流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

ターボファンエンジンのガス発生器の2段目遠心コンプレッサーの設計を考察する

2017年09月18日 | 宇宙航空産業機械

前回の設計考察にて1段目遠心コンプレッサーの出口は、空気状態が全圧Pc1o、全温Tc1o、エンタルピーhc1o と求められていて、これが2段目遠心コンプレッサー入口に流入する。

2段目遠心コンプレッサーの圧力比Rc2は3.0と仮定しており、よって出口圧力Pc2o=Pc1o*Rc2(3.0) で求められる。

2段目遠心コンプレッサーの入口出口の間で等エントロピー変化をするつまり2段目遠心コンプレッサーの効率が100%と仮定した場合は、定圧比熱Cpc=1.004、比熱比k=1.4程度として、2段目出口全温Tc2o=Tc1o*(Pc2o/Pc1o)^((k-1)/k)と計算出来る。

よって等エントロピー変化と仮定した場合での2段目遠心コンプレッサー出口のエンタルピーhc2o=Cp*Tc2oとなり、等エントロピー変化での入口出口エンタルピー差Δhc2=hc2o - hc1o となる。

実際の2段目遠心コンプレッサーの効率をηc2=0.8程度とすると圧縮に必要なエンタルピー差Δhc2r=Δhc2/ηc2となり、等エントロピー変化よりも(1/0.8)=1.25倍のエンタルピー差が必要である。

実際のエンタルピー差Δhc2rより、初段遠心コンプレッサーの出口エンタルピーhc2or=hc1o+Δhc2となる。

よって2段目遠心コンプレッサーの出口全温Tc2o=hc2or/Cpと計算出来る。

さらに流れる空気の質量はWgなので、この2段目遠心コンプレッサーに必要な動力Lc2=Δhc2r*Wgと計算出来る。

次にエンタルピー差Δhc2rを得ることの出来る遠心コンプレッサーの羽根出口周速度Uc2tはどのくらいになるか分かれば羽根回転数Nc2=Nc1を仮定することで羽根外径Dc2tが計算できる。

遠心コンプレッサーは羽根での圧力上昇とディフューザーでの圧力上昇が同じ程度になり、全体の圧力上昇は入口空気全温についての羽根外径での周速のマッハ数の2乗と関係している。

2段目遠心コンプレッサーの羽根外径での周速Uc2tでのマッハ数Mc2t=Uc2t/√(k*R空気ガス定数*Tc1o)となり、入口出口全温比(Tc2o/Tc1o)=1+(k-1)*Mc2t^2の関係からMc2t=(((Tc2o/Tc10)-1)/(k-1))^0.5と計算出来て、Uc2tが求まる。

羽根回転数がNc2, 外周での周速がUc2t より、2段目遠心羽根外径Dc2t=60*Uc2t/(Π*Nc2)で求まる。

以上までで、遠心2段コンプレッサーの1段目と2段目の羽根部入口出口条件と羽根の外径が求まった。

これら条件から具体的なインペラ形状とディフューザー形状を決めていく過程は今回省略します。

<今日の流れ>

会社作業用ノートPC(17インチモバイルワークステーションですが)を自宅に持って帰っていたので、今日は会社に出らずに自宅で設計計算作業をしていました。

とにかく自分はかなりの出不精です。

分かっていても必要性が無いとなかなか外に出ませんが、外の天気が良いと夕方には少々後悔します。