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判例 CASE NO: 9/4-1290/13

2017-05-22 09:52:15 | マレーシア労務

<概要>

O氏はN社より2010年4月3日に採用通知を受け、同年7月1日にPenang BazaarのSupervisorとして正式採用される。2013年4月11日、O氏はN社より同年4月10日にManaging DirectorであるN氏の許可なしにタイピンにある高等裁判所へと出廷した理由について説明するよう書面で求められる。2013年4月15日、O氏は書面にて高等裁判所へと出廷した理由として被告人の弁護士より証人として召喚されたためであるとし、事前にN氏の許可を必要とすることは知らなかったと説明する。

その後、内部監査委員会やそれに準ずる委員会は開催されなかったが、2013年4月23日、O氏はN社より同年5月31日をもって解雇するとの旨が記載された書面を受け取る。O氏はこのことに対しN社の行った解雇は正当な理由によるものではなく不当解雇であるとしてN社を訴える。

なお、O氏の最終月収は月RM1,200である。

 

<従業員側の主張>

2013年4月10日に弁護士により召喚され、裁判へと出廷したことは決して間違った行為ではない。また、O氏の勤務時間はフレックスタイム制であるため裁判への出廷が職務に影響しているわけでもない。2013年4月15日の書面にある通り、事前にSupervisorの許可を必要とすることは知らなかった。これらのことから、許可なく裁判に出廷したことで解雇となるのは不合理である。O氏は現在、71歳で既に定年退職年齢を迎えていることから復職することは困難である。そのため判決が出るまでの期間の賃金と復職に代わる賠償金の支払いをN社に求める。

 

<会社側の主張>

O氏はN社に雇用されてから3年未満の勤務期間である。その間、Managing DirectorであるN氏の指示に従わなかったり、会社の方針を拒否したりするような行為が見受けられる。また、会社の備品であるテープレコーダー、MP3、スピーカーの返却も拒否している。N社は全従業員が勤務時間中に職場を離れる際は事前に許可を得ることを期待しているが、2013年4月10日にO氏が勤務時間中に裁判へと出廷する際は事前に許可を得ることはなかった。また、職場を離れることの事前許可については、就業規則や雇用契約書に明記はされていない。このことについて説明を求めた際、O氏は裁判に出廷するために会社を休むことに事前の許可は必要なく、また裁判出廷理由についてN社より説明を求められたと裁判所に告発するという反抗的、脅迫的かつ侮辱的な書面をN社に提出している。

これらのことより、N社が行った解雇は正当な理由によるものである。

なお、O氏の勤務時間についてはフレックスタイム制であることはN社も同意している。

 

<判決>

本件はN社による不当解雇とみなす。O氏は現在、71歳であり定年退職年齢を過ぎているため、本件において復職は考えないものとする。そのため復職に代わる賠償金は発生せず、解雇から判決日までの期間を未払賃金とし、N社よりO氏に支払うものとする。
なお、支払額は下記の通りである。

 

①       未払賃金

O氏に支払われた最後の給料は月RM1,200であることから、この額を基準とし最大24カ月分までを未払賃金とする。

RM1,200 × 24か月 = RM28,800

 

上記の金額から弁護士費用等を差し引いた額を30日以内にO氏の弁護士を通じてO氏に支払うこと。

 

<裁判所の見解>

労使関係法の原則として解雇にあたる不正行為の証明責任は雇用主側に発生する。従業員が有罪であることを証明するのは会社側にあり、自己は無罪であることを証明する責任は従業員側にある。

本件の争点は2013年4月23日に発行された解雇通知より、事前の許可なしに裁判へと出廷したことが解雇に該当するような重大な違反行為となるか否かである。N社の証言および解雇通知からはO氏が事前の許可なしに裁判へ出廷したことがなぜ解雇に該当するのか説明されていない。仮に事前の許可なしに裁判へと出廷する行為が雇用契約書等の違反行為に該当したとしても解雇は釣り合いの取れない処罰となり、適切ではない。また、N社はO氏がフレックスタイム制での勤務であることを認めているため、O氏が裁判へと行っている間、職場にいなければならないという証明をすることはできない。

よって、N社側からO氏の違法性を証明することができないため、N社の行った解雇は合理的な理由のない解雇であり、不当解雇である。

 

