大槻雅章税理士事務所

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№83 国際課税:外国子会社配当益金不算入制度の見直し

2015-12-19 | ブログ
2015.10.30 国際課税:外国子会社配当益金不算入制度の見直し

1.改正の概要

内国法人である親会社が外国に子会社を設立し、その外国子会社(注)が現地で得た所得を配当等として日本の親会社に送金した場合、日本の法人税法は、親会社が受ける配当等の95%を益金不算入(つまり非課税)としています。

この制度は国際二重課税を調整する方法として、平成21年4月1日以後に開始する事業年度から新設された制度です(NO25.外国子会社配当益金不算入制度を参照)。

(注)益金不算入とされる外国子会社とは、内国法人が配当等の支払義務確定日以前6月前から発行済株式数の25%以上の株式を保有している外国子会社をいいます。

今回、平成27年度改正で、内国法人が外国子会社から受ける配当等の額で、その配当等の額の全部又は一部が当該外国子会社の本店所在地国の法令において当該外国子会社の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている場合には、その受ける配当等の額は、本制度の適用対象から除外されることになりました。

ただし、本制度の適用対象から除外される配当等の額に対して課される外国源泉税等の額は、外国税額控除の対象とされます。


2.改正の目的

外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度が導入される前は、親会社が外国子会社から受ける配当等には日本の高い税率で法人税が課税されていました。

このため、親会社は外国子会社が稼いだ利益を現地での設備投資等に充てることになり、日本国内において産業の空洞化が進む原因となっていました。

平成21年4月1日以降に益金不算入制度が導入されたことにより、外国子会社が稼いだ利益を配当として日本国内に還流させることを促し、日本国内の投資や雇用を拡大させ、さらに国内株主への配当財源にも充てることが可能となりました。

ところが、支払側である外国子会社において損金に算入されている配当等について受取側である内国法人においても95%が非課税になると、国際的二重非課税という問題も発生します。
今回の改正は、この国際的二重非課税の解消を目的としたものです。

具体的にはオーストラリア子会社からの優先株式の配当やブラジル子会社からの利子配当等が該当します。


3.適用時期

内国法人の平成28年4月1日以後に開始する事業年度において受ける配当等の額について適用されます。

但し、平成28年4月1日において有する外国子会社の株式等にかかる配当等については、平成30年4月1日以後に開始する事業年度において受ける配当等の額について適用されます。

(完)

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