先週の6月16日〜20日までモンゴルに行ってきました。理由としては、拙僧も役員を務めるSOTO禅インターナショナルの「塔婆供養で植林支援」に対し、全国の御寺院様より多くのご賛同をいただいたのですが、その植林事業がどのように行われているのかを視察するためでした。滞在先は主に、首都ウランバートル、そして北部にある鉄鋼の町・ダルハンになります。今日から、不定期で現地滞在の記事を書いておきたいと思います。なお、極力現地の思い出を中心に書きますが、何せ情報が断片的なものも少なくないので、全般的な情報を学んでから書かなければならないところは、後回しにしたいと思います。
●モンゴルツアー第1日目
まさかの1日順延となった今回のモンゴル植林事業支援ツアー。理由は、15日に成田に来るはずの航空機が、ウランバートルの強風のため飛ばなかったということなのですが、現地ガイドのナスカさんやタミルさんによれば、そんなに酷くはなかったような・・・とのこと。理由は別のものだった可能性もあります。

と、そんなことはさておき、1日遅れで無事にウランバートルに着いた我々は、空港からそのまま、当初の予定にしたがってツォゴさんという方が経営されているモデル農場に行ったのでした。この農場は、ウランバートルから南西に35キロの距離にあり、非常に静かなところです。そして、共産主義終了後、民主化によって混乱したモンゴルの農業界に、新たな方法を導入するために作られた農場です。開始は1999年、今年でちょうど10年になるそうですが、ツォゴさんは元々農家になろうという意志はなかったそうです。しかし、日本の青森県車力村に農業留学に行った学生に通訳で随行したところ、日本の農家の方が、非常に綺麗な格好をして働いていること、機械化され、合理的な仕事ぶりなどに感銘し、農業に目覚めたそうです。
なお、通訳になったのは、独学で日本語を勉強していて、それが理由に選ばれたということです。ツォゴさんの言葉として、非常に印象強く残っているのは、「モンゴルの人も、外国語を習って、外国人との関係を強めなければならない」というものです。これは、ご自身がここ10年間で培われた経験から、そう判断しているそうです。1990年代の民主化までは、旧・ソ連から導入された技術ばかりで、非常に遅れていたということですが、ツォゴさんは日本から技術を導入し、そして、日本人を始め、多くの外国人と関わりを持つことで、徐々に技術力を高めていきたいと考えています。

キャベツやジャガイモといった野菜を栽培するにしても、大きく、美味しく、そして沢山穫るには、10年の試行錯誤が必要だったようですけれども、機械化による作業の効率化、そして、風が強いモンゴルでは防風林の設置が必須であることなど、一つ一つ技術を積み重ねているようです。その積み重ねに、日本の進んだ農業技術は不可欠だと、ツォゴさんは語っています。

これは、車力村の農家の方から分けていただいた防風ネットだそうで、ツォゴさんの一家総出で張る作業をされていました。これが3年保つだけで、その脇に植えてある防風林用の樹木が育ち、そしてこの土地はさらに農業がしやすくなるだろうと考えておられるようです。
また、農業機具や農業機械、そして倉庫や小屋も含めてですが、ツォゴさんは当初は他人任せで作ってもらっていたようです。しかし、それでは高くついてしまうことに気づき、溶接技術を始め様々な技術を身につけ、今ではほとんどを自分で直し、あるいは作りながら運営しているというのも印象深いことです。ただ農作物ばかりではなく、まさにこの農場自体が、ツォゴさんによる「手作り」なのです。畑に立っているスプリンクラーも手作り、畑に畝を作る機械も手作り、そして立派なゲストハウスも手作りだというのは驚きました。
ゲストハウスは、元々は養豚場として作り始めたそうですが、余りに住居に近いことから別の目的に改め、JICAの職員やGNCのスタッフなどが自分で宿泊するためのスペースに変更されたそうです。その後はJICAのオフィスがウランバートル市内に移ったこともあって、この農場のゲストハウスになったようですが、ツォゴさんはここを無料で貸し出しています。特に日本人(これは、モンゴル在住の日本人、そして日本から来た人もともに使用可能)を中心に、外国人が来て、自由に泊まれるようにしています。並のホテルよりも立派でしたので、お金を取ることもできるのでは?と思いましたが、ツォゴさんの考え方は、そういう次元にはなく、こういう場所を持つことで、多くの方と交流できることの方が、よほど価値があるというのです。
いわば、人間関係を作るという「投資」は、もっとも価値がある投資であるというのです。ツォゴさんの考え方の中には、こういう「喜捨」の精神が息づいています。貴重な技術でも、出し惜しみせずに教え、既に数人の方が、この農場で研修し独立したそうです。できることであれば、その中からこの農場のライバルになるような成功モデルが誕生し、切磋琢磨していければ、より高い生産力を作れるだろうとしています。ツォゴさんは、生産力向上を目指し、繰り返し来日し、最先端の技術や機械を導入できるように模索しているとのことです。最近日本でも、地下で行う農業が提案されましたが、風が強いモンゴルでは、それは使えそうだということで、早速模索しているようです。
どうやら、国土の状況や、法人の規模を考えてみると、アメリカよりも、日本の方が合っているようで、モンゴルの農業界に新しい方法を、それも日本式の農業を基本に広めたいという、その高い志に小生も強い感銘を受けました。また、農業機械については、中国製は安く、旧・ソ連製は頑丈ですが、やはり日本製の中古品が、一番良く使えるという評価をいただきました。中国製はすぐ壊れてしまい、旧・ソ連製は部品のパーツが最近値上がりしているそうで、今後を考えるとあまり良い状況ではなく、やはり日本製が良いようです。その意味では、日本の農業機械メーカーも、中古品市場のモンゴルへの、文字通りの「開拓」が期待されるところです。今後、この農場の経営がうまく行き、さらに日本式農業が盛んになれば、同国内で日本製の農業機械が尊重されることは間違いないところです。

