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マレーシア税制改正②

2017-03-27 16:40:11 | マレーシア税務

3.税制改革

3-1.法人所得税

① SME 企業に対する法人税の引き下げ

賦課年度2017年より、SME 企業に対する法人税が、19%から18%へ引き下げられることとなります。ただし、SME 企業以外については、24%のまま変更はありません。

 

<現行と改正案>

課税所得

賦課年度2016年

賦課年度2017年

及び2018年

500,000RM まで

19%

18%

500,001 以上

24%

24%

※1 SME とは、自社の払込資本金が250万RM 以下であるだけでなく、関連会社及びグループ間での会社においても払込資本金250万RM 以下であることが必要である。

 

<施行年度>

賦課年度2017年より施行

 

② 課税年度2017年及び2018年に対する法人税引き下げ

課税年度2017年及び2018年については、前年度と比較し、前年度より増加した部分に対して、法人税を部分的に引き下げる制度を設けます。これにより、実効税率が若干引き下がることとなります。

 

<改正案>

課税所得増加割合(対前年比)

減額控除割合

軽減税率

5%未満

なし

24%

5%〜10%未満

1%

23%

10%〜15%未満

2%

22%

15%〜20%未満

3%

21%

20%以上

4%

20%

 

例)賦課年度2016年の課税所得が、100万RM 及び賦課年度2017年の課税所得を120万RM とします。

 

 

<課税年度2016年>

 

課税所得 100万RM

法人税率 24%

--------------------------------

法人税 24万RM

 

総額法人税額 24万RM

実効税率 24%

 

<課税年度2017年>

 

前年度課税所得 100万RM

法人税率 24%

--------------------------------

法人税 24万RM ①

 

(対前年度超過分)

 

課税所得 120万RM

前年度課税所得 100万RM

--------------------------------

対前年度超過額 20万RM(増加率:20%(20万RM ÷ 100万RM))

軽減税率 20%

法人税額 4万RM ②

 

総額法人税額 28万RM(①+②)

実効税率 23.3%

 

<施行年度>

賦課年度2017年と2018年のみ適用


 

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マレーシア税制改正①

2017-03-20 16:38:50 | マレーシア税務

マレーシアの2017年度予算案の中で税制改正部分について、6回に分けてピックアップし、本ブログにて配信させて頂きたいと思います。

 

以下のスケジュールにて配信させて頂きますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

マレーシア税制改正①

1.予算案要旨

2.情報管理システム( C I A )の設置

 

マレーシア税制改正②

3.税制改革

3-1.法人所得税

 

マレーシア税制改正③

3-2.源泉税

 

マレーシア税制改正④

3-3.G S T

 

マレーシア税制改正⑤

3-4.個人所得税

 

マレーシア税制改正⑥

3-5.不動産に関わる印紙税

3-6.優遇税制

 

 

1. 予算案要旨

原油販売による歳入が年々減少する中、マレーシア政府は何とかして税収を増やそうと躍起になっています。今回においては、情報管理システムを設置することで、課税強化に乗り出す姿勢を見せ始めていること、法人税でいえば、源泉税の対象範囲拡大やロイヤルティの定義を再定義し直すなどといったことが主な改革のポイントかと思います。また、個人所得税に関しては、配偶者控除の要件を厳密化するなどといったことが大きな注目点かと思います。

 

2. 情報管理システム(CIA)の設置

マレーシア政府によって、財務省直下による、情報管理システム(英名: Collection IntelligenceArrangement, CIA)を設置することが決定しました。このシステムは、マレーシア税務局(IRB)、関税局(RMCD)及び会社登記局(SSM)それぞれが、情報をシェアし、税申告を行っていない会社や適切な税申告を行っているのかどうかを効率的にチェックする情報管理システムとなります。これにより、マレーシア政府がさらなる徴税強化への姿勢を示していると伺えます。

 


 

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~有給休暇に関する判例~

2017-03-13 16:32:49 | マレーシア投資環境・経済

判例 CASE NO: 22(14)/4-449/12

 

