空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

apaホテルの件の私的メモ

2017-01-25 17:37:18 | Weblog
NewsWeekJapan アパホテル炎上事件は謝罪しなければ終わらない 2017年01月23日(月)19時32分 李小牧(り・こまき)

 対策についての提言に引っかかりを憶える向きもあろうが、状況を中国政府側から見たらこうである、という説明自体は大変わかりよい。

 幾つか問題、課題があろうが。

特に元谷代表は安倍晋三首相の後援会とされる「安晋会」の副会長という立場にある。あの書籍が彼の個人的な思想表明だったとしても、世界はそうは受け取らない

 しかしまあ、後援会副会長の思想は後援される政治家のそれと相当近いと推定されるだろうが、一致しているとは限らない(というかしばしば意に反することはあろう)し、

「軍国主義復活を目指す安倍首相」という中国の国際的宣伝に有力な証拠として利用されるだろう

 …利用するかどうか、どう利用するかはその社会的価値と先方さんの胸先三寸、品性、見識の問題というあたりか。

 2ページ目

中国の愛国主義は常に敵を必要としている。汚職政治家、反動分子、外国政府、外国企業と対象は常に移り変わるが、いつもなにかしらの敵を必要としているのだ。敵がいなければ国家の元に一致団結できないのが愛国主義の思想であり、そのため中国は常に敵を求めている

 国家は敵を設定する可能性において国家足りうる、というわけか。ああ、しかしそれはそれこそ、(しばしば安倍首相がそういうふうだ、とあげつらわれるところの)ヒトラードイツのやり口と同じであって。

 今回、問われるかもしれない論点がここにある。「ヒトラードイツの共犯者に、君はなれ」と言われた場合、どうすべきか、というぐあいに。

 また、「中国の愛国主義は常に敵を必要としている」と言って、その文脈の流れでさらに「敵がいなければ国家の元に一致団結できないのが愛国主義の思想であり、そのため中国は常に敵を求めている」と、こうした動きは国家的方針であるぞ、と解説がある。

 さて、安倍首相がこの種の問題で延々批判されるように、”愛国主義”だのは危険な麻薬である。その危険な麻薬が隣国で燃え盛る、しかも国家的に燃え盛らせられている場合、どう対処すべきだろうか?

 隣国のいち企業は、どう対処すべきなのだろうか? まあ、商売に差し支えがあるようだから、形式的にはアタマを下げておこう、というのが楽な対処だが、今回の場合はちょっと非常にだいぶ特徴的な社長さんが、これぞわが思想の自由と我をはっているのだ。いままでのように、あえて愚行をしつづける自由を主張しているようだ。

 で、これに対して国家的に―安倍氏が後援者にむけて、ではなく―首相が「ご指導」したりすべきなのだろうか? いやあ、民主集中制でもあるめえに、とかいう反応もあろう。

 となると、こうなる。

 まあ、いつでも噴火できる程度に、あれこれの不満憤懣がたゆたっているのはそのとおりだろう。そういう民衆的基盤はもちろん、あるのだろう。まあこっちにもあるし。

 しかしアパホテルがアレなのは大昔からであって、以前有名人が問題提起しても(同、1ページ目の「実は私自身も約1年前の2016年2月11日に微博でアパホテルの問題を取り上げている」)問題は噴火しなかった、なのに今回噴火したのは、そうすべき政治的事情があるからだ、と解説してある。

 ということで、「はたして、『日中関係、よくなりすぎたっぽいから、ほどほどに悪化させておきたいかな!』という中国政府の希望を暗黙のうちに読み取り、これに配慮して適宜中国政府の意向をうけた行動を日本のいち私企業がすべきかどうか、日本政府がいち私企業に指導すべきかどうか」。そうして「いや、いち私企業というのではない、そこの社長は現行の首相の後援会副会長だろう!」と追撃するようなら―

 ―ことは「自由」の概念に関わる。「自由」の理解に関わる。

 また、「筋目」の問題もある。
 アパホテルのアレは、まあ、見るからに不快なものではあれ、事実上売り物ではないので、商業的に砕く対象では、まずなかろう。それを砕くのは、まずは学術的手続きによるべきなのだ、第一義的には。いやまあ、学術的価値はないだろうけど、だからといってそうして放置だけで済ました成れの果てがこうであるわけだし。ともあれ、政治的に、国際政治的に取り扱うべき内容では、第一義的には、ないはずなのだ。

 しかし

中国の企業向け炎上対策マニュアルでは、愛国主義的バッシングを受けた時には速やかな謝罪が必要だと書かれている。さもなくばアップルのような世界的企業ですら大きな傷を負ってしまうのだ

 このように、超強力な企業であっても屈服させられるということを述べている。つまり、中国政府は「おい、お前は思想を曲げろ。さもなければ、お前の持っている企業を潰してやる」と脅迫している、ということなわけだ。
 最後の〆は:

不当な要求に謝罪させられるのはやりきれないが、今回に限ってはアパホテル側に非があることは明白だ。傷が浅いうちに事態沈静化へのアクションを起こすべきだろう

 勿論、アパホテルに非があるのは明白だ。謎キャラで売り出す謎戦略は、これまで相当受容されてきた。だが、突っ込みどころ満載丸分かりの地雷同人誌をホテルの部屋に配置するのは、商業的に明らかにマイナスだ。大分センスがアレだな、と。

 だが中国政府側の筋目が悪いのも明白なので、それはそれでご反省なさるとよい、と思う。しかし、おそらく、中国側はこの事件を反省できないシステムであるかとも思われ(反省した次の瞬間には、「全ての権力を党中央に」という建前を崩す)、…困ったねえ、と。
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