Yacht TEMARI blog  ヨットてまりのブログ

2011年スペインを出発、3年かけて地中海を一周。その後カリブ海へ渡り、ヨーロッパに戻って航海中のきままなヨットの旅です

8月26日~9月5日、スペイン北部沿岸・Costa Verdeを東へ

2015-09-06 | 旅行

シードル(リンゴ酒)のふるさとでFiesta de la Sidra(シードル祭)を楽しむ

8月26日(水)、スペイン北部の町Ribadeoを出航、東に60マイルほど走って午後8時前Gijonのマリーナに舫いを取る。Gihonはアストゥリアス県の県都で活気にあふれる町。マリーナ周辺にいる人の数がすごい。

翌日町を散策すると、まず目に留まったのがすべて緑のガラス瓶で作られたモニュメント。そして町のヒーローと思しき人物の銅像。これも頭上にかざした緑の瓶からコップに液体を注いでいる。近づいてよく見ると、ボトルとグラスはあとから銅像にくくりつけられたものだった。いったい誰がこんな悪戯を?と思ったが、観光案内所に行ってその理由がわかった。丁度この一週間、町ではシードル祭が開催されているのだ。日本ではあまりなじみのないシードル(リンゴ酒)は、リンゴの産地であるアストゥリアス県の特産品で、年に一度この時期に盛大な祭りが開催されるという。異様なくらいの人の多さは、この祭り目当てに集まった人たちだった。

我々も、屋台で1本1€のシードルを購入して飲んでみた。日本で飲んだものよりドライで炭酸も強く、すっきりした飲み心地。アルコール度数は5.5%とビールとほぼ同じだ。こちらには何十社というシードルメーカーがあり、ワインのように味も違う。後日、San Sebastianで別のシードルイベントに出合い、10種類ほどのシードルを飲み比べてみたが、味も香りもかなり違うことを知った。

お祭りのイベント見学と美食を堪能

観光案内所で仕入れた情報を元に、お祭りのイベントを見学した。

一つ目はシードルの注ぎ方コンテスト。銅像で見かけたとおり、頭上高く持った瓶から腰の高さに持ったグラスにシードルを注ぐ。これは、高いところから注ぐことで炭酸成分を弱めて飲みやすくする、シードルの伝統的な注ぎ方なのだそうだ。コンテストでは一本のシードルを6個のグラスに分けて注ぎ、その正確さ、姿勢の良さ、瓶やグラスが動かないことなどで得点が付けられる。上位入賞者はほとんどこぼさず、量も均等で格好よくシードルを注いでいた。

翌日の夕方、海岸ではギネスブック記録更新チャレンジが開催された。何人の人たちが一斉にシードル注ぎをやるかの記録更新を狙う。昨年の記録は8500人弱。今年は1万人を目指しているようだ。明日の出航が早いので、我々は最後まで見届けることはできなかったが、記録更新は間違いなさそうだ。

お祭りの後、ネットで評判のお店を予約して夕食に出かけた。店のオリジナルメニューが色々あったので3品ほど選んでもらったが、どれも創作料理で美味しかった。特に絶品はイベリコ豚のステーキ。特別に飼育されたイベリコ豚は生でも食べられる。ミディアムレアに焼かれた肉は、まるで極上の牛フィレ肉のようだった。

セレブの住む、世界遺産のある町、GETXO

8月29日(土)、Gijonを出航してSan VicenteSantanderに立ち寄ったあと、9月1日(火)バスクの町Getxo(ゲチョと読む)に入港した。小さな町だが、マリーナから見える家並みが、まるでお城のように旧く豪華な建物が並んでいる。近くを歩いてみると、手入れの行き届いた庭を持つ大豪邸だ。観光案内所で聞いたところ、100年ほど前から財を成した政財界実力者の別荘が建てられるようになったとのこと。スペイン内戦の戦火を免れた家も多く、当時のままの家並みが残されている。近年Getxoはバスクの中心地Bilbaoの高級ベッドタウンとして発展し、スペインでも有数の金持ちが住むエリアとなっているようだ。

Getxoの町を歩いていくと大きな川があり、かなり高い鉄橋が架かっているのが見えた。対岸にはPortugaleteという別の町があり、その間をつなぐ橋だ。1893年に世界初のユニークなゴンドラ形式の運搬橋として造られたPuente de Vizkaiaだった。160mの高さの鉄橋からワイヤーで吊られたゴンドラが6台の車と50人程度の人を乗せて往復する。その当時はまだ高いマストの機帆船が主流だった時代。川の上流にあるBilbaoまで大型船の通行を可能にするために考え出されたアイデアだ。2006年世界遺産に登録されているが、今でも現役で活躍中。竣工以来この運搬橋が運んだ人数は6億5000万人と言われている。

アートと美食の町、Bilbao

バスク地方の中心都市Bilbaoは20世紀初頭に衰退した時期があったようだが、その後アートによる都市再生プロジェクトが功を奏して復活した。新市街の随所にオブジェが見られ、川を挟んだ古い街並みの旧市街と対象をなしている。Getxoから乗ったメトロも日本の地下鉄のようにきれいで駅の表示なども新しい技術が使われており、経済的にも繁栄している町という印象だ。

バスクの郷土料理を楽しむ

案内標識もスペイン語とバスク語の併記

自らをバスク人と称し、公用語として認められているバスク語を話す人も多いこの地方は、独自の文化を形成しており、スペインの中でもとりわけ美食の地方と言われている。特に肉料理が美味しいと評判で、子牛のワイン煮込みを食べてみた。ナイフが要らない、とろける様な柔らかさに煮込まれた肉は最高に美味しかった。ほかにピンチョスという小皿料理もバスクの定番だ。パンの上に様々な具材が載せられてカウンターに並んでいる。定番もののほかに、お店によって工夫されたオリジナルもある。一つ2€前後で食べられるので、ワインに合わせて色々食べてみるのが楽しい。

王家の別荘地・San Sebastian

Getariaの町

San Sebastianの旧市街

9月4日(金)、Getxoから更に東に進みスペイン最後の寄港地Getariaに入港した。マリーナも町も小さいが趣のある町。翌日、ここからバスで一時間ほど乗って、ビスケー湾の真珠と言われるSan Sebastianに出かけた。

19世紀にハプスブルグ家の別荘が建てられて以来、高級別荘地として知られている。土曜日とあってバルやレストランが密集する旧市街は人であふれていた。広場では、シードルの試飲イベントが開催されており、さまざまなメーカーのシードルを試飲して歩いた。その後、人気のレストランでランチ。またまたピンチョスと牛肉料理を食べたが、どれも本当に美味しかった。

左は牛ほほ肉の煮込み。右はこの店オリジナルのピンチョス

Costa Verde(緑の海岸)と呼ばれる、スペイン北部沿岸地方は雨が多く今の季節でも寒いくらいの日があるが、ワインと食べ物の美味しさではスペイン一だ。我々もいささかワインと食事を食べすぎの感じがあるが、明日からのフランスもまた別のグルメが待っている。もう少し控えないといけない。

その他の写真はこちらから。

てまりの現在地はこちらからごらんいただけます。



1 コメント

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Unknown (Fumi Hayashi)
2015-09-14 22:22:53
こんにちは お元気そうですね.僕はこの週末 サンセバスチャンに行っていました. ニアミスで会えなかったのが残念です. 今年は どこまで行くのですか? 11月に日本で会えるかな? お元気で

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