
テロリストのリーダーを捕らえる為、
奔走するCIA工作員の物語です。
映画の評価 ★★★★☆ 考えさせられる映画
●以下ネタバレがあります●
リドリー・スコット監督は
男たちのドラマの描き方が上手い映画監督だと
以前から思っていましたが、
今回それを再認識させられました。
彼が撮る作品は
『プロヴァンスの贈り物』のようなラブ・コメディよりも、
今年の2月に劇場で観た
『アメリカン・ギャングスター』や今回の映画の方が
やっぱり私には楽しめました。
ある日、イギリスで起こった爆破テロ事件。
世界中が爆破テロ組織の脅威に怯える中、
CIA工作員のロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は
イラクでテロ組織を突き止める活動中、
自分の属する過激派組織から自爆テロを強要された男に
情報提供の話を持ちかけられます。
その情報データの中には
犯行計画を語る首謀者の最新映像があり、
信憑性も高かった事から
フェリスは情報提供の男を保護しようとしますが、
アメリカの本部に滞在する
上司のエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)から
あっさり却下されてしまいます。
結局、保護する事が出来なかった男は
テロ組織に拉致されそうになり、
その現場を目撃したフェリスは
自分との接触に関わる情報漏れを恐れ、
男が連れ去られる寸前に殺害します。
入手した情報を元に
過激派のアジトへ乗り込むフェリスでしたが、
激しい銃撃戦に巻き込まれ、
命からがらテロリストの情報資料を手にします。
しかし、応援部隊のアメリカ軍ヘリの爆撃により、
フェリスは大怪我をし、助手は死亡。
命を落とした助手の家族への補償もされないまま、
フェリスはホフマンの命令により
ヨルダンの首都アンマンへと送り込まれます。
この映画を一言で言い表すならば
2006年3月に劇場で観た『シリアナ』を
エンターテイメント的に
分かりやすく観せた作品といった感じでしょうか・・・。
この映画には二人のCIA局員が登場しますが、
とても対照的でした。
テロリストを捕らえる為に中東アジアに滞在し、
命を懸けて現地を駆け回る
CIA工作員、フェリス。
CIA本部に勤め、
安全なアメリカ本土にあるオフィスや自宅から
電話一本で中東アジアへ指令を送り続ける
管理職エリート局員、ホフマン。
フェリスは現地で培った自分の強い信念の元、
様々な人脈を駆使して情報収集し、
テロ組織のリーダーに近づけるよう
現地の人間との信頼関係を重視しますが、
それをことごとく失敗させたのは
「自分=アメリカ」だと豪語するホフマンでした。
「中東の奴らを信じるな。俺を信じろ。」
と言っていた
ホフマンが思い描いていた作戦は
結局のところ机上の空論に過ぎず、
それに気付いていないのはホフマンだけでした。
その証拠とも言えるのが
現地での事態を終結させ窮地を救ったのは
誇り高きアメリカではなく、
現地の人間だったという、
第三者から客観的に観れば
何ともお粗末なアメリカの結末です。
現場を知らないなCIAのエリートの判断と、
国家を信じて活動してきたCIA工作員の決断には
世界平和に対する明るい未来が感じられず、
「・・・人間としてホントにこれでイイのか?!」
と考えさせられるようなシーンもあり、
現場を知らないトップの人間と、
現場で生きている人間の考え方の違いは、
縮まる事なく平行線のままなのです。
この映画はCIA工作員のフェリスが主人公の物語ですが、
言わば兵隊の上に胡坐をかく
将軍の愚かさを描いた作品のようにも
私は感じました。
アメリカ国家に限らず、
日本の社会しかり、アルカイダしかり・・・
上の人間はぬくぬくと生活し、
下の人間は身を粉にして働くという図式は共通で、
組織とは所詮こんなモノなのかもしれません。
そういえば、
10年くらい前に大ヒットした人気ドラマ「踊る大捜査線」も、
日本の警察内にある上層部と現場の温度差を感じさせる
組織を背景に描かれた物語でした・・・。
【2008年12月20日(土)TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて鑑賞】
奔走するCIA工作員の物語です。
映画の評価 ★★★★☆ 考えさせられる映画
●以下ネタバレがあります●
リドリー・スコット監督は
男たちのドラマの描き方が上手い映画監督だと
以前から思っていましたが、
今回それを再認識させられました。
彼が撮る作品は
『プロヴァンスの贈り物』のようなラブ・コメディよりも、
今年の2月に劇場で観た
『アメリカン・ギャングスター』や今回の映画の方が
やっぱり私には楽しめました。
