達哉んの徒然書斎

日常の中で感じたことから自分なりの意見まで、あちらこちらと書いております。

インクフローに関する指標数値の導入について その1(インクフローの定義)

2010年04月29日 | 文房具
万年筆は趣味ですが、趣味にも色々な側面がありまして、万年筆学に関する話は時として科学的側面をもつものです。私自身は理系人間なので、数値があったほうが便利であるという観念があり、どうしても何がしかの数値を欲しくなってしまいます。

インクフローに関する指標数値の導入についての理論をちょっと練ってみようかと思います。これは物理化学や流体力学の知識が必要故、自分の修めるべき学問の学習にも効果があるものと思います(その水準云々は別として)。

なお、ここからの内容はきちんと理論ができたら論文化して、fuenteあるいはWAGNERなどで公開しようかと考えています。それゆえ、見られている方で、何かご意見、あるいはご指南いただける場合はコメントいただければ幸いです。

ひとまず、インクフローに関する指標数値としては3つの数値が考えられます。
1つはペン自体の固有値。そのペンによるインクフローの良さです。
2つめはインク自体の固有値。インクの粘性などによって決まる値です。
3つめは筆記対象の固有値。筆記する紙によってインクフローが違うのはティッシュと段ボールを考えれば一目瞭然です。
これらを3つに分けている点については後日書くとして、問題はここで使われている「インクフロー」という言葉です。これを明確に定義してやる必要があります。

書き味はあくまで味であるから指標化は難しいのですが、インクフローについてはその定義を明確にすればそれほど苦労しないはずです。
インクフローを次のように定義します。

インクフロー:単位距離の筆記に必要とされるインク量

もちろん、この定義では太字の方がインクフローがよく、細字の方がインクフローが悪いという結論に至ります。これは「細字でドバドバ」がありえないという結論が満足されていることを示しています。それゆえ、この点に関しては問題ないのですが、その代わりとして、インクフローを上記のように定義した場合はその筆記線幅も考慮にいれる必要が出てきます。ただ、そこを入れれば、ひとまずこの定義は納得できて、使用可能でしょう。

一方、棚釣りや息切れ、書きだし掠れがあった場合、当然ながらインクフローは「悪い」と感じられます。さて、どうしたものでしょうか。

棚釣り・息切れ・書き出し掠れ等については本来の万年筆筆記ではあり得ません。正確に言うならば、これらの現象は万年筆の異常現象であり、例外です。そこで、これらについての異常が起こっていないものについて考えます。
これらを例外扱いした場合の問題はインクフローが小さい場合の掠れです。そこで、これらを例外としたときの扱いを次のように定義します。

棚釣り:インクフローがタンク状態により急激に変化する例外現象
息切れ:インクフローが空気穴その他の状態により一時0になる現象
書き出し掠れ:書き始めたときのインクフローが0になる現象

上記の定義を行うことにより、インクフローの定義は正常筆記においてWell-definedと言えそうです。

インクフローの良い・悪いについての指標導入に当たってまずはインクフローそのものを定義していく必要があります。現段階では「インクフローに指標値を導入した際にそれが定数で与えられるか」については議論しないこととして、まずは上記の定義により、インクフローの概念を「導入」しようと思います。

次回以降(いつになるかわかりませんが)インクフローの「ペン固有値」「インク固有値」「筆記対象固有値」に関する議論を書いていきたいと思います。