Unseasonable Shore

映画の感想を中心に、普通の生活をおくる30代ゲイの日々感じるできごと。

ローサは密告された

2017-09-26 13:03:26 | 映画
今回は映画「ローサは密告された」について



これ、予告編を観たときから、観たいと思いました。フィリピンの本当の姿がわかりそうな気がしたので。最近、自分が映画に求めるものが変わったなぁと感じます。映画を通して、自分が知らないことを知りたいと思うようになって、その気持ちをすごく刺激する内容だったので、早速観に行きました。当然、公開期間も短いし、回数も少ないので。


ここで内容を・・・


マニラのスラム街で、小さなコンビニエンスストアを夫婦で営みながら、4人の子供を育てるローサ(ジャクリン・ホセ)。ローサは地元の人気者だったが、家計のために少量の麻薬を扱っていたことが原因で、夫と共に逮捕されてしまう。子供たちは、腐敗した警察から両親を取り戻そうと力を尽くすが……。



と書いてあります。


麻薬中毒が多いことは知っているつもりだったのですが、こんなにひどのかと思うのと、それだから、普通の人が簡単に売り買いして儲けることもできてしまうということの驚きがありました。

それと、警察の腐敗がものすごい。


そもそも、このローサを逮捕(というか正式には逮捕じゃないのですが)した警察は、本来の警察署に連行するわけではないのです。その隣の建物で、しかも以前は何かのテナントみたいなところに。当然、保釈されるためにはお金を払わなければならず、麻薬を押収し、金をとり、さらに他の麻薬の売人を密告させる。これが回ることで、この警察官と刑事たちはどんどん私腹を肥やすことになる。そのお金の一部は警察の上司にもわたるから、不正がばれない。

あきれました。

ローサの子供たちが警察にくると、連行されているはずの両親がいません。そこへ、事情を知っている警察官が入り、あの場所へと連れていくのです。そこで、両親を保釈するためのお金を子供たち3人で集めることになります。

長女は親戚に頭をさげ、長男は家電を売り、二男はゲイで以前からつきあっていて体の関係のある中年男性から関係後にお金をもらいます。

それでもあと少し足りず、ローサだけ保釈されます。そして、携帯電話を売りに行きなんとかお金を工面して、警察にもどる途中、屋台で売られている串にさした食べ物をを夢中でほおばるローサ。そのカットで映画は終わります。


フィリピンの人たちの実際の生活を垣間見ることができる作品。

感じたのは、普通の人たちに対しての教育がしっかりなされていないことです。子供たちが警察に行っても両親がいないこと、保釈金を裁判なしで決められてしまうことなどに疑問を抱かないというところなのです。あと、麻薬に対しても教育も。

あと、貧困。

貧困があるからこそ、現実逃避の意味から麻薬に手を染める人がたくさんでてしまう。そして、麻薬におぼれて働かず、働いても、お金は麻薬に流れる。

ドゥテルテ大統領が麻薬を撲滅しようとしているのはわかりますが、売人を殺すことも大事かもしれないけど、教育と貧困をなんとかしないと、警察の権力が大きくなって、ますます腐敗した警察になるのでは、心配しました。

カンヌ映画祭で主演女優賞をとっていることをあとで知りました。本当にそういう人に見えますもん。あと、子供たち、麻薬中毒の旦那、えらそうな警察官、全てがリアルです。

いろいろと考えさせられる映画でした。

興味がある方のみご覧ください。

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