水曜日のシネマ日記

映画が大好き♪
水曜日に劇場で映画を観る機会が多い私の映画・DVD鑑賞記録日記です。

大人になるという事の残酷さ。『秒速5センチメートル』

2007-03-31 15:16:44 | 映画【は行】
ひとりの少年を軸に子供から大人への成長を描いた作品。
ショートアニメ三部作で構成された映画です。


映画の評価 ★★★★★ リアルな純愛アニメ映画


●以下ネタバレがあります●


昨年6月に
劇場で『初恋』を観た時の感想で
私が12歳の時に経験した「初恋」について
少し書きましたが、
今回観た『秒速5センチメートル』の中には
幼かった頃の私の姿や心の痛みを
更にリアルに思い起こさせるモノがありました。


東京の小学校に通う
6年生の遠野貴樹と篠原明里は
親の都合で転校を繰り返すという
同じような境遇に育った事もあり、
一緒に帰ったり、いろんな話をしたりする
とても仲の良い関係でした。

これからも同じ中学校へ進学し
ずっと一緒にいられるような気がしていた二人でしたが、
卒業を目前にしたある日、
貴樹は明里から栃木県へ引越しする事を
電話で告げられます。

半年後、中学生になった貴樹のもとに
栃木で暮らす明里から手紙が届きます。

そんな貴樹もまた
次の春には鹿児島への引越しが決まっていました。

明里からの手紙の中に
以前と変わらない彼女の姿を感じた貴樹は
鹿児島へ引越しする前に
明里の住む栃木へ会いに行く約束をします。


劇中に描かれていた貴樹は
中学一年生の終わりに
生まれて初めて一人で電車を乗り継ぎ、
在来線で東京から栃木へと向かいますが、
そこで自分の立てた計画通りに
時間と行動が伴わない
という
これまで味わった事のない経験をします。

夜遅い時間まで寒い駅の待合室で
彼女を待たせたくない、
待っていて欲しくない。

でも彼女には会っておきたい・・・

こんな苛立ちと不安を抱えた貴樹が
ようやく待ち合わせ場所の駅に辿り着いた時、
そこにいた明里は涙をこぼします。

明里も動かない電車の中で涙をこらえていた貴樹と
同じ不安を抱えて待っていました。

幼くとも直向で純粋な愛情がそこには存在し、
以前と変わらない同じ気持ちで
再会できた二人でしたが
時間と距離に離されていったその後が、
第二部、第三部へと続いていきます。


幼い頃から転校を繰り返していた貴樹は
いつも一人でいる事に慣れていて
唯一純粋に心が通い合えたのは
あの頃の明里だけでした。

以来、貴樹に女友達や恋人は存在しましたが
彼女たちは
その心に近づく事は出来ませんでした。


自分の思い通りにいかない1分先と、
想像もつかない大きな未来に不安を抱え、
まだ子供の自分には何かを変える力は無く、
時間に流されてしまうしかなかった中学生の頃。

「自分」というモノを持ちながら
目標を決め兼ねていても
その先の果てしない未来に
希望や夢を膨らませる事が出来た高校生の頃。

傷つく事や失敗を回避する術を覚え、
当たり障りの無い上手な毎日を過ごしながら
ある程度の未来の選択肢が絞られてしまった事に
ふと諦めかけている事に気付いた大人社会に出た自分。


常に冷静でいる貴樹の姿には
誰もが経験する思春期のような
どこか頼りない等身大の青臭さ
があり、
大人になるという事の残酷さを感じました。

着実に時間は流れ、
自分も周囲も同じでいられる筈はなく・・・

でもその苦味こそが
人生の醍醐味だったりもするわけです。


私も小学6年生の時、明里や貴樹と同じように
相思相愛だった男の子と別々の中学校へ行くという
自分ではどうしようも出来ない別れを経験しました。

お互いの気持ちを知った時には卒業の日が目前に迫っていて
サヨナラのカウントダウンは始まっていました。


そんな彼と偶然再会したのは卒業から12年後の春。


お互い大人になっていましたが、
バス停ですれ違った瞬間に目が合い
おそらく彼も私に気がつきました。

しかし互いに声を掛ける事はせず
私は振り返る事も出来ませんでした・・・。


【2007年3月31日(土)渋谷シネマライズにて鑑賞】
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8 コメント