<判決のポイント>

本件は労使関係法の基本原則に沿って判断されたものとなります。労使関係法では解雇を行う場合に、その解雇が合理的な理由によるものであり適切なものであるかは会社側に証明責任が発生します。その際に実際の主張・証言だけでなく、理由提示書や解雇通知書の中身も重要な判断材料となってきます。特に解雇通知書には第三者が見てもわかるように解雇理由をしっかりと解雇理由を明記しておく必要があります。

過去の判例でも取り上げましたが、労働裁判において解雇は数ある処罰の中でも最も重く、他に取り得ることのできる手段が存在しない場合のみに使用することが認められる処罰と定義されています。そのため、事前に就業規則や雇用契約書の附則にてどんな違反に対してどのような処罰を与えるのか明確に定めておくことが望ましいと考えます。


 

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判例 CASE NO. 19/4-1056/12

2017-05-15 09:57:02 | マレーシア投資環境・経済

<概要>

T氏は1999年7月29日にSupervisorとして製糸業を営むU社に雇用される。2010年11月18日シンガポールより職業訓練でU社に来ていたA氏はT氏が勤務中に居眠りをしていたということを報告し、U社はこのことに対しT氏に停職を通知する書面を発行する。T氏は停職通知に対し2010年11月26日、U社のHRマネージャーに文書の内容を否定する旨を返信する。U社はT氏からの返信にもかかわらずA氏によって告発された内容をもとに内部公聴会を開催する。内部公聴会では委員会よりU社の経営陣にT氏に対し何らかの処分を下す提案については確認できなかったが、U社のExecutive DirectorであるJ氏自らがT氏を解雇することを提案し、2010年12月9日に就業中に居眠りをしていたことが会社の行動規範に対するする重大な違反行為だとしてT氏に解雇通知を発行、即日解雇とする。T氏はこのことに対し、解雇は不当であるとしてU社を訴える。なお、T氏の解雇前の月給はRM3839.72である。

 

<従業員側の主張>

2010年11月18日に勤務中に居眠りしていたとの報告があったが、実際には眠っていない。当時は体調が悪く薬を服用しており、服用後眠気は感じていた。医療休暇を取得することもできたが、当日の勤務シフトである2010年11月18日16時30分から23時ごろまでの勤務時間帯は他のSupervisorがいなかったため、取得せずに出勤することを決定した。

また、T氏のこれらの発言はU社のスタッフであるA氏により指示されている。A氏はT氏より気分が悪いため薬を服用していることを告げられ、その際に休暇を取ることを勧める。しかし、T氏は休むことよりも仕事をすることを選ぶことをA氏に告げた。またA氏は、T氏は監督者として優秀であり、告発のあった日やそれよりも前に眠っているのは見たことがないと主張した。

 

<会社側の主張>

J氏によれば、2010年11月18日にT氏が勤務中に居眠りをしていたという報告を受けたことから内部公聴会を開催したとのこと。内部公聴会ではT氏への処遇に対してU社の取締役に具体的な提案を行ってはいないが、J氏は会社行動規範2.25条より、勤務中の睡眠は重大な違反行為にあたるため、T氏の勤務中での睡眠は解雇にあたると主張した。

公聴会からの報告書によると、2011年11月18日のT氏勤務時間中は一切の事故や怪我、生産性の低下は見受けられず、生産性が通常の日よりも高いことを証明している。J氏はこの事実について認めている。またJ氏は重大な違反行為に対する処分方法は解雇の他に昇給の停止、降格処分、停職処分など、解雇が唯一の罰則ではないと説明するが、他の処分方法ではなく、解雇処分を選んだ理由について説明することはなかった。

また、U社側は睡眠の定義について「1秒でも目を閉じることは睡眠に該当する」と公聴会内で説明している。

 

<判決>

従業員側および会社側の主張より、当解雇は合理的な理由のない解雇であり、U社のT氏に対する解雇は不当解雇である。

T氏をもとの職位で復職させることは会社との関係性を考慮した際に適切ではないため、復職させる代わりにU社に賠償金の支払いを命じる。T氏に支払う額は解雇日から判決日までの期間の払賃金及び賠償金の合計額を支払うものとする。

支払額の算定方法は下記に従う。

 

①       未払賃金

T氏の最終給与である月RM3,839.72をもとに24か月を超えてはならない。

24か月 × RM3,839.72 = RM92,153.28

 

②       U社のように重機を扱う会社は集中力を必要とする業務が中心となることから勤務中の睡眠は不正行為である。よって未払賃金より50%の減額を行う。

RM92,153.28 ÷ 50% = RM46,076.64

 

③       賠償金

1年を1カ月として換算し、雇用日から解雇日までの期間を賠償金とする。T氏がU社に雇用されたのは1999年7月29日であり、解雇日は2010年12月9日である。勤務期間は11年4カ月であるが、4カ月分に関しては1年に満たないため換算しない。

11カ月 × RM3,839.72 = RM42,236.92

 

④       ②と③の合計額を支払額とする。

RM46,076.64 + RM42,236.92 = RM88,313.56

 

上記の支払額から弁護士費用等を差し引いた額を30日以内にT氏の弁護人を通じて支払うものとする。

 

<裁判所の見解>

雇用法(1955年)においてサービス契約の当事者は契約の条件を相手方が故意に違反した場合には通知なしで契約の終了を行うことができるとしている。また、雇用主は勤務の明示的または黙示的条件の履行と矛盾する不正行為を理由に従業員を解雇する場合、予告なしの解雇、降格処分またはその他、雇用主が適切だと考える罰則を与えることができ、罰金を科さない罰則の場合、2週間を超えてはならないとしている。解雇というものは重大な罰則に対して行われる最終手段であり、他の手段を取ることが適切でない場合にのみ適用されるべきである。U社が製糸業を営んでおり、重機を取り扱う業務がある以上、勤務中の睡眠は重大な違反行為であるが、解雇にするためには合理的な理由と公平性をもって判断する必要がある。公聴会で作成された報告書においてU社は睡眠の定義を「1秒でも目を閉じている状態」とした。このような恣意的な定義は従業員と会社の公平性を欠くものである。また公聴会ではT氏の処分に対して具体的な提案がなされなかったのにも関わらず、J氏は自身の一方的な判断でT氏を解雇するよう提案した。さらに体調不良にも関わらず勤務を継続したT氏の行動は模範的な行為であり評価すべき点である。よってT氏に対する解雇の正当性はなく不当解雇とする。

 

<判決のポイント>

本件は、①会社と従業員の間に公平性は存在するか、②「就業時間中の睡眠」という違反行為に対する処罰は解雇が適当か、の2点が判決の判断材料になったように思えます。

労働裁判において解雇を扱う際は、解雇は従業員に与えられる罰則の中でも最も重大な罰則として扱われます。そのため裁判では、解雇する理由が適当であるか(合理的理由の有無)および従業員と会社との間に公平性があるかというのが重要な観点となってきます。

今回の場合は、睡眠という行為は重大な違反ではあるが解雇するほどの違反ではないと判断され、また会社の提唱した睡眠の定義が会社と従業員との公平性を保つものではないと判断されました。

こうしたトラブルを避けるためにも就業規則や雇用契約書にはあらかじめ附則を設け、このような違反が起きた場合にはこのような対処を行うということや、文書内にあらかじめ用語の定義を設けておくことが重要となってきます。


 

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判例 CASE NO: 16/4-127/16

2017-05-08 14:40:22 | マレーシア投資環境・経済

<概要>

 M氏は2014年5月5日に採用され試用期間後、同年8月1日から2015年6月2日までMill Managerという役職でR社にて勤務していた。

 M氏によると2015年2月から同年4月までの3か月間、給与明細は発行されているにもかかわらず、R社より給料が支給されることはなかった。そのため、書面にて給与が未払であることを伝えましたが、7日が経過してもR社より返事が来ることはなかった。また、General ManagerであるF氏に対して、給与が支払われていないことを再三報告するが、何もフィードバックを得ることができなかった。

 その後、給与未払いに対して不服申し立ての書面をR社に送付したところ、現在は財政難であるため、問題の解決には2週間の猶予がほしいとの返事をいただくも、2週間後になっても給与が支払われることはなかった。

 本件に対しM氏は給与を支払われなかったことにより退職を強要されたとし、2015年6月2日にR社を退職し、R社を訴えた。退職後、本退職は強要されたことである旨を人的資源省に報告し2015年12月13日に名誉大臣によって言及され、M氏の訴えは2016年2月10日に裁判所に正式に受理されている。なお、M氏の辞職時における給与は月RM5,950である。

 

