水曜日のシネマ日記

映画が大好き♪
水曜日に劇場で映画を観る機会が多い私の映画・DVD鑑賞記録日記です。

はき違えた善意。『紙の月』

2014-11-16 12:00:00 | 映画【か行】
銀行勤めの平凡な主婦が大金を横領する物語です。


映画の評価 ★★★★☆ 現実でもありがちな物語の映画


●以下ネタバレがあります●
 


私が19歳だった頃。

テレビで観たドラマ「北の国から’87 初恋」のラストシーンでは
純クンの父親から謝礼として渡された新券の壱万円札を
「この金は受け取れない。記念として取っておけ。」と言って
純クンに渡したトラック運転手の姿がありました。

その新券の壱万円札には
純クンの父親が無意識に付けてしまったであろう
指で触った泥の跡があって
それを見た純クンは
その壱万円札を握り締めて泣いていました。

そんな25年以上も前に観たテレビドラマを
今でも私が鮮明に覚えているのは
謝礼を懐に入れなかったトラック運転手の気持ちや
泣いている純クンの気持ち、
その壱万円札に込められた父親の気持ちが
当時19歳だった私にも痛いほど分かったからです。


でも今回観た映画の主人公である梨花には
そんな気持ちなんて到底理解出来ないのでしょうなぁ・・・


梨花は少女の頃に大きな過ちを犯していました。


人助けの為だと思って梨花が募金した5万円は
父親の財布から内緒で抜き取ったお金
それが何故悪い事なのか
彼女には理解できなかったのです。


クラスメイトが自主的に出し合って集まった5万円の募金と
自分の父親の財布から抜き取って梨花が出した5万円の募金。


同じ金額の5万円なのに何が悪いのか?


募金の価値と意味は金額の問題ではなく
募金として集められたお金の経緯にある事を
少女の頃の梨花は分かっていませんでした。


そして金銭感覚が身に付いたはずの
立派な大人の主婦で社会人となった梨花は
またまた同じ過ちを犯します。


人助けの為だと思って梨花が青年へ渡した200万円は
助けたかった青年の祖父が銀行へ預けたお金
それが悪い事だという認識
彼女にはあまりありませんでした。


元々は青年の親族が銀行へ預けたお金であって
赤の他人が預けたお金ではないし、
誰にも知られず期限までに同額のお金を戻せば
何事も無かったかのように帳尻合わせが終了して
結果良ければ全て良し!という
少女の頃と何も変わらない安易な考え方だったのです。


最初は善意のつもりで
青年の為に銀行のお金を勝手に拝借していた梨花。


それが直ぐにバレなかった事をいい事に
梨花にとって横領という名のハードル
どんどんと低くなってしまいます。


自分の腹は痛まないので
やりたい放題の梨花でしたが
が醒めて現実へ引き戻された時、
自分がやらかしてきた事の重大さ
初めて気付かされました。


でもそこにあったのは
銀行に全てがバレて大騒ぎになった時でさえ
それでもまだ反省する気持ちよりも
自分の考え方を肯定し続ける梨花の姿。


ラストシーンの彼女の表情からしても
自分の善意を信じているとしか言いようがありません。


「三つ子の魂百まで」とは正にこの事。


はき違えた善意
自己満足に過ぎない事を
彼女には一生をかけてでも理解出来ないのでしょうなぁ・・・


【2014年11月15日(土)TOHOシネマズ市川コルトンプラザにて鑑賞】
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