話は変わって、今回の我々の目的である植林にも関わることですが、この農場でも植林用の苗木を作っているそうです。これを自分たちの農場で防風林に使うだけではなく、周辺の農場や近くの村などにも分けたいそうです。これは、それらの人々も風害に悩んでいることが一つ、そして、その地域全体が風害から解放されれば、その中での農業は、ますます行いやすくなるからです。損して得取れ、いや、「自利利他」とはこういう行いをいうのでしょう。モンゴルの人が愛するチベット仏教と関わりがあるのかは聞けず終いでしたが、確かに大乗仏教の心意気を感じて帰ってきました。以上のような、非常に心地よいお話を聞けたことは大きな収穫でした。改めてこのモデル農場の経営と、ツォゴさんの志が成就することを願って止みません。
その日の晩には、宿泊したウランバートル市内のKHARAAHOTEL近くにあるウクライナ料理を出すレストランで色々と美味しいものを頂戴しました。また、モンゴルでは乾杯は奇数回だそうで、1回したら、次は3回、5回・・・と、いやはやモンゴルの方は皆さんお酒が強いですね。
なお、モンゴルの記事については、一緒にツアーに行った【kameno先生】のブログや、【新潟の新米尼僧さん】のブログもご参照ください。
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●モンゴルツアー第1日目
まさかの1日順延となった今回のモンゴル植林事業支援ツアー。理由は、15日に成田に来るはずの航空機が、ウランバートルの強風のため飛ばなかったということなのですが、現地ガイドのナスカさんやタミルさんによれば、そんなに酷くはなかったような・・・とのこと。理由は別のものだった可能性もあります。

と、そんなことはさておき、1日遅れで無事にウランバートルに着いた我々は、空港からそのまま、当初の予定にしたがってツォゴさんという方が経営されているモデル農場に行ったのでした。この農場は、ウランバートルから南西に35キロの距離にあり、非常に静かなところです。そして、共産主義終了後、民主化によって混乱したモンゴルの農業界に、新たな方法を導入するために作られた農場です。開始は1999年、今年でちょうど10年になるそうですが、ツォゴさんは元々農家になろうという意志はなかったそうです。しかし、日本の青森県車力村に農業留学に行った学生に通訳で随行したところ、日本の農家の方が、非常に綺麗な格好をして働いていること、機械化され、合理的な仕事ぶりなどに感銘し、農業に目覚めたそうです。
なお、通訳になったのは、独学で日本語を勉強していて、それが理由に選ばれたということです。ツォゴさんの言葉として、非常に印象強く残っているのは、「モンゴルの人も、外国語を習って、外国人との関係を強めなければならない」というものです。これは、ご自身がここ10年間で培われた経験から、そう判断しているそうです。1990年代の民主化までは、旧・ソ連から導入された技術ばかりで、非常に遅れていたということですが、ツォゴさんは日本から技術を導入し、そして、日本人を始め、多くの外国人と関わりを持つことで、徐々に技術力を高めていきたいと考えています。

キャベツやジャガイモといった野菜を栽培するにしても、大きく、美味しく、そして沢山穫るには、10年の試行錯誤が必要だったようですけれども、機械化による作業の効率化、そして、風が強いモンゴルでは防風林の設置が必須であることなど、一つ一つ技術を積み重ねているようです。その積み重ねに、日本の進んだ農業技術は不可欠だと、ツォゴさんは語っています。

