つらつら日暮らし

仏教、禅宗を学ぶ曹洞宗の禅僧によるつらつらなる日暮らし。時事ネタ、野球ネタもあります。

今日は天童如浄禅師忌(平成29年度版)

2017-07-17 09:29:24 | 仏教・禅宗・曹洞宗
今日、7月17日は天童如浄禅師忌である。生没年は、1162~1227年とされている。以前は、もう1年後であるとも考えられたが、最近の研究ではこの通りである。ところで、これになると、宗派的には色々と拙いところもあって、中々に難しい。それは、宝慶寺開山の寂円禅師との関連なのだが、その辺は新しい研究も出て来ているようだから、この記事では挙げないでおく。

さておき、今日見ておきたいのは以下の一節である。

  明峯派・峩山派儀絶の時、管領畠山方訴訟の目安
 従上、薬山・雲岩以下、正に伝創の家訓訓訣訣と謂う有り。先師如浄禅師、初め瑞岩に住し、中比浄慈に住し、後に天童に住す。師、浄慈の請を受くるも、固辞して住せず。其の故は、天下の叢林、尽く仏仏の戒位に依らず、而も勤旧位・西堂位を行ずるは、總べて是れ新儀なり。故に敢えて住せず。
 爰に天童の前住・派無際、径山の当住・琰浙翁、惟一西堂、当に斯の事を断つべしと、天子に奏聞し、勤旧・西堂の両位を目破し、仏祖の戒位に依る。
 此の沙汰の四箇月、乃ち嘉定十六年癸未なり。是に於いて、師、方に本素を遂げ、先ず浄慈に住し、後に天童に住す、是れ則ち自家の口伝訓訣の一介なり。
    『洞谷記


部分的ではあるが、ここでは住職の決め方の問題について論じたものだといえる。そして、批判された内容は、一寺の中に古くから修行する僧侶がいて、後に来た住持と対立する場面があったといえる。なお、この文書は「明峰派・峨山派」の対立が原因であると考えられるから、永光寺を巡る争いだったと思われる。山内の主導権を握るために、長年居続けた僧侶などがいたのかもしれない。

そして、それを否定するために持ち出されたのが、「伝創の家訓」ということになり、その内容が天童如浄禅師の住持に関する話だったのである。なお、残念ながら、これは口伝のレベルで伝承されたことであり、本当であったかどうかは分からない。

さて、ここで批判されているのは何かというと、如浄禅師は瑞巌寺・浄慈寺・天童景徳寺と相次いで住持されたが、その際、浄慈寺に入るようにいわれたけれども、当初は入らなかったという。その理由として、その頃の中国の叢林は、「仏仏の戒位」に依らない運営がされており、また、勤旧や西堂という永年1つの道場に居続ける者がいたことを指摘している。

なお、前者については、道元禅師に於いて語られる「新到列位問題」ということになるだろう。この辺が瑩山禅師門下に共有されていたことは知られていて良い。事実かどうかについては、現代でこそ問題にされる場合があるし、一部の研究者は虚偽であることを主張している。ただし、この文書の存在は、この一件がどう扱われていたのかを知る基準の1つになるといえよう。

そして、問題はやはり、後者であろう。勤旧・西堂の問題である。ただし、道元禅師・瑩山禅師が構築された叢林でも、勤旧・西堂は存在した。

・このとき、西をゆくときは北にむかふ。このときより、安老・勤旧・前資・頤堂・単寮のともがら、浄頭等、あゆみつらなれり。 『正法眼蔵』「安居」巻
・浄住寺両展三拝、頭首・大衆も同じ、前資・勤旧も同ず。 『洞谷記』「開堂法儀次序」


よって、先ほどの口伝で、「目破」とまでいわれた状態からすると、普通に勤旧がいた様子が分かる。ついでにいえば、西堂もやはり存在していた。ただしこれは、道元禅師も瑩山禅師も、自ら寺を開いた状況で、その先代からの僧侶を受け継ぐ必要が無かったためであるかもしれない。

とりあえず、如浄禅師に因んでその伝記の解釈の1つについて提示した。だが、本当にこの様子であったかどうかは、中国での文献が今一つ判然としないため、これ以上のコメントは難しい。そのことを付記しておく。

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