<従業員の主張>

 2014年8月1日にMill ManagerとしてR社から正式雇用されたが、2015年2月から同年4月までの給与が支払われていなかった。給与明細はR社より発行されているが、受け取っていたため給与が未払であることを手紙を通じてR社に報告するも7日間経過しても返事はなかった。General ManagerであるF氏に対しても給与が支払われていないことを再三報告するもフィードバックをもらえなかったため、R社に対して不服申し立てを行う。不服申し立てを行う際に「問題の解決には2週間要する」との報告を受けるも、実際に2週間経過しても給与が支払われることはなかった。

 給与が支払われなかった事実に対しM氏は会社による退職強要として2015年6月2日に退職しR社を訴えた。公判においてM氏は3ヶ月分の給与が支払われなかったことは正当な理由によるものではなく、給与未払いが原因で生活を支えるのが困難となったため、退職に追い込まれ、この退職は故意によるものではなく強要されたものであると証言した。
 また、給与の未払いに関してM氏は給与が支払われていないのは2016年2月から同年4月までの3ヶ月分だけでなく退職する月の給与、退職を受け入れる代わりに支払われる6か月分の給与の2つに関しても支払われていないと証言した。

 M氏は当裁判においてR社より損害賠償を受け取ることは望んでおらず、退職する前と同じ役職での復職を求めた。

 

<会社側の主張>

 裁判所が本件を受理した後、2016年3月28日、同年4月18日、同年5月23日、同年11月16日と4度にわたり公聴会及び公判が開催されるもR社は理由を述べることなく一度も出廷することはなかった。M氏の給与が支払われなかった原因としては同年11月16日に開催された公判でのM氏の証言より、(1)当時は財政難であったため支払うことができず、問題の解決には2週間を要するということ、(2)退職をする代わりに6か月分の給与を支払うことの2点だけであった。

 

<判決>

 本件はR社による退職強要であるとし、M氏の解雇は不当かつ違法なものである。またR社は3回の公聴会および1回の公判すべてに出廷しなかった。このことからM氏の証言をもとに判断する。

 M氏は退職後、すでに別の企業で働いていること、また復職しても会社との良好な関係性を築くことが困難であると判断されるため、復職ではなくR社にM氏の代理人を通じてM氏に賠償金を30日以内に支払うことを命じる。賠償金の内訳は以下のとおりである。

 

①     未払賃金分

  1. M氏の月給はRM5,950である未払い分である2015年2月から4月までの3ヶ月分給与、未払である退職月の給与、辞職を受け入れることで支払われる6か月分の給与、及び裁判所に訴えが受理された日である2016年2月10日までの期間の合計は12カ月となり、その期間分を未払賃金とする。

RM5,950 × 12か月=RM71,400

 

  1. M氏は退職後、新たな企業へと就職しているのでそれを考慮して20%差し引く。

RM71,400 - 20% =RM57,120

 

②     復職に代わる賠償金分

RM5,950

 

合計 ①RM57,120 + ②RM5,950 = RM63,070

 

<裁判所の見解>

 本件において重要視されたのは給料が支払われなかったことが正当な理由によるものか否かということであった。M氏は2015年2月から4月までの3ヶ月分の給与を支給されておらず、その旨を会社やF氏に何度も報告をしていたが不服申し立ての書面を送るまで、R社からの反応は一切なかった。不服申し立てに対する回答は、「財政難であるため問題の解決には2週間を要する」ということであったが、2週間経っても給与が支払われることはなかった。また、本件に対し2016年3月28日、同年4月18日、同年5月23日、同年11月16日と4度にわたり公聴会及び公判が開催されるもR社は一度も出廷しなかったため、裁判を迅速に終了させるためにもM氏の発言に対する反対尋問は行わず、M氏の発言を判決の判断材料となる。

 M氏の本件における一連の証言より、R社の行った行為は不当かつ違法な行為であり、M氏は自ら退職を申し出たのではなく、R社によって退職せざるを得ない状況に追い込まれたと判断するべきである。以上のことから本件は退職強要だとみなす。

 

<判決のポイント>

 本件の場合、公聴会及び公判に一度も出廷しなかったことが判決に影響しているものであると思われます。出廷を拒否するということは原告の意見に対して異論がないとみなされる場合がありますので、そのように判断された場合は原告の証言のみで判決を出すことになってしまいます。

退職強要を含む不当解雇であると訴えられた場合、各公聴会、公判において陳述することが判決を分けてくるものとなります。本件の場合、給与の未払いが正当な理由によるものであるということを会社側が証明することができれば、判決内容は変化していたように思われます。

