つらつら日暮らし

仏教、禅宗を学ぶ曹洞宗の禅僧によるつらつらなる日暮らし。時事ネタ、野球ネタもあります。

最澄・空海と同時代の禅僧

2014-01-27 09:44:39 | 仏教・禅宗・曹洞宗
全員全部を挙げることは出来ないけれど、ちょっと気になったので比較してみたい。なお、最澄と空海の生没年、及び、入唐期間は次の通りである(数字は西暦年)。

最澄・生没年:767~822 入唐期間:804~805
空海・生没年:774~835 入唐期間:804~806


ということなのだが、同じ時代の禅僧というと、こんな人達が思いつく(以下、生没年のみ西暦年で記載)。

●青原系
薬山惟儼:745~828
丹霞天然:739~824
天皇道悟:748~807
雲巖曇晟:782~841
道吾円智:769~835


●南嶽系
百丈懐海:749~814
塩官斉安:?~842
西堂智蔵:735~814
大梅法常:752~839
南泉普願:748~834


ということで、いわゆる「江湖」という禅語の元になった、江西の馬祖道一・湖南の石頭希遷という二祖師の弟子達くらいの世代が、ちょうど最澄・空海と同時期といえようか。それで、だとすると、これらの禅僧とは時代的には、交流があった可能性があると理解出来る。

ただし、そんなに簡単ではない。先に挙げた最澄・空海、ともに同じ遣唐使船団で中国に渡ったが、別船だったことと、船が行き着いた先が違い、中国国内での移動はずいぶんと異なっている。簡単にいえば、以下の通りである。

最澄:明州(浙江省)⇒天台山(浙江省)
空海:福州(福建省)⇒長安(陝西省)


つまり、最澄は中国でも南部といえる浙江省を活動の主たる場としており、空海は唐の首都である長安(現在の西安)にまで趣いた。それで、確かに後の鎌倉時代の道元禅師などは、時代も南宋であって、この頃の浙江省は政治・経済での中心地といえる状況であったが、この時代は一地方に過ぎない。やはり政治の中心は北であり、文物も集約されていた。なお、先に述べた禅僧達が活躍した場所も、多くが南部であって、江西省・湖南省というのは、かつての春秋時代の国名で言えば、「楚」に当たる位置付けで、いわゆる「中原」ではない。

それで、最澄については、わずかに大梅法常のみが、その活動圏が重なる可能性を有している(天台山と大梅山は、同じ浙江省内で近い。だからこそ、道元禅師も両方に寄れた)ものの、大梅自体はほとんど山の中で仙人のような生活をしていたのであり、最澄とはまるで接点が無かったことであろう。

また、ここに挙げた青原・南嶽ともに、「南宗禅」と呼称される状況であって、長安という都とは縁が遠い状況であったことは言うまでも無く、空海とも接点が無かったに違いない。よって、あの広い中国で、最澄も空海も、たまたま地元にいたような禅僧を除いて(最澄は、日本で北宗系の、中国で牛頭禅系からの相承があるという)、接点が無かったと考えるのが普通であると思われる。

ただ、当時の中国も日本も、特定の宗派のみを学ぶということは無く、複数の宗派を学んだり、相承したりすることが通常であった。最澄が日本で就いた師である行表もそういう人であったし、鑑真などもそうだ。最澄自身も同様である。

合わせて、当時の日本はまた、独自に中国仏教の動向を、ちゃんと知っていたように思う。しかし、日本の仏教自体が、いわゆる南都六宗を中心にしたものであって、それにくっついて、禅宗を嗣いだ人が来たとしても、主とならなかったのであろう。

しかし、禅宗の教えを知りたくて、お試しのように招かれた場合もあった。それは、【中国から招かれた禅僧 義空禅師(禅宗以前の禅僧達3)】という記事をご覧いただければ良いのだが、この義空という人は有名で、後々まで日本の禅宗の人も知っていたのである。また、その時この義空を招いた慧蕚は、いわゆるヘッドハンター的活動をした人であり、国費でそのような仕事に従事した者は複数いたようである。

だからこそ、人材を確保することは出来たのだろうが、しかし、まだまだ禅宗が中心になることは無かった。日本とも全く接点が無かったわけでも無いとは思う。ただ、最澄・空海との関係は限定的だったのであろう・・・空海に仏心宗関連の記述ってあったかな?十住心体系には入っていないはず。

この辺、多分に先行研究とかもあるのだろうけど、それを見ずに適当に書いた記事なので、誤りがある可能性があることは申し上げておきたい。

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