これは、車力村の農家の方から分けていただいた防風ネットだそうで、ツォゴさんの一家総出で張る作業をされていました。これが3年保つだけで、その脇に植えてある防風林用の樹木が育ち、そしてこの土地はさらに農業がしやすくなるだろうと考えておられるようです。
また、農業機具や農業機械、そして倉庫や小屋も含めてですが、ツォゴさんは当初は他人任せで作ってもらっていたようです。しかし、それでは高くついてしまうことに気づき、溶接技術を始め様々な技術を身につけ、今ではほとんどを自分で直し、あるいは作りながら運営しているというのも印象深いことです。ただ農作物ばかりではなく、まさにこの農場自体が、ツォゴさんによる「手作り」なのです。畑に立っているスプリンクラーも手作り、畑に畝を作る機械も手作り、そして立派なゲストハウスも手作りだというのは驚きました。
ゲストハウスは、元々は養豚場として作り始めたそうですが、余りに住居に近いことから別の目的に改め、JICAの職員やGNCのスタッフなどが自分で宿泊するためのスペースに変更されたそうです。その後はJICAのオフィスがウランバートル市内に移ったこともあって、この農場のゲストハウスになったようですが、ツォゴさんはここを無料で貸し出しています。特に日本人(これは、モンゴル在住の日本人、そして日本から来た人もともに使用可能)を中心に、外国人が来て、自由に泊まれるようにしています。並のホテルよりも立派でしたので、お金を取ることもできるのでは?と思いましたが、ツォゴさんの考え方は、そういう次元にはなく、こういう場所を持つことで、多くの方と交流できることの方が、よほど価値があるというのです。
いわば、人間関係を作るという「投資」は、もっとも価値がある投資であるというのです。ツォゴさんの考え方の中には、こういう「喜捨」の精神が息づいています。貴重な技術でも、出し惜しみせずに教え、既に数人の方が、この農場で研修し独立したそうです。できることであれば、その中からこの農場のライバルになるような成功モデルが誕生し、切磋琢磨していければ、より高い生産力を作れるだろうとしています。ツォゴさんは、生産力向上を目指し、繰り返し来日し、最先端の技術や機械を導入できるように模索しているとのことです。最近日本でも、地下で行う農業が提案されましたが、風が強いモンゴルでは、それは使えそうだということで、早速模索しているようです。
どうやら、国土の状況や、法人の規模を考えてみると、アメリカよりも、日本の方が合っているようで、モンゴルの農業界に新しい方法を、それも日本式の農業を基本に広めたいという、その高い志に小生も強い感銘を受けました。また、農業機械については、中国製は安く、旧・ソ連製は頑丈ですが、やはり日本製の中古品が、一番良く使えるという評価をいただきました。中国製はすぐ壊れてしまい、旧・ソ連製は部品のパーツが最近値上がりしているそうで、今後を考えるとあまり良い状況ではなく、やはり日本製が良いようです。その意味では、日本の農業機械メーカーも、中古品市場のモンゴルへの、文字通りの「開拓」が期待されるところです。今後、この農場の経営がうまく行き、さらに日本式農業が盛んになれば、同国内で日本製の農業機械が尊重されることは間違いないところです。

話は変わって、今回の我々の目的である植林にも関わることですが、この農場でも植林用の苗木を作っているそうです。これを自分たちの農場で防風林に使うだけではなく、周辺の農場や近くの村などにも分けたいそうです。これは、それらの人々も風害に悩んでいることが一つ、そして、その地域全体が風害から解放されれば、その中での農業は、ますます行いやすくなるからです。損して得取れ、いや、「自利利他」とはこういう行いをいうのでしょう。モンゴルの人が愛するチベット仏教と関わりがあるのかは聞けず終いでしたが、確かに大乗仏教の心意気を感じて帰ってきました。以上のような、非常に心地よいお話を聞けたことは大きな収穫でした。改めてこのモデル農場の経営と、ツォゴさんの志が成就することを願って止みません。
その日の晩には、宿泊したウランバートル市内のKHARAAHOTEL近くにあるウクライナ料理を出すレストランで色々と美味しいものを頂戴しました。また、モンゴルでは乾杯は奇数回だそうで、1回したら、次は3回、5回・・・と、いやはやモンゴルの方は皆さんお酒が強いですね。
なお、モンゴルの記事については、一緒にツアーに行った【kameno先生】のブログや、【新潟の新米尼僧さん】のブログもご参照ください。
この記事を評価して下さった方は、













日本の農業技術が役に立っているとは、うれしい話です。
相撲だけではなく、産業面での交流が盛んになっていくことはいいですね。
こうやって、改めて記事を拝見すると切にそう思います。
今日はバタバタしてました(笑)
> モンゴルには素晴らしい方がおられるのですね。感動しましたし、見習うべきだと痛感しました。二日目以降の記事も楽しみにしています。
不定期になりますので、気長にお待ちください。
> ぜん さん
> モンゴル紀行、興味深く読みました。日本の農業技術が役に立っているとは、うれしい話です。
そうですね。無論、色々とローカライズしていく必要はあるようですが、まだまだ導入していただいた方がよい技術はたくさんありそうです。日本からの資本投下も、今後増やしていくべきでしょう。
> 相撲だけではなく、産業面での交流が盛んになっていくことはいいですね。
そうですね。我々も、ただ自分たちの利益のために、ではなくて、モンゴルの人の利益のために事業を進めるべきだと思う次第です。それが、結果的に我々の利益にもなるでしょう。
> 叢林@Net さん
> SZIもスケール大きくなりましたね!こうやって、改めて記事を拝見すると切にそう思います。
徐々に、自立した活動を行うようにシフトしてきたというところでしょうか。
> 今日はバタバタしてました(笑)
お疲れ様でしたw(..)w