つらつら日暮らし

仏教、禅宗を学ぶ曹洞宗の禅僧によるつらつらなる日暮らし。時事ネタ、野球ネタもあります。

天童如浄禅師の箴言(2)

2017-07-11 10:32:36 | 仏教・禅宗・曹洞宗
天童如浄禅師の箴言】の続きである。

 あるひは長髪ならしむるともがらあり、これも非法なり。大国の僧家の所作なりとして、正法ならん、とあやまることなかれ。先師古仏、ふかくいましめのことばを、天下の僧家の長髪・長爪のともがらにたまふにいはく、
 不会浄髪、不是俗人、不是僧家、便是畜生。古来仏祖、誰是不浄髪者。如今不会浄髪、真箇是畜生。
 かくのごとく示衆するに、年来不剃頭のともがら、剃頭せるおほし。
 あるひは上堂、あるひは普説のとき、弾指かまびすしくして責呵す。
 いかなる道理としらず、胡乱に長髪・長爪なる。あはれむべし、南浮の身心をして非道におけること。近来二三百年、祖師道、廃せるゆえに、しかのごとくのともがらおほし。かくのごとくのやから、寺院の主人となり、師号に署して、為衆の相をなす、人天の無福なり。いま天下の諸山に、道心箇渾無なり、得道箇久絶なり、祇管破落儻のみなり。
    『正法眼蔵』「洗浄」巻


こちらも、前回同様に僧侶なのに長髪である者に対しての批判である。なお、中国では「大国の僧家の所作」として、長髪を積極的に認めようとする風潮もあったようだが、道元禅師はそれを正法だと思うのは謬りであるとし、天童如浄禅師が長髪・長爪の僧侶に対して述べた言葉を紹介している。

それは、「浄髮をしないのであれば、そなた等は俗人でもないし、僧家でもない、ただの畜生である。古来の仏祖で、誰が浄髮しない者があっただろうか。今、浄髮しない者は、真にただの畜生である」としたのである。ちょっと現代的な感覚では、罵倒が過ぎて、人権問題になりそうな印象を受けてしまう。よって、注意を喚起しておきたい。

しかし、如浄禅師のこの厳しい言葉によって、長年剃髪しなかった者まで剃髪するようになったそうで、なるほど効き目はあったといえる。そして、如浄禅師はこの辺、本当に厳しい方であって、上堂や普説などの時にも、指を鳴らして厳しく責めたという。この「指を鳴らす(弾指)」とは、様々な用途があるが、その1つに注意を喚起する意味合いがある。如浄禅師は指を鳴らして注意喚起し、修行僧達の関心を集めてから、おそらくはその長髪の僧侶を非難したと思われる。

さて、このことを総括して、道元禅師はみだりに長髪・長爪である僧侶に対しては、憐れむべきだとしている。それは、道理に叶っていないためである。しかし、道元禅師が中国に渡る13世紀前半から見て、2~300年の間には祖師の道が廃れてしまい、長髪・長爪の者が多かったという。しかも、そうであるのに寺院の住職となり、また、師号まで貰った者がいたという。しかし、そのような者が衆生のために思っての活動だとしてみたところで、この人間界にも天上界にも福は来ないとしている。

また、道元禅師は中国の諸山に於いては、みな道心が無いとし、得道も久しく絶えているという。ただ、ひたすらに破落の輩のみが居るという・・・拙僧つらつら鑑みるに、この辺は実は我々にも当てはまるのかもしれない。いや、我々というとおかしな話になるから、どこまでも拙僧自身の問題として受け止めておきたいのだが、一応、拙僧は浄髮・浄爪については、毎月数回行うようにしている。今の仕事に就いてからは、以前ほどの頻度では無くなってしまったことは事実だが、それでもこのような教えについては忠実にありたいと思っている。

そして、得道はともかくも、道心だけは持っていたいと思っている。道心とは、仏道を得たいと思う志であって、それを抱くことはあくまでも本人の問題として扱われるからだ。得道になってしまうと、本人だけの問題では無くなるから、かなり難しい。とはいえ、こういう如浄禅師の箴言に誘われて学びの思いを深めることが肝心だと思う。それまでしなくなってしまったら、本当に破落のともがらの仲間入りだ。

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