Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

愚行録(ネタバレ注意)

2017-03-21 10:55:40 | 映画
今回は映画「愚行録」について。





予告編を観たときに、「これ観たい」って思った作品です。というのも、キャストに満島ひかりと妻夫木聡の「悪人」コンビが入っていたこと、そして、監督がポーランド国立ウッチ映画大学出身の石川慶監督。興味がすごくわきました。


ここで内容を・・・




エリート会社員の夫・田向浩樹(小出恵介)、美しい妻・夏原友季恵(松本若菜)と娘の一家が、何者かに惨殺された。事件発生から1年、その真相を追う週刊誌記者の田中武志(妻夫木聡)は、一家の関係者を取材。浩樹の同僚・渡辺正人(眞島秀和)、友季恵の大学時代の同期・宮村淳子(臼田あさ美)、浩樹の大学時代の恋人・稲村恵美(市川由衣)らから語られる、一家の意外な素顔に驚く田中。そして、自身も妹の光子(満島ひかり)が育児放棄の容疑で逮捕されるという問題を抱えていた。




と書いてあります。


観終って、「うわぁ~」ってなりました。日本映画、こういう絵を撮る人が出てきたんだって思いましたね。全体的にヨーロッパ映画の雰囲気があって、内容は暗いけど、しっかりストーリーから目を離させないという演出。

特に冒頭の田中のシーンから、もう、持っていかれました。田中にバスの中で老人に席を譲らせようと正義をふりかざすサラリーマンに対して、席を譲るときに転び、脚が悪い様子をみせながらバスを降ります。それを見たサラリーマンは居心地の悪さを感じ、眼をそらします。そして、しばらく足を引きづりますが、バスが通り過ぎると普通に歩きだすのです。この感じ、すごく好きですねぇ。これから始まる物語に何かを感じさせる演出だと思いました。

僕は映画を観てから原作を読みました。個人的には映画を先に観て良かったと感じています。原作には田中自身は登場せず、証言者のインタビュー形式をとって、語っていく形です。田中がどんな思いでその話を聞いていたのかは、まったく自分で想像するしかなく、それが面白いのですが、映画ではしっかり登場してくるので、細かなセリフやしぐさを観て感じていく部分があり、それも面白さだと思います。

あと、途中で妹の体を無数の男の手が這うちょっと幻想的なシーンが何回か挟まれます。これも、あとで理由がわかるととても、おもしろい演出だと感じました。

僕は日本映画を劇場で観ることはあまりありません。ですが、悪人や怒りなどおもしろい作品も出てきていて、最近気になっています。


ぜひ、機会があったらご覧になって観てください。映画好きであれば、気に入ると思います。そして、普段は日本映画をあまりご覧にならない方にもおすすめします。




ここからはネタバレです。絶対にご覧になってない方は読まないでくださいね。



























この田向夫婦の愚行が証言としてでてきます。

夫が学生の時に自分の就職のために女性と付き合い利用していた話、合コンで知り合った女と深くつきあうつもりが無いから、同僚の友人と二人で、その女を悪者にしたて別れさせたり。こういうところから殺されても理由があると思わせていきます。

一方、妻の方は学生時代に、自分を悪くみせず、相手に気をつかっているようにみせながら、結果その相手のことを貶め、自分が上位にいることを知らせるような女だとわかっていきます。こう書くとすごく悪い女のようですが、彼女をめぐる発言には「みんなの憧れ」だったという言葉が出てきます。この妻のことを語った同じ大学の女性宮村が「そういえば彼女にもっとも傷つけられた女性がいた」と語ります。後でわかるのですが、この女性こそ田中の妹、光子だったのです。


光子は小さい時から、自分の父親に性的虐待をうけていていつも兄が助けていたという過去をもちます。そして、両親が離婚後は母方の祖父母に育てられ、自分が生きていくには、もっと上にあがる必要があると感じ、田向の妻と同じ大学に進むのです。そこで将来の夫になるお金持ちで頭が良い男を見つけようとするのですが、田向の妻が光子をに様々な男を紹介し(これも光子にとってはとてもありがかたかったのですが、田向の妻は自分よりもかわいい光子をそのまま友人としてつきあうことができなかったのです)、そのたびに体の関係を結ばせ、結果「軽い女」と見なされるようになり、誰からも相手にされなくなっていくのです。

そう、惨殺事件の犯人は光子だったのです。


では、なぜ田中は事件を追っていたのか。それは光子が犯人だと世間に思わせないために、光子につながるような証言者を探し、殺すことに目的があったからなのです。だから、宮原は殺されてしまいます。その現場にわざと過去に付き合っていた男性(この男性にも田中はインタビューしています)の煙草の吸殻を落としていくのです。冒頭のシーンがつながる瞬間です。

そして、さらなる衝撃がわかります。この光子の子供は誰の子なのかということ。僕は、映画を観ていて「父親の子供なのか」と思ったのですが、年齢がどうも合わないと感じていました。

この子供、光子と田中の子供だったのです。


殺人の様子を一人で語る光子のシーン、満島ひかりの演技がすごくうまいんですよね。


日本映画ってどうも役者の演技がうまくないことが多いと思っていましたが、うまい人たちがたくさん出てきていることを最近感じるようになりました。






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