<概要>

 Z氏は2008年2月25日から2010年3月23日までI社でBusiness Managerとして勤務していた。

 2010年3月11日、Z氏は3月15日から同年3月19日までの間、有給休暇を取得するためにI社のE-Leaveシステムを通して有給申請を行った。しかし、確認をしたところZ氏の有給申請が未決定のままになっていたことから、Z氏はI社にこのことを報告したところ同年3月12日以後、正常に使用できるようになるとの報告を受けた。そのため、Z氏は同年3月11日にメールにて有給申請を行った。

 Z氏は2010年3月15日から同年3月19日までの有給休暇を取得し、同年3月22日に仕事に戻りました。同日、Z氏の父がI社から解雇通知を受取っており、同年3月23日、I社はZ氏に対して辞職するように勧告した。

 Z氏は本件に対し、解雇の本当の理由は解雇通知が出るまでの4か月間、会社と当人の関係性が良好ではなかったことが原因であり、申請が受理されていないのにも関わらず休暇を取ったということを利用して解雇に追い込んだとして、I社によって不当に罰せられたとし、I社を訴えた。

 I社はZ氏の解雇に対して、会社の方針として有給休暇の申請はE-Leaveを介してのみ認められるものであり、この旨の通知はZ氏も知っていること、またZ氏が有給申請は受理されていないのにも関わらず休暇を取ったことは会社の利益を侵害するものであり、会社への背任行為であることから解雇は正当なものであると主張している。

 

<従業員の主張>

 Z氏は2010年3月11日にE-Leaveを通じて同年3月15日から3月19日までの間で有給休暇を取る旨を申請した。有給休暇を申請した理由は同期間に、日本へ旅行に行くこととなっており、すでに航空券も購入していたのである。そして、Z氏がE-Leaveへの申請状況を確認したところ「未決定」となったままであったことから、同日中に上司にメールにて「E-Leaveに申請したがアップデートされておらず、同年3月15日から19日までの間、有給を取得する」との内容を報告した。しかし、メールでの報告のみで、直接上司に報告したわけではなかった。休暇に出ている5日間、常に連絡を取れる状態ではあったが、I社は一切連絡をすることはなかった。また、申請状況が「未決定」であったことに対して、Z氏は「未決定」の意味は「認可された」もしくは「拒否された」状態を表すものであり、完全に拒否されたものではないと主張した。

 Z氏はI社が申請を承認していないのにも関わらず休暇を取得したということを理由に解雇したことに対し、このことはあくまで既成事実に過ぎず、本当の真意は両者の関係性が解雇通知が出される2010年3月22日までの間、良好ではなかったことが理由であると考え、I社による解雇は不当なものであると主張した。

 

<会社側の主張>

 休暇申請を認めるか否かの決定権は従業員ではなく会社側にあり、会社からの承認を待たずに休暇を取得したZ氏の行為は会社の利益を侵害することに繋がり、背任行為であると主張し、Z氏の解雇は正当な行為であり認められるべきだとし、I社は本件に対し、3人の証人を立てた(COW1、COW2、COW3)。

COW1の証言によると、I社は休暇の申請に対し厳格な手続きを示しており、休暇を申請する者は5日前までに申請をすることが求められており、このことは2009年11月25日に全社員に対しメールで知らされており、Z氏はこのメールを受け取っている。

Z氏は2010年3月11日に休暇申請を行っているが、この申請は期日である5日前を過ぎているため、Z氏の申請は受理されないと証言した。そして、COW1はZ氏に対して申請期日が過ぎていることも伝えている。

また、Z氏は会社との関係性が良好ではなかったと主張しているがCOW1はこのことに関して一切認識しておらず、Z氏自身も関係性が良好ではないことを報告したことはないと証言している。

 COW2は、Z氏の解雇理由について上司からの事前承認もなしに休暇を取ったことが原因であると証言した。COW2はZ氏に申請が受理されなかった理由を説明し、休暇を取るべきではないことも直接伝えていると証言している。

 COW3はCOW2同様にZ氏が解雇されたのは事前承認をされていないのにも関わらず休暇を取得したことが解雇への原因と証言し、COW2が直接Z氏に対し、休暇を取得できない理由及び休暇を取るべきではない旨を伝えていることを知っていると証言している。

 以上のことから、I社はZ氏が休暇を取得するべきではないということを知らされながらも休暇を取得したことに対し、会社の利益を侵害する背任行為に当たることから解雇したことは不当ではないと主張している。

 

<判決>

  休暇を取ることに関し、Z氏が上司に直接報告することなく休暇を取得したことは紛れもない事実であり、この休暇によって会社の利益が侵害されたのもまた事実である。よって、本件に対するI社の行為は正当な解雇であり、Z氏の請求を棄却する。

 

<裁判所の見解>

 従業員は休暇を取得する権利を有するが、雇用主の事前の承認なしで取得することに関しては抑制されるべきであるとした。また、合理的な理由によって事前に休暇を申請できなかった場合は、休暇期間中のできるだけ早い期間に雇用主にその旨を知らせるべきである。従業員の義務として、与えられた職務を雇用主によって組まれたスケジュール通りに遂行することであり、未承認の休暇を取ることによって他の従業員が当人の業務を補わなければならない状況となった場合は、会社の業務を軽視したと同義であり、これは会社への背任行為に該当する。

本件の場合、Z氏の未承認での休暇は初の行為であるが、事前に承認されていないことを告げられていたのにも関わらず休暇を取得したこと、また合理的な理由でもないことからZ氏の行為は無断欠勤であり、Z氏の行為が会社の利益に損害を与えたのは明確であった。この行動に対するI社の解雇という判断は、適当な判断とされる。

 

<判決のポイント>

 本件は承認を得なかった有給休暇の取得という行為が解雇に該当するのかが争われたケースとなりました。本件にあたっては、Z氏の取得した休暇が合理的な理由によって取得された休暇ではないこと、またZ氏が有給申請は5日前までに申請しなければならないことを知っているにもかかわらず、有給休暇を取得したことから無断欠勤だと判断されました。

 裁判所の見解であった通り、従業員には休暇を取得する権利があるため、本件のようなトラブルを避けるためにも、どのような条件を持って休暇を承認するかあらかじめ雇用契約書や就業規則に記載しておくことが重要となってきます。


 

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解雇処分における判例~労使関係法第20条1A項~

2017-03-06 16:29:33 | マレーシア投資環境・経済

<概要>

 L氏はS社で勤務し、S社が雇用契約上において重大な違反を犯したことから、2014年12月15日に辞表を提出し2か月の勤務後、2015年2月14日に退職した。その後、同年2月17日、産業省長官に2月14日をもって退職した旨を報告し、退職の強要として裁判所に申し立てを行います。

 このことに対してS社はL氏の退職日は、2015年2月17日ではなく辞表提出日の2014年12月15日であるとし、2015年2月17日に行った申し立ては労使関係法第20条1A項中の「退職強要の申告は60日以内に行わなければならない」という規定にそぐわないため、裁判所に本件に関する管轄権はないと主張しています。

 

<従業員側の主張>

 L氏は2014年12月15日以前、会社が行ったリストラをきっかけとして、雇用契約を履行し続けることが困難になったことから強制的な辞任に追い込まれ、2014年12月15日に辞表を提出した。会社への辞表は、辞任日の2か月前までに提出する必要があるため、L氏は2か月間勤務したのち、2015年2月14日に退職し、同年2月17日に退職を強要されたとの旨を産業省に報告した。

労使関係法第20条1A項によると、退職を強要された申告は退職した日を起点とし60日以内に行うべきであるとしており、L氏の退職日は2015年2月14日であるため、同年2月17日に行った申告は有効であると主張した。退職日を2015年2月14日とした理由は、2014年12月15日に辞表を提出した後も2か月間勤務していること、また会社との契約は2014年12月19日をもって雇用関係は解消されていたが、契約条項では2015年2月14日まで継続しているということから2015年2月14日が退職日であるとした。

 

<会社側の主張>

 S社は本件に関してL氏が60日以内に申し立てを行わなければならないのにもかかわらず、60日を超えてから申し立てを行ったとして、裁判所には裁判を行う権利がないと主張した。S社はL氏の解雇日は同氏が辞表を提出した2014年12月15日であると主張した。その理由としては労使関係法には会社が重大な違反を犯した場合、従業員はすぐに辞職するか、できるだけ早く辞職しなければならないと規定で定められている。また、退職強要の申告は退職を強要されたことにより退職を申し出た日を起点として60日以内に行うものと主張し、2014年12月15日が退職日であるとした。また、S社はL氏に解雇通知書を出しておらず、L氏が自ら2か月後の退職を申し出たとして本件は退職の強要には当たらないとも主張した。

 

<判決>

 本件は退職日がいつであるのかが中心に争われました。判決としては、本件に関しては産業裁判所には管轄権がなく、L氏の請求は却下されました。

 

<裁判所の見解>

 本件が退職の強要にあたるかどうかはまず、労使関係法第20条1Aで定める「60日の期間」の起点となる退職日を決定する必要がある。退職日についてL氏は2015年2月17日、S社は2014年12月15日とそれぞれしているが、同法においては、会社が重大な違反を犯した場合、従業員はすぐに辞職するか、できるだけ早く辞職しなければならないということが退職の条件として置かれている。L氏はS社が重大な違反を犯したことから2014年12月15日に辞表を提出した。もしも、この重大な違反が退職の原因であるとすれば、退職の強要の申告をすることのできる60日間の期間の起点は2014年12月15日かそれ以前ということになり、L氏が辞表提出後に勤務していてもその期間分、申請期日が延長するというわけではない。起点が2014年12月15日であった場合、L氏が申告した2015年2月17日は労使関係法第20条のいう60日間の期間には含まれていないため、そもそも申し立て自体が無効となっている。

 

<判決のポイント>

 本件は退職日の決定について争われたケースとなっています。通常であれば従業員自らの意思で退職願を提出するため、退職願を提出することが退職の強要に該当することは少ないのですが、会社が重大な違反を犯した場合に、その出来事が結果として従業員を精神的に追い詰め、辞職に導いてしまった場合は退職の強要にあたる恐れがあります。

 退職の強要に該当した場合、本件のように「いつが退職日の起点となるのか」ということを明らかにする必要があります。本件の労使関係法第20条1A項においては「60日の期間」というものが、従業員が退職の強要の申告を行うことのできる期間となっています。


 

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書面外の雇用契約解除に関する判例

2017-02-27 10:35:42 | マレーシア労務

<概要>

 T氏は、2000年から2015年までY社に勤めており、最終役職は管理職(Supervisor)であり、月給2,700RMをY社から受け取っていた。しかし、T氏とY社の間では、正式な労働契約書は締結していなかった。その理由は、T氏の姉は、Y社の取締役であるK氏の妻であり、T氏の労働契約は取締役であるK氏により承認されたものであったからである。

 2015年3月7日、T氏の姉が亡くなり、同年7月15日にT氏はY社より以下の内容が記載されている解雇通知書を受け取った。

(1)2015年7月31日をもって労働契約を解除する

(2)契約解除の手はずとして、2か月分の給料(RM5,400)を支給する

 ※ただし、有給外での欠勤分である14日間分は、上記の金額から控除する

上記の解雇通知書には、署名欄にサインの記載はなく、ただ「取締役の名前」しか記載されていなかった。T氏は、解雇通知書に記載されている解雇理由に関して、具体的な言及がされていないとしてY社の行為は不当解雇に該当すると主張し、Y社を提訴した。

 一方でY社側は、T氏は姉の死後、業務の質の低下がみられたこと、また2か月分の給料を受け取る代わりに辞職することを了承しているという2点から本件については不当解雇ではないと主張している。

 

<従業員側の主張>

 2000年に締結された労働契約書は公的書面によって承認されたものではないが、T氏の姉婿であるY社の取締役K氏が、T氏がY社で働くことについて承認している。

2015年7月15日、T氏はY社より解雇通知書を受け取った。解雇通知書の内容には契約解除日および解除の手はずとしての2か月分給料の支給についての記載のみがされており、具体的な契約解除の理由については触れられていなかった。

T氏はこのことに対し、具体的な契約解除の理由が記載されていない解雇通知書は、不当なものであると主張している。

 

<会社側の主張>

 解雇通知書において記載されている通り、契約解除の手はずとしてT氏には2か月分の給料を支払っている。Y社の元弁護士による陳述答弁書によれば、T氏は無断欠勤を行っており、T氏の姉の死後においては、特に業務の質の低下が顕著であった。

 またY社はT氏が2か月分の給料であるRM5,400を受け取る代わりに辞めることを自発的に了承していたと証言した。しかしながら、T氏は14日間の欠勤があるため、その合計値であるRM1,453.85は控除することにしている。

 Y社はT氏の業務に対する質の低下がみられたこと、また2ヶ月分の給料を受け取る代わりに、すぐに辞めることを了承したという2点から本件は不当解雇には該当しないと主張している。

 

<判決>

 解雇後、T氏は販売促進員としてのパートを行っていたが定期的な収入をもたらすような仕事ではなかった。T氏が解雇前と同様の役職で復職できるかどうかについて裁判所はY社とT氏が良好な関係を維持できるか、またこのことを保証できたとしてT氏を復職させるべきかどうかということに重きを置いた。解雇による両者の関係が良好でないと判断し、またY社の出廷拒否という一連の成り行きを考慮したうえで、復職による和解は成り立たないと判断し、T氏を復職させるべきではないとする。それは、下記の判決を参照している。

 

Koperasi Serbaguna Sanya Bhd. (Sabah) v. Dr. James Alfred and Anor [2000] より

             

労働法において、不当解雇における通常の救済措置は復職の要求である。復職が拒否される場合はごく稀であり、例えば、本件のように、両者の関係性が極めて不良である場合に、復職させることが両者の調和に貢献するとは考えられないときがこれにあたる。そのような場合、産業裁判所は損害賠償を認めることができる。このような場合、措置としては、(1)延滞金、もしくは未払賃金と呼ばれるもので、雇用者が不法行為によって解雇された期間に対する賠償、(2)復職の代わりに払われる賠償の2つが挙げられる。

 

上記の判例を踏まえ、裁判所は解雇された当初から今日までにおける、支払済の2か月分の給料を控除した未払賃金の補償金支払いを命じ、それに加え、復職の代わりに支払う補償金の支払いを命ずる。T氏に対する補償金の計算方法は以下の通りである。

 

未払賃金:RM 2,700.00 × 16か月

               (2015年7月31日~2016年11月30日)    =RM 43,200.00

              差し引き(支払い済み2か月分)                       =RM 5,400.00

                                                                             =RM 37,800.00

 

復職に代わる賠償金は1年を1か月の月収として換算する:

RM 2,700.00 × 15年分

(2000~2015年)                   =RM 40,500.00

                                                      合計=RM 78,300.00

 

 この合計額から必要であれば社会保険料や所得税などの法定控除を差し引き、その残額をY社はT氏の弁護士であるMessrs Arun Kumar&Associatesを通じて本日より、30日以内に支払うように命じた。

 

<裁判所の見解>

 「Y社はT氏への解雇通知書に2か月分の給料を支払うということ以外は明記していないということ」、「T氏に対する解雇が正当な理由によるものかどうかの証明責任はY社にあり、Y社が出廷しなかったこと」の二点を重んじ、Y社がT氏の証拠に反駁しないという意思決定をしたと判断いたしました。また、Y社はさらにT氏の勤怠の質が低下したということを証明することができていないという点も考慮し、裁判所はT氏が解雇されるきっかけとなった解雇通知書およびT氏の自発的な退職申し出に正当性が認められないとし、T氏の解雇は不当解雇によるものと判断いたしました。

 

<判決のポイント>

 解雇が不当なものであるかどうかを判断する場合、下記の3点が中心に裁判所は判断いたします。

1.労働者に重大な規律違反があったか(懲戒解雇)

2.労働者の能力に著しく問題があるか(能力不足を理由にした解雇)

3.会社の経営状態が著しく悪い(整理解雇)

 

 本件においては(1)T氏が出廷しているのにもかかわらず、Y社が一度も出廷をしなかったという判決までの一連の流れがT氏とY社の公平性を保つものかどうか、(2)解雇通知書による解雇が正当なものに該当するかどうかということが争点となりました。Y社が裁判所に出廷しなかったこと、また解雇通知書に解雇理由の具体的な記述がなされておらず、勤怠の質が低下したという証明も行うことができなかったことから不当解雇とみなされました。

 書面で解雇を通達する際は解雇する理由を明記し、それを従業員にしっかり説明することで、不当解雇のリスクを減らすことができます。また、解雇後のカウンセリングを行っている会社などを使い、解雇後に訴えを起こそうとする従業員の潜在リスクを下げることもまた重要なことだと思います。


 

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