水曜日のシネマ日記

映画が大好き♪
水曜日に劇場で映画を観る機会が多い私の映画・DVD鑑賞記録日記です。

好きな人の好きなモノを好きになる事。『イエスタデイズ』

2008-11-10 22:40:00 | 映画【あ行】
余命わずかな父親の頼みで、
父親の昔の恋人を探しに行く青年の物語です。


映画の評価 ★★★★☆ 静かで温かな映画


●以下ネタバレがあります●


この映画はノーマークだったのですが、
先に映画を観た知人からの「面白い!」という情報を元に
早速観に行こうと劇場へ向かった所、
135席の劇場に観客は私ともう一人だけ・・・。

あと一歩で人生初の貸切体験になるところでした。

上映している映画館が少ないのに、
観客が二人だけとは・・・。

この状況に不安にもなりましたが、
実際に映画を観てみると、
そんな気持ちも何処へやらという程、
静かで心に沁みるとても良い作品でした。


とある病院を訪ねた聡史(塚本高史)は、
ファミリーレストランのチェーン店を展開する
大企業の社長である父親(國村隼)との間に
大きなわだかまりを抱えていました。
父親からの電報で入院を知った聡史は、
3年ぶりに病室で父親との再会を果たしますが、
自分を病院に呼びつけたり、
思い通りに人をコントロールしようとする父親の事が
やはり好きになれません。
そんな父親から聡史は1冊のスケッチブックを手渡され、
中を見てみると風景画ばかり描かれている中に
一人の女性の絵が描かれているペーシがありました。
すると聡史は父親から、
その女性の消息を調べて探して欲しいと頼まれます。
彼女は30年前、父親と交際していた女性でした。
しかも彼女は父親との間に出来た子供を
身ごもっていたまま別れたという
衝撃の事実を知らされます。
当初は父親への反感を更に強め、
頑なに拒否する聡史でしたが、
少ない手掛かりを元に彼女の事を探し始めます。
父親から教えられた情報により、
聡史は当時彼女が通っていた音大へ行ったりと
あちこちへと足を運び、
彼女が住んでいた住所を訪ねてみたところ、
そこには父親から預かったスケッチブックに描かれていた
古いアパートが建っていました。
すると不思議なことに聡史は30年前にタイムスリップして、
当時の父親と彼女の生活に入り込んでしまいます。


劇中に登場する聡史は、
大企業の社長である父親の事が大嫌いでした。

しかし、30年前にタイムスリップし、
父親の過去を知る事で、
聡史は次第に
これまで自分の目に映っていた父親の姿
思い込みが作り上げた虚像に過ぎなかった事に
気づき始めます。

それに気づかせてくれたのは、
父親の過去の恋人である30年前の澪でした。

当時の父親と澪の姿は、
純粋に互いを想い合う恋人同士で、
父親は画家を目指し、
澪はピアニストを目指すという、
夢を抱いた若者たちでした。

しかし、父親は家庭の事情
実家の経営する小さな洋食屋の仕事を継ぐ事になり、
画家になるをも捨てざるをえなくなります。

父親の恋人であった澪は、
ピアノを愛する静かで清楚な純粋さがあり、
彼が画家を目指している時も、
実家の事業を継ぐ事になった時も、
常に彼の事を愛し続け、
彼の意思を尊重する芯の強い女性でした。

そんな澪を間近で見ているうちに、
聡史も彼女に好意を抱き始めます。

劇中のエピソードで、
聡史が澪と喫茶店に入った時、
彼女の元に運ばれてきたのはクリームソーダで、
それを見た聡史はクスッと笑いますが、
「彼の好きな飲み物だから。」
と、澪が答えるシーンがあります。