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こんにちは! (タオ)
2007-04-05 23:27:46
TB及びコメントありがとうございました。
確かにこの作品についてはまだ、レビューやコメントしている人が極端に少ないですね。
水曜日のシネマ日記でレビューを見つけた時は嬉しかったです!
この作品は見る側の想像力を駆り立てる力がありますね。
第三話についてはかなり評価が分かれるとおもいますが
私は普段からダイジェストムービーをたくさん作っているため音楽に入っていく際のフェードイン音量の調節やタイミング、この絵を何フレーム入れるかなど短い分もの凄く細かいところを気にして作っているため、どうしても職業病的に細かいところで気になるところがありました。
DVDになったときに今度はもっと視聴者の視点で楽しんでみたいと思います。
これからもたびたびお邪魔します。
コメント返信 (テクテク)
2007-04-06 07:28:57
>タオさま
こんにちは
こちらこそ、TB&コメントをありがとうございます

私は製作サイドの技術的な部分に気付く余裕もなく、
ズッポリと、この世界観に浸ってしまいました

この作品にある3作品は、
それぞれ全く違ったテイストで、
一人の少年が青年に成長していく過程を描いていますが、
私は、観る側の想像力を要する第三話が、一番好きでした

自分の持つ恋愛観によって感じ方が違ってくる
不思議な作品だと思いますが、
もっと多くの方の感想を知りたいモノです…
TB、コメントありがとうございます (zattchi)
2007-04-18 16:26:27
こんにちは
ボクもどっぷりはまった口です
自分とたくさん同化してしまい
そして、知っている風景がたくさん出てきて
どんどん、はまっていく
ありそうでない、美しすぎる景色のなかに・・・
今後も期待したい監督さんですね
次回作が楽しみ♪
コメント返信 (テクテク)
2007-04-19 07:20:38
>zattchiさま
こんにちは
自分の過去とオーバーラップする部分を感じた人には、
ドップリとハマってしまう作品ですよね
この映画のポイントは、
やはりアニメーションであった事だと思います
この物語を実写版で表現したなら、
逆に冷めて観ていたような気がします
次回作も楽しみですね
素晴らしい映画でした (にゃむばなな)
2008-09-02 22:07:17
以前から評判の良さは聞いていましたが、実際に見て本当にこの映画が好きになってしまいました。
改めて劇場で見れなかったことが悔やまれるくらいです。

アニメーションだからできるカメラワークであり、雰囲気であるところがとても素敵でした。

こういう映画は一人でも多くの人に見てもらいたいものですね。
コメント返信 (テクテク)
2008-09-03 12:36:06
>にゃむばななさま
こんにちは
私も、この映画にはドップリと浸ってしまいました

今、思い出しても、胸がジーンと熱くなります

美しいアニメーション映像も、青臭い物語も、
山崎まさよしの歌にピッタリとハマっていて、
私も大好きな作品です

この映画には、
宮崎アニメとはまた違ったアニメの良さがあると思います
多くの方にも知ってもらいたいモノですね
こんにちは (まりっぺ)
2009-06-15 18:24:56
一体どれだけの人が想いあった人と、別れを経験しないでいられるのでしょうかね。
コメント返信 (テクテク)
2009-06-16 12:59:14
>まりっぺさま
こんにちは

お互いに想い合っていても
時間や距離に引き離される場合もあり、
心変わりをしてしまう場合もあり…

人との出会いの数だけ別れがあるとはよく言いますが、
誰にも必ず平等に「死」が訪れる事を考えれば
確かに出会いに別れは付き物なのかもしれませんね

でも、これだけ多くの人間が生きている中での出会いは
実は貴重な出来事だと思います

そうやって考えると
人との出会いは大切にしたいと思いますし、
万が一、自分の意思とは裏腹に別れてしまった人がいても
押し花のように色あせる事なく
記憶の中で大切に思い続けるのも悪くないような気がします

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