ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

チャイナタウン

2011年09月14日 | なつかシネマ篇
モーレイ水道局長の愛人探しとその局長本人の殺害事件は一見密接な関係があるようで、実はまったく関係のない別々の事件であるため、見ている方は少々混乱するかもしれない。私立探偵ジェイク・ギデスを演じたジャック・ニコルソンや本物のモーレイ夫人を演じたフェイ・ダナウェイの存在感が際立っているため、米国版フィルム・ノワールの傑作と位置づけられてはいるが、(局長殺人事件とはほとんど関係のない)××××オヤジの○○捜索から生じた家庭内イザコザを非常にまわりくどく描いているにすぎない1本である。

本作のタイトルになっているチャイナタウンもラストにちょっぴりで出てくるだけで、主人公のジェイクがチャイナタウンでその昔どんな嫌な目にあったのかもはっきりと説明されてはいない。地元の水利権をにぎっているノア・クロスを映画監督のジョン・ヒューストンが怪演しているのだが、(はじめのうちは)尊大ではあるが手癖がとりたてて悪いようにも見えないのである。ポランスキー自身伏線のはり方がさほどうまい監督ではないのかもしれないが、ミステリーとして本作を見た場合、複雑なストーリーだての割には構成が甘いためオチ自体はかなり強引な印象を受けるだろう。(そんなに会わせたくなかったら何も近くに住んでいる必要ないのにね)

過去に犯した少女への淫行事件がまたもやむしかえされ、最近スイスで拘束されたロマン・ポランスキーが、ニコルソンの鼻を掻き切るちびっ子ギャング役でカメオ出演している。複雑な本作の結末を悲劇的にするかハッピーエンドにするかで、ポランスキーと脚本家ロバート・タウニーの間で製作当時相当な確執があったという。フィルム・ノワールの傑作と誉れ高き本作を個人的にそれほど買っていない私にさえ、ユダヤ系フランス人のポランスキーとアメリカ側製作陣のギクシャクぶりが映画の行間から伝わってくるほどだ。『戦場のピアニスト』のアカデミー授賞式で(保釈中逃亡した身の故)入国すら許可されなかったポランスキー、今回のスイスにおける身柄拘束もアメリカ側からの通報が遠因だったらしい。

映画は時に起用された俳優や監督自身の未来を暗示することがある。まさに年寄りの淫行がキーとなる本作が、この後ポランスキーがジャック・ニコルソン邸で犯したとされる事件を暗示していたわけではないと思うが、何か因縁めいたものを感じぜずにはいられない。もし仮に『ローズマリーの赤ちゃん』が愛妻シャロン・テートの陰惨な事件を予見し、本作『チャイナタウン』がポランスキー淫行事件を暗示していたとするならば、ブレア元英国首相をモデルにしたといわれる新作『ゴーストライター』は、ポランスキーの今後をどう占っているのだろうか。

チャイナタウン
監督 ロマン・ポランスキー(1974年)
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