「好きな人の好きなモノを好きになる事ってない?」

澪は聡史に問いかけますが、
その時の聡史には、
その気持ちが何となくしか分かりませんでした。

でも、澪や絵画を純粋に愛する
若き日の父親の姿
や、
澪へ別れ話を切り出した時の父親の本心を知り、
聡史は次第に
澪の愛した父親の事が好きになります。


人は大人になればなるほど、
親や仕事などの様々な事情を背負う機会が増え、
自分の感情の赴くままに生きる事
なかなか出来なくなります。

そして、今年の10月に劇場で観た映画
『最後の初恋』の中で
リチャード・ギア演じるジャックが言っていたように
人生は選択の連続なのです・・・。

若き日の聡史の父親も、
人生の中で選択の岐路に立たされ、
彼女を愛しているからこそ
別々の道を歩む
という
苦渋の決断を下しました。

その選択をどう評価するのかは
本人が判断する事であって、
例えそれが
後に後悔するような選択であったとしても
過去に時間を巻き戻す事は出来ません。

確実に流れていく時間の中で、
過去といかに向き合い、前進するかは
やはり本人が決める事だと私は思うのです。

愛する人を手放し、
実業家としての成功を収めた
聡史の父親の選択が正しかったのか間違っていたのか、
それは誰にも分かりませんが、
聡史は父親の過去を責めるのではなく、
父親の過去と向き合う事
わだかまりを取り払い、
自分の未来を手に入れました。

それは父親を愛した澪のおかげでもあり、
聡史の愛した澪のおかげでもあり、
好きな人の好きなモノを好きになった結果なのだと
私は感じました。


【2008年11月8日(土)シネマイクスピアリ舞浜にて鑑賞】
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2 コメント

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Unknown (Ageha)
2008-11-12 13:40:18
テクテクさん、どうも。
なかなかコメントにこれなくてすみません。
更新もあまりできない状態ですが
今後ともよろしくです。

>『父親の過去と向き合う事で
わだかまりを取り払い、
自分の未来を手に入れました。

それは父親を愛した澪のおかげでもあり、
聡史の愛した澪のおかげでもあり、
好きな人の好きなモノを好きになった結果なのだと
私は感じました。』

・・・・こういうふうに書きたかったな~。(泣)
気持ちがあふれちゃって
ちっともまとまりませんでした。うぅぅ・・。

ほんの少し、ラブストーリーやら
その先のありえない展開を深読みしましたが
これはあくまでも
「父と子の物語」で、
「自分で未来を決める物語」だったと。
正しくでも間違ってても
そこにたどり着くまでに
たくさんの人と出会い、愛し別れていく。
そういう当たり前だけど確かに歩いていくことを
今更のように思いながら見てました。

『好きな人の好きなものを好きになりたい』
・・・「ただ、君を愛してる」の
宮崎あおいを思い出しました。
もっとも彼女の場合は
「片思いの彼があこがれていた女の子」
と仲良くなるわけですから(!)
それはまたちょっと違うと思うんですけどね・・・。
コメント返信 (テクテク)
2008-11-12 23:38:50
>Agehaさま
こんばんは
お久しぶりですね
こちらこそ、今後ともヨロシクです

ところで…
私の感想に共感して頂けた事、大変光栄に思います
ありがとうございます

気持ちが溢れちゃって、
なかなかまとまらなかったという気持ちは、
私にも良く分かりますよ

こんな短い私の感想文ではありますが、
この映画を見終えたときは
私も完全に感情的に傾いてしまっていたので、
感想を書くにも、少し書いては時間を空けて、
また少し書いては時間を空けて…といったふうに、
実は2日ほどかけて
感情を冷ましながら書き上げました

この映画は、静かなストーリー運びの中にも、
温かな血の通った人間の良さというか、
人間の奥深さを感じましたし、
人との出会いや別れを経験し、
喜びや悲しみに直面するシーンでは、
映画を見ている側の自分自身の過去の姿と
重ね合わせて見る事も出来る作品だったと
私も思います

「ただ、君を愛してる」に通じるモノを感じられたのには、
なるほど素晴らしい着眼点ですね

この映画は今月1日から公開されたばかりなのに、
上映劇場が少ないせいか見ている方も少ないようで、
ちょっと残念です

せっかくイイ映画なのに…勿体無いですよね

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