本件のケースだけに限らず、上司や会社との関係性の悪化など、様々なケースにおいて退職強要を理由とした訴訟のケースがあります。従業員からの不平不満への対応と致しましては、就業規則や雇用契約書に不平不満に対する会社側の対応策を盛り込み、管理していくことが重要になると考えられます。


 

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判例 CASE NO. : 3/4-526/15

2017-05-01 14:15:42 | マレーシア労務

<概要>

 C氏は2013年10月1日にRegional Managing Directorという役職でL社に採用された。雇用契約書に記載されている期日は2014年1月1日であり、それまでの6か月を試用期間として定めてある。

 C氏は試用期間中、L社から1度も書面や口頭による注意を受けておらず、勤務態度に対して苦情が入ったことや、業務の質の低下も見られなかった。また、試用期間中に、C氏はL社から一度もトレーニングやコーチングを受けることはなかった。

 2014年4月1日、シンガポール、タイ及びベトナムの各Country ManagerはC氏に対し「一切の報告をしない」という旨をメールを通して伝えた。同年4月18日、C氏は「雇用契約違反と法定福利の未払い」と件名に記載したメールを返信し、4月26日に前日の事務所での会話が記録したファイルを添付してL社に送信した。

 添付ファイルにはL社が4月18日にC氏が送付したメールは同日に受け取っていること、また2014年4月24日をもって解雇するということが記録されていました。

 解雇される際に具体的な理由がL社より明示されていなかったとしてL社による解雇は不当解雇であるとしてC氏はL社を訴えた。解雇時のC氏の給与は月RM55,100であった。

 

<従業員の主張>

 2013年10月1日に採用され、2014年4月24日に解雇されるまでの7か月間、L社から勤務態度や業務内容に対して警告を受けることは一切なかった。また、試用期間中、L社から一度もトレーニングやコーチングを受けることもなかった。

 また、L社に採用された2013年10月1日から2014年4月24日までの7ヶ月分給与が未払いであり、同期間のEPF, SOCSOの合計額RM45,500も未払いである。それだけでなく、2013年11月から2014年3月までの経費に関しても支払われていない。

 雇用契約に違反するような行為は一切行っていないのにもかかわらず、L社から突然の解雇通知を受け、また解雇の理由も説明されないまま2014年4月24日に解雇された。このL社による解雇は合理的な理由に基づく解雇ではないためL社のC氏に対する解雇は不当解雇であると主張。

 

<会社側の主張>

 2014年4月18日にL氏より送信された「雇用契約違反と法定福利の未払い」に関するメールは確かに受領している。ヒアリング日である2016年3月22日までの間に陳述日が4回設けられていたが、L社はいずれの陳述にも出廷することはなかった。そのため、裁判所は一連の流れをC氏の証言より判断せざるを得ない。

 

<判決>

 本件はL社による不当解雇であるとみなす。

 C氏は解雇後4か月が経過した2014年9月にL社の給与よりは劣るものの、再就職している。また、このことから元の役職への復職は適した選択ではないとして30日以内にC氏の弁護人を通して賠償金を支払うようにL社に命じた。賠償金の計算方法は以下あのとおりである。

 

①     未払賃金分

  1. 未払である7か月分給与

7か月 × RM55,100 = RM385,700

  1. 解雇後から再就職までの4か月分

4か月 × RM55,100 = RM220,400

 

上記の合計額RM606,100から弁護士費用等を控除した額を30日以内に支払うべきである。

 

 なお、EPF, SOCSOに関しては関係機関に直接申し込みを行い、関係機関よりL社に働きかけてもらうように提言。また、経費に関しては使用された経費が会社目的で正当に使用されたものであるのか、会社が認めている経費であるのかを判断できないため、今回は言及しないこととした。

 

<裁判所の見解>

 本件は解雇されるまでの期間、研修生であったことが争点ではない。研修生であっても正社員と同等の権利を有し、合理的な理由なくして解雇することはできないからである。

 L社は2015年8月20日、同年9月18日、同年10月23日、2016年1月5日の陳述日に出廷しないという選択をした。また、ヒアリング日である2016年3月22日も出廷することはなかった。陳述日及びヒアリング日ともに裁判所から再三の連絡をしたにも関わらず出廷を拒否したということは本件に対して興味がないと判断されるべき行為である。

