(以下、読売新聞【山梨】から転載)
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災害時の外国人支援訓練
災害時通訳ボランティア(左の2人)から避難所について説明を受ける外国人住民ら(29日、笛吹市で)
災害発生時に県内在住外国人や外国人観光客を手助けする通訳ボランティアを育成するセミナーと、外国人に避難所での行動を学んでもらう教室が29日、笛吹市の石和清流館で開かれた。言葉の壁を越えて防災意識を高めてもらおうと、県国際交流協会などが2008年から毎年1回開いているが、県内在住の外国人数に比べて参加者数が多いといえず、同協会は「外国人を含め、一人でも多くの人の命を守るため、災害発生前にできる対応を考えてほしい」と話している。
通訳ボランティア養成セミナーは、英語や中国語、ポルトガル語、スペイン語のいずれかを話す外国人と、それらで日常会話ができる日本人計約40人が受講し、災害時の外国人支援に詳しい専門家が講義した。
災害時、駐日大使館や自治体を通じての安否確認は業務の負担になるため、外国人が自ら母国に安否を伝えられるように公衆電話の場所や使い方を優先して伝えることや、避難所の混乱を避けるため、共用設備の使用ルールを積極的に教えることの大切さも説いた。
受講者らはその後、避難所での行動を学ぶ教室に参加した外国人約50人と合流。掲示板に張りだした炊き出しの時間やバスの時刻などを訳して伝える訓練をした。
法務省の在留外国人統計によると、県内で暮らす外国人数は昨年末時点で1万4388人。同協会によると、日本の自然災害についてほとんど知らないまま来日する外国人も多い。また、警報や避難勧告は日本語での情報伝達が主流だ。避難所教室に参加したペルー出身で南アルプス市の西田ジャケリーネさん(49)は「日本語が完璧でない私は、災害が起きても周囲の雰囲気で危険かどうかを判断することがほとんど。こうした訓練はありがたい」と話す。
◇
ブラジル出身で中央市の会社員吉川ファビアノさん(38)は毎年、通訳ボランティアのセミナーに参加している。来日して19年がたつが、「ブラジルでは地震も台風もない。地震は怖い」と話す。「知識と技術があれば、自分も災害時の役に立てる」と今年6月、日本赤十字社が開く救急法講習を受講。県内在住の外国人でつくる防災ボランティアグループでも活動している。
同協会は過去5回の訓練を中央、南アルプス、甲府、富士吉田、甲斐の5市で開き、計約600人が参加。しかし、県内在留外国人数に対して十分な参加者数とはいえず、同協会の坂上敬子主事は「日本人と外国人が連携して地域全体で防災意識を高めることが重要だ」と話す。
(2013年9月30日 読売新聞)
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災害時の外国人支援訓練
災害時通訳ボランティア(左の2人)から避難所について説明を受ける外国人住民ら(29日、笛吹市で)
災害発生時に県内在住外国人や外国人観光客を手助けする通訳ボランティアを育成するセミナーと、外国人に避難所での行動を学んでもらう教室が29日、笛吹市の石和清流館で開かれた。言葉の壁を越えて防災意識を高めてもらおうと、県国際交流協会などが2008年から毎年1回開いているが、県内在住の外国人数に比べて参加者数が多いといえず、同協会は「外国人を含め、一人でも多くの人の命を守るため、災害発生前にできる対応を考えてほしい」と話している。
通訳ボランティア養成セミナーは、英語や中国語、ポルトガル語、スペイン語のいずれかを話す外国人と、それらで日常会話ができる日本人計約40人が受講し、災害時の外国人支援に詳しい専門家が講義した。
災害時、駐日大使館や自治体を通じての安否確認は業務の負担になるため、外国人が自ら母国に安否を伝えられるように公衆電話の場所や使い方を優先して伝えることや、避難所の混乱を避けるため、共用設備の使用ルールを積極的に教えることの大切さも説いた。
受講者らはその後、避難所での行動を学ぶ教室に参加した外国人約50人と合流。掲示板に張りだした炊き出しの時間やバスの時刻などを訳して伝える訓練をした。
法務省の在留外国人統計によると、県内で暮らす外国人数は昨年末時点で1万4388人。同協会によると、日本の自然災害についてほとんど知らないまま来日する外国人も多い。また、警報や避難勧告は日本語での情報伝達が主流だ。避難所教室に参加したペルー出身で南アルプス市の西田ジャケリーネさん(49)は「日本語が完璧でない私は、災害が起きても周囲の雰囲気で危険かどうかを判断することがほとんど。こうした訓練はありがたい」と話す。
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ブラジル出身で中央市の会社員吉川ファビアノさん(38)は毎年、通訳ボランティアのセミナーに参加している。来日して19年がたつが、「ブラジルでは地震も台風もない。地震は怖い」と話す。「知識と技術があれば、自分も災害時の役に立てる」と今年6月、日本赤十字社が開く救急法講習を受講。県内在住の外国人でつくる防災ボランティアグループでも活動している。
同協会は過去5回の訓練を中央、南アルプス、甲府、富士吉田、甲斐の5市で開き、計約600人が参加。しかし、県内在留外国人数に対して十分な参加者数とはいえず、同協会の坂上敬子主事は「日本人と外国人が連携して地域全体で防災意識を高めることが重要だ」と話す。
(2013年9月30日 読売新聞)