水曜日のシネマ日記

映画が大好き♪
水曜日に劇場で映画を観る機会が多い私の映画・DVD鑑賞記録日記です。

勘違い男の暴走。『マイ・バック・ページ』

2011-06-04 09:00:00 | 映画【ま行】
1969年から1972年を舞台に
左翼思想の学生と雑誌記者の関係を描いた作品です。


映画の評価 ★★★★☆ 時代を感じる映画


●以下ネタバレがあります●


私が生まれたのは1968年。

なのでこの映画の時代の頃の記憶は全くありません。

過去のニュース映像でしか見た事のない学生運動は
私には今でも理解し難い行動で・・・

もしかしなくてもそれは
私が平和な時代に生まれ育ったせいなのかもしれません。

でも、今回観た映画に登場する主人公の気持ちは
共感こそできませんが意図は掴む事が出来ました。


劇中に登場する
松山ケンイチ演じる大学生の梅山は
自分の立派な理想論を掲げながらも
考えが浅はかで上っ面ばかりの
パフォーマンスを重視する男です。

なので彼の言動
つじつまの合わない事だらけ
自分が目立つ事以外
何を目指しているのかが全く理解できません。


ホント、意味不明。


そんな梅山は周囲の人間からも
次第に距離を置かれてしまう反面、
適当な嘘と自作自演を重ねながら
相手を論破してしまう事も出来ちゃう男です。


まるで「ああいえばじょうゆう」みたい。


結局、梅山は思想犯というよりは愉快犯
利用できる人間を踏み台にしながら
自分が学生運動の伝説になる事で
のし上がりたかっただけの男でした。


そして妻夫木聡演じる新米雑誌記者の沢田は
社会派ジャーナリストを目指していましたが、
現実は娯楽性の高いコラムを担当していて
自分の理想とはほど遠い場所にいました。

しかし、リアルな学生運動の現場を体感してから
沢田はすっかり真のジャーナリズムに魅了され、
先輩記者に接触してきた梅山への取材に
のめり込んでしまいます。

結局、沢田も梅山への取材を足がかりに
社会派ジャーナリストへの道を掴む為、
理想の自分になろうと必死になって
自分がのし上がりたかっただけの男でした。


そもそも梅山にも沢田にも
自分が貫き通す確かな信念なんてモノは無く、
表面的なカッコ良さに憧れただけの
身のほど知らずの青二才。

彼らの行動は野望に燃える
勘違い男の暴走に過ぎませんでした。


「俺、なんであいつの事を信じちゃったのかなー。」


責任を負わされる立場になった沢田は
そんな言葉をポツリと言いますが
その答えは明確です。


沢田は自分の手柄しか考えていなかった為に
先輩記者の忠告を無視するほど
完全に舞い上がってしまっていて
冷静さを見失っていたからです。


本物の学生運動家になりたかった梅山と
真のジャーナリストになりたかった沢田。


私は梅山にも沢田にも
嫌悪感しか抱けませんでしたが、
最後の最後に沢田がむせび泣く姿を見て
なんだか少し救われたような気分になりました。

それは沢田が自分のやらかした事、
くだらない過去の自分の理想を
ようやく冷静になって見る事が出来た貴重な瞬間でした・・・。


【2011年6月3日(金)TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて鑑賞】
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4 コメント

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ラストの「涙」 (えい)
2011-06-04 12:29:06
こんにちは。

あのラストの「涙」の解釈が
人それぞれで興味深く、
いろんな方のレビューを拝見しています。

>過去の自分の理想を
ようやく冷静になって見る事が出来た貴重な瞬間でした・・・。

これはとても納得させられました。

今後ともよろしくお願いします。
早いですね (☆しん☆)
2011-06-04 13:01:47
映画、お好きなんですね
映画館で見たのはいつだったか…
的確なコメントありがとうございます
コメント返信 (テクテク)
2011-06-04 20:08:25
>えいさま
こんにちは
私も様々なブログを通して
あの「涙」が多くの方の心を掴んでいた事を知りました

この映画の良さは
あの「涙」があったからだと言っても
過言ではないように思います

人によって解釈は異なるのでしょうが
私は沢田が過去の自分の愚かさを
改めて痛感した瞬間だったように感じました

こんな私的感情満載のブログですが
こちらこそ、今後ともヨロシクお願い致します
コメント返信 (テクテク)
2011-06-04 20:16:34
>☆しん☆さま
こんにちは
東日本大震災後、しばらく劇場から遠のいていましたが
5月に入ってから映画館通いが復活しました

今回観たこの映画は社会派ドラマという事もあってか
ひとりで観に来ている男性の観客が圧倒的に多く、
男性には理解できる部分があるのかもしれません

141分という若干長めの上映作品ですが
全体的にとても丁寧な作りをしている邦画です

時間があった時には是非ご覧になってみて下さいね

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