ある日、イギリスで起こった爆破テロ事件。
世界中が爆破テロ組織の脅威に怯える中、
CIA工作員のロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は
イラクでテロ組織を突き止める活動中、
自分の属する過激派組織から自爆テロを強要された男に
情報提供の話を持ちかけられます。
その情報データの中には
犯行計画を語る首謀者の最新映像があり、
信憑性も高かった事から
フェリスは情報提供の男を保護しようとしますが、
アメリカの本部に滞在する
上司のエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)から
あっさり却下されてしまいます。
結局、保護する事が出来なかった男は
テロ組織に拉致されそうになり、
その現場を目撃したフェリスは
自分との接触に関わる情報漏れを恐れ、
男が連れ去られる寸前に殺害します。
入手した情報を元に
過激派のアジトへ乗り込むフェリスでしたが、
激しい銃撃戦に巻き込まれ、
命からがらテロリストの情報資料を手にします。
しかし、応援部隊のアメリカ軍ヘリの爆撃により、
フェリスは大怪我をし、助手は死亡。
命を落とした助手の家族への補償もされないまま、
フェリスはホフマンの命令により
ヨルダンの首都アンマンへと送り込まれます。
この映画を一言で言い表すならば
2006年3月に劇場で観た『シリアナ』を
エンターテイメント的に
分かりやすく観せた作品といった感じでしょうか・・・。
この映画には二人のCIA局員が登場しますが、
とても対照的でした。
テロリストを捕らえる為に中東アジアに滞在し、
命を懸けて現地を駆け回る
CIA工作員、フェリス。
CIA本部に勤め、
安全なアメリカ本土にあるオフィスや自宅から
電話一本で中東アジアへ指令を送り続ける
管理職エリート局員、ホフマン。
フェリスは現地で培った自分の強い信念の元、
様々な人脈を駆使して情報収集し、
テロ組織のリーダーに近づけるよう
現地の人間との信頼関係を重視しますが、
それをことごとく失敗させたのは
「自分=アメリカ」だと豪語するホフマンでした。
「中東の奴らを信じるな。俺を信じろ。」
と言っていた
ホフマンが思い描いていた作戦は
結局のところ机上の空論に過ぎず、
それに気付いていないのはホフマンだけでした。
その証拠とも言えるのが
現地での事態を終結させ窮地を救ったのは
誇り高きアメリカではなく、
現地の人間だったという、
第三者から客観的に観れば
何ともお粗末なアメリカの結末です。
現場を知らないなCIAのエリートの判断と、
国家を信じて活動してきたCIA工作員の決断には
世界平和に対する明るい未来が感じられず、
「・・・人間としてホントにこれでイイのか?!」
と考えさせられるようなシーンもあり、
現場を知らないトップの人間と、
現場で生きている人間の考え方の違いは、
縮まる事なく平行線のままなのです。
この映画はCIA工作員のフェリスが主人公の物語ですが、
言わば兵隊の上に胡坐をかく
将軍の愚かさを描いた作品のようにも
私は感じました。
アメリカ国家に限らず、
日本の社会しかり、アルカイダしかり・・・
上の人間はぬくぬくと生活し、
下の人間は身を粉にして働くという図式は共通で、
組織とは所詮こんなモノなのかもしれません。
そういえば、
10年くらい前に大ヒットした人気ドラマ「踊る大捜査線」も、
日本の警察内にある上層部と現場の温度差を感じさせる
組織を背景に描かれた物語でした・・・。
【2008年12月20日(土)TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて鑑賞】










シリアナでは理解しきれずに撃沈していただけに、この作品についていけて良かったです(笑)
「踊る」ならフリークですけどw
そして、どちらの立場もわかるフェリスという男。
それは現実世界では誰(どこの国?)なのでしょうか。
なにやら抜け道のない世界を見せ付けられたような気分になりました。
こんにちは
「シリアナ」は難しい映画でしたよねー
必死で着いていかなければ物語を見失ってしまうので、
劇場で観た時は結構精神的にもドッ
その後、WOWOWで観る機会があったので
気持ちに余裕を持ちながら鑑賞したところ、
やっぱり凄い映画だった事に気づきました
「シリアナ」しかり「踊る大捜査線」しかり、
そして今回の映画しかり…
上に立つ人間たちは「国家の為」「平和の為」と
謙虚さを装いながらも
世界が自分中心に回っていると思っているような傲慢さがあり…
それをこの映画では
観客の心を掴むようなアクションとドラマを交えて
とても上手く観せていたと思います
>ミチさま
こんにちは
