ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いおやじの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

OH LUCY!

2017年09月23日 | ネタバレなし批評篇


数年前、桃井かおