ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ひみつの花園

2008年11月27日 | ネタバレなし批評篇
最新作『ハッピー・フライト』もなかなか好調なヤグっちゃんこと矢口史靖監督の長編第2作目は、西田尚美の初主演作品でもある。お金が大好きな鈴木咲子(西田)は銀行強盗事件の人質となってしまう。富士山の青木ヶ原樹海で現金5億円の入ったスーツケースと共に行方不明となった咲子は奇跡の生還を遂げるが、地質学研究→ロッククライミング→スキューバダイビング→スイミングと、池の底に眠る5億円奪取のためのスキルを身につけるべく猛然とわが道を突き進む。

普段は畳の上や公園でホケーッとしているローテンションガールが、目標が決まった途端に人間ばばれした集中力をみせる咲子の変わり様がなんともおかしい。お茶屋遊びをめぐってアベサダが堤真一と張り合うハイテンションコメディ『舞妓haaaan!!!』を彷彿とさせるストーリーだが、なにせ『ウォーターボーイズ』でブレイクする前の作品だけに超低予算で撮られている。咲子が樹海に流されるシーンなどに(こともあろうに)人形が使用されているのだが、そのなんちゃって感こそがこの作品いや矢口作品の魅力の一つになっている。『スイング・ガールズ』でもイノシシ襲来シーンをチープなストップモーションにして制作費を大いに削減したみせたヤグっちゃんは、限られた予算内でMAXのエンターテインメントを撮る技に長けた職人なのである。

しかし、こだわる所にはこだわるのがこの監督のもう一つの魅力。素人同然の女優にビッグバンドジャズの生演奏をさせたり、飛行機オタクも驚くような詳細なデータを得るために徹底取材を敢行するなど、リアリティの演出にもぬかりがない。本作品でも西田尚美に、ロッククライミングや競泳シーンを吹き替えなしで演じさせている。そんなディテールにもこだわっているこそ、チープななんちゃってシーンについ笑いがこみ上げてくるのだろう。5億円奪取の目標に至るまでの努力過程に生きがいを見出した咲子は、幼少期の矢口監督自身がモデルになっているという。

ひみつの花園
監督 矢口史靖(1997年)
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