。」

と呟いた。

近藤は袋を受けとりながら

「・・判った。」

という。



「・・・・何の話だ?・・・情報局?・・・公安か?・・」

土方は山崎についてパトカーの後ろの席に乗り込むと、矢継ぎ早に質問してきた。

山崎は車を出して 暫く走らせる。

「・・・お前・・・何隠してるんだ?・・・俺を総悟に合わせたくない、何て・・・話じゃねえだろうなぁ・・・。」

土方が、運転席と助手席の間に身を乗り出して来て言うと、

「・・・沖田さん達の師匠って、どんな人だったんっすか?。」

と山崎が切り出した。

「はあ?」

土方が言う。

「・・・・沖田さん、ずっと会ってなかったから、忘れそうで怖いって・・・。」

山崎が前を見たまま言った。

「お前に・・・そんな事言ったのか?。」

土方が聞く。

「いえ・・・俺に じゃないです!。」

「誰にだよ。」

土方が聞いたが、山崎は答えず・・・

「病院に・・・・誰か・・・居たのか?。」

土方の声に びくっと驚いた。

ギャアンとブレーキが鳴り、土方が勢い良く前につんのめる。

「・・・赤でした。」

山崎が答えると、土方は体を戻し、

「てめ・・・。」

といって、山崎の服を掴む。

仕方なく山崎は警察庁の地下の駐車場に車を止めた。

山崎と土方は車を降りてきて、例の封筒を土方の前に出す。

「・・・何だ?。」

土方は山崎に聞いた。

「これ・・・・沖田さんが欲しいもんっす。・・・坂田さんに本気で切りかかって、情報局に身売りしたのも・・・これの為 だと思います。」

山崎は封筒を土方に渡すと 隊服を脱ぎ始め食堂の制服を着る。

ズボンの上に白い前掛けを掛け、頭にはシャワーキャップ、口にはマスク。

それを眺めていた土方は、

「・・・何中・・・格好を。」

ぼやいた、

山崎は構わず着替え

「これが、一番ばれなくていいんです。・・・食事中無防備だから 仲間に仕事の事を話すことも多いし、上司の事を何人もが推測して喋ってくれるので、本人来なくても大体情報集められるっす。」

と、言う。

「・・・俺は・・・この頃、違う組織の内情知って 新選組について思うとこもあるんですよ。・・・」

山崎は隊服を紙袋に入れながら話す

「・・・何を・・・。」

と、土方が聞くと

袋に少し乱暴に服を突っ込みながら・・・

「・・・・沖田さん・・・の扱い少しおかしいっすよ・・・。もっと評価されてもおかしくないのに、ほっとかれてるし・・・。」

土方は

「・・・隊長ならそれっくらい当たり前だろ!・・・評価してくれなんて ガキじゃねえんだから・・・。」

言う

「組の評価じゃないっすよ・・・副長の事です。・・・お師匠様と何があったか知らないけど、副長が二人の事知らんぷりって・・・変でしょうが?!・・・おんなじ師匠なら、尚更。」

山崎は食い下がる。

「うるせえ!!お前にゃ関係ねぇだろうが!!。」

土方は 怒鳴った。

「ええまあね!!・・・俺がこんな格好して、時給1000円切ってるのに 嘘ついて働いてたりしなくてもいいはずなんっすよね!・・・みんなに死んでほしくないとか!情報早く知っとけば対処できるなんて思ったりもしないでさ!・・・沖田さんみたいに まっすぐ切り込んで死にに行くだけ考えてりゃ、カッコはいいっすもんね!。」

山崎が、シャワーキャップを取り、マスクを外し怒りをあらわに 怒鳴った。

土方は山崎を見て 

「・・・・すまん。・・・・そんなつもりじゃないが、・・・総悟は・・総悟には・・。」

山崎が俯きながら、深呼吸しコック姿で腰に手を当て

「沖田さんには・・・何っすか・・?。」

と問いただすように聞く。


「・・・・いや・・・あいつに言う。」

と、土方は答えた・・・。

山崎は、紙袋を渡し

「・・・・封筒の中身・・見ちゃいました。すみません・・・・・・。」

と言う。

『小説』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 沁みる 14 | トップ | 沁みる 16 »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。