うーん…
やはりフェリスは現実世界でいう
「誠実なアメリカ人」であり、
「アメリカに利用されたアメリカ人被害者」なのでしょうね
フェリスを支えていたのは自身の持つ
「国家に仕えるプライド」であり、
おそらく「アメリカへの愛国心」は
人一倍持っていたのでしょうし、
CIAに在籍している事自体が
それを物語っているような気がします
今年の4月に劇場で観た映画
「大いなる陰謀」の感想にも書いた事がありますが、
アメリカ国民の持つ「愛国心」とは
「プライド」みたいなモノなんですよね…
国に仕える事を何よりも誇りに思っているというか、
日本人は絶対に持ち合わせていないような
自国に対する絶対的な自信というか、忠誠心というか…
すごく強い意志を持っているのだと思います
だからこそ、フェリスのような人の情熱を
アメリカ国家は簡単に利用しちゃうのかもしれませんね
『シリアナ』は見ていませんが、スコット監督はスリリングな男たちのドラマがうまいですね。
対照的なフェリスとホフマンの間に入るハニのスマートさが印象的でした。
ラストも皮肉めいていて、兵隊は使い捨て・・・
戦争って昔も今もかわりませんね。。
こんばんは
リドリー・スコット監督は
本当に男たちのドラマの描き方が上手い監督ですよね
今回の映画も大満足でした
確かに、ハニが一番スマートでカッコ良く、
筋の通った強い信念の持ち主でしたよね
こんな戦争は馬鹿げていると分かっているのに
誰も止められない現実…
それを把握している人間の姿こそが
最後のフェリスの姿なのかもしれませんね
テーマは同じでも作る人によって違いますね
アメリカ人には耳が痛かったらしく
ヒットしなかったようですが、
最後まで面白く見られました
こんばんは
確かにテーマが同じであっても
作り手によって内容がこんなに違ってしまうとは…
こんな感じで驚きの作品でもありましたが、
私も最後まで面白く観る事が出来ました
最初に観た「シリアナ」はホントに難しい作品でしたが、
再度観直すと奥の深さを感じる秀作だったと
感じさせられました
好みにより評価も違ってくるのでしょうが、
「シリアナ」より今回の映画の方が
一般ウケするのも分かる気がします
私も、こっちの方が好きですし…
>アメリカ人には耳が痛かったらしく
>ヒットしなかったようですが
あー、これは分かる気がしますね
劇中に登場したアメリカの姿は
「英雄の国、救済の国アメリカ」ではなかったですし、
ハイテクを利用しまくる金持ち国家の不甲斐無さも
露骨に描かれていましたから…
昨年は(も)、お世話になりました。
本作品、アメリカでコケたと聞きそれほど期待していなかったのですが、
鑑賞後、コケた理由がわかりました〜。
私もテクテクさんのように「踊る大捜査線」で描かれたような
立場の違う人々の“温度差”を感じ、
やはり“会議室に居る人々”には、木は見えても森は見えないのだわ。。。
とつくづく思いました。
どの国にも、どの分野にも、こういう関係って存在するんですね。
永遠になくならない気がするのがちょっと哀しいです。
今年もお互いに、
1本でも多くの素敵な映画に出会いたいですね♪
今後ともよろしくお願いいたします。
あけまして
昨年は大変お世話になりました
こちらこそ今年もヨロシクお願い致します
この映画に描かれていた事は
アメリカ国民には受け入れがたい内容かもしれませんが
とても興味深い物語でしたし、
人間ドラマもアクションも上手く表現されていましたよね
「正義」とは、
その人の立場によって形が変わるモノなのかもしれないと
ちょっと考えさせられたりもしました
昨年末は面白い映画続きで大満足の師走でしたが、
今年も1月中旬から沢山映画が公開されるので
面白い映画に出会える事を私も願っています
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さてこの作品,昨年のシメに選んだ作品ですが
なかなか見ごたえがあって,考えさせられました。
リドリー監督,こういうの上手いですね!
自国批判のような重いテーマにもかかわらず
しっかりエンタメもしていて流石でした。
ホフマンはまさに傲慢なアメリカの象徴でしたね。
政権も交代したことだし,今後のアメリカは
少しは変わってゆくのでしょうか?
あけまして
こちらこそ、昨年は大変お世話になりました
今年もヨロシクお願い致します
この作品は、とても見応えのある作品でしたよね
リドリー・スコット監督の手腕に感心させられる映画でした
現実的にも今年のアメリカは
様々な問題を解決しなければならない時期なので
どう変わっていくのかを静かに見守りたいところです
私個人的には洋画、邦画を問わず
世界の不況を吹き飛ばしてくれるような
素晴らしい映画に出会える事を期待しています