 労使関係法(1967年)第20条では労働裁判所が同法のもとで解雇を取り扱う場合、不当解雇の有無及び解雇が合理的な理由によるものかが判断基準となる。この際の合理的な理由とは雇用契約書に違反するような違法行為や特別な事情による場合のみである。

本件の場合、L社はC氏を解雇した理由を明示しなかっただけでなく、解雇した理由が合理的な解雇にあたるかの証明責任も果たすことができなかった。

以上のことからL社のC氏に対して行った解雇は不当解雇であるとみなす。

 

 

<判決のポイント>

 本件は「合理的な理由による解雇」及び実質的な争点にはなっていないものの「研修生に対する解雇」が扱われたケースとなっています。

 労働裁判所が労使関係法(1965年)第20条を用いて解雇を判断する際は、不当解雇の有無、及び合理的な理由に基づく解雇であるかが判断基準となります。また、合理的な理由とは違法行為、特別な事情の2点が判断基準とされています。

 研修生に対する解雇のポイントとしては、研修生であっても正社員と同等の権利を有するため合理的な理由を明示しない解雇は不当であるという判断となっています。

 今回、L社は解雇日を告げたのにも関わらず、解雇理由を明示しませんでした。その場合に、その解雇が合理的な理由に基づく解雇であるのか否かを説明する責任は解雇を告げた側にあります。その際に合理的な理由を明示できなかった場合は不当解雇であると判断される可能性がありますので、解雇を伝える際にはどういった理由を持って解雇するのかを伝えることが重要となってきます。


 

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マレーシア税制改正⑥

2017-04-24 14:34:05 | マレーシア税務

3-5.不動産に関わる印紙税

 

賦課年度2018年より、マレーシアの不動産における印紙税が変わることとなります。

 

<現行と改正案>

番号

市場価格

現行

改正案

最初の100,000RM

1%

1%

100,001RM~500,000RM

2%

2%

500,001RM以上

3%

3%

1,000,000RM以上

3%

4%

 

例)

購入金額 200 万RM

 

印紙税計算

金額

印紙税割合

対象金額

印紙税額

最初の100,000RM

1%

100,000RM

1,000RM

100,001RM~500,000RM

2%

400,000RM

8,000RM

500,001RM~1,000,000RM

3%

500,000RM

20,000RM

1,000,001RM~

4%

1,000,000RM

40,000RM

 

総額 2,000,000RM

総額 69,000RM

(従来は54,000RM)

 

<施行年度>

賦課年度2018年度1月1日より施行

 

3-6.優遇税制

 

① インターンシッププログラムの二重控除の期間延長

インターンシッププログラムに対する控除の期間が延長されています。マレーシア人卒業生に対する雇用の促進を図ることが大きな目的です。

 

<現行>

Talent Corporation Malaysia Berhad によって認められた会社が参加する、インターンシッププログラムにおいてかかった費用については、二重控除をすることができる。学位に応じて、控除できる賦課年数が変わってくる。

 

ⅰ) 学位 — 賦課年度2012年から2016年まで

ⅱ) 専門士 — 賦課年度2015年から2016年まで

 

<改正案>

このそれぞれの賦課年度を3年伸ばし、2019年まで適用可能とする。

 

<施行年度>

賦課年度2017年〜2019年のみ

 

② ハラルパーク内で取り扱うハラル食品に対するインセンティブの緩和

新たに機能性食品とプロバイオティック食品に対してインセンティブを緩和いたしました。

 

<現法>

HDC(Halal Development Corporation)が促進しているハラルパークで活動しているハラルビジネス関係会社に対しては、以下のようなインセンティブを与える。

 

ⅰ) 適格資本支出に対する税金は、10年間免除。もしくは、5年間の輸出に対する売上を免除とする。

ⅱ)ハラル製品を開発、生産するにために必要な原材料の輸入に対しては、関税を免除とする。

ⅲ)GMO コード(WHO やFAO が定めている食品の基準を満たした食材)やHACCP コードが取得されている食品の購入費については、二重控除が適用できる。

 

本インセンティブを用できる食品は以下の通りである。

 

ⅰ)加工食品

ⅱ)化粧品、医薬品など

ⅲ)肉製品

ⅳ)ハラル認定の材料

 

<改正案>

新しく追加以下の二つを追加することとする。

 

ⅰ)機能性食品

ⅱ)プロバイオティック食品

 

<施行年度>

賦課年度2016年10月22日より施行


 

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