てんちゃんのビックリ箱

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ミュシャ展

2017-07-28 21:32:33 | 美術館・博物館 等


 4月14日は、東京で会議だった。ホスト側の都合でなんと午後4時半~午後8時の会議となったので、シメシメと国立新美術館の展示会を訪問することにした。
 そこで実施していたのは、下記の2件。
   ・草間彌生展
   ・ミュシャ展
 美術館についたのが 12時前だったので両方を見た。ともに素晴らしい展示会で衝撃を受けたが、その衝撃が大きかったのは、ミュシャ展。草間彌生展から先に見てミュシャ展へと移動したが、もし逆だったら草間彌生のほうは極楽とんぼと思ったかもしれない。ミュシャの場合、民族と自分の理不尽な死の可能性を背負っていたのだから。

 この展示会はミュシャの晩年に製作した壁画級の大作群、20枚の「スラブ叙事詩」と、彼の人生に沿った作品群からなる。
 最初に天井の高い大広間2つに「スラブ叙事詩」が並ぶ。その後に小ぶりの作品群の展示の部屋が続く。これまでは、ミュシャはアールヌーボーの時代に装飾的なポスターで有名になった人という程度だった。 ところがところが・・・

 以下に主要な彼の歴史を示す。
・1860年 ハプスブルグ家圧政下のチェコの貧しい家に生まれる。
・1878年 プラハの美術学校進学希望も書類審査で落とされる。舞台美術工房に就職も2年で劇場が焼失し解雇
 放浪中 さる貴族の援助を受けミュンヘン、パリ留学も1889年援助打ち切り

・1894年までカツカツの挿絵作家生活。そこでたまたまサラ・ベルナールの劇のポスター下絵を描くチャンスに恵まれ、それが大当たり。一夜にしてアールヌーボーの大家。
(ポスターは添付1参照)



・1911~1928 芸術を通じて祖国に貢献したいとの思いでスポンサーを得て「スラブ叙事詩」製作。
・1918年チェコは共和国として独立。ミュシャはスラブ人としての意識が高く、祖国に貢献するために、切手や紙幣等のデザインを無料で実施。
 叙事詩が1928年に完成した時、象徴主義の絵でありまた独立後の頃の国の考え方とあっていなかったため、時代遅れと非難を受ける。(政府からは過剰な民族主義者と思われた)

・1939年 ナチスによりチェコ解体。占領。ミュシャの作品はチェコの愛国心を鼓舞するものとして逮捕。厳しい尋問。78歳のミュシャには耐えられず解放後暫くして死亡。
・共産チェコも、愛国心との結びつきを警戒しミュシャを黙殺

・プラハの春以降に愛国心について再評価。「スラブ叙事詩」も人類普遍の平和への願いを描いた重要作品として国際的評価。2012年以降に国立美術館常設展示。(それまではチェコの人もあまり見ることができない環境だった

(スラブ人:東欧、中欧のスラブ語を話す人たち。チェコ人やポーランド人、ウクライナ人、ロシア人、セルビア人等の広い範囲の人たちを示す。 ミュシャは西欧人やイスラム人から抑圧搾取されてきたそれらの人たちの自立を願い、チェコ人、スロバキア人と狭く考える政府の人達とは合わなかった。)

 添付図1のポスターにみられるような、華麗と言っていい柔らかな曲線とやさしさ溢れる配色は、商業デザインとして素晴らしい。こういったポスターやその他の小品は堺市立文化館にあることを確認した。だから、ある程度のものは思い立ったらいつでも見に行くことができる。集めた人はとってもえらい。

 皆さん、今回ぜひミュシャ展に行って、スラブ叙事詩を見てください。添付2に始まる20枚が、どれも巨大である。添付2は6.1m×8.1m。このサイズが5枚あり、その他のものも短い辺が4m以上ある。最近国宝的扱いを受けているようだが、20枚セットで初めて国外にでたとのこと。

 スラブ人への抑圧、独立への戦いや悲惨な犠牲、活躍したスラブの偉人達、平和への願いが、神とともに描かれている。おおきな部屋の壁にドカンドカンと飾られている。近くに行っても全体が見えないから、部屋の真ん中に集まるしかない。4面に飾られていてそれぞれからぎゅっと圧迫感を感じる。戦争の惨禍に関わる絵が多く、ミュシャの平和への希求がひしひしと現れている。スラブ民族を見守り保護する神が描かれているが、ローマ教会は抑圧者として現れる。

 添付2は最初の絵。故郷のスラブ人 異民族の侵入と襲撃におびえるスラブ人。その眼の暗さが印象的である。




 添付3はチェコの国立美術館における展示風景。(展示会公式webから引用)。日本の展示会もほぼ同様。国立新美術館の展示室は、この作品の展示室として絵画に負けていない。大したものである。
 絵の説明を見に、絵に近づくのはもったいない。下記のWikiをプリントして持っていけばよい。また叙事詩展示室の一方の部屋は写真撮影可能なので、カメラを持っていけばよい。(私は携帯の充電が切れたため撮影できなかった。)


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%B4%E5%8F%99%E4%BA%8B%E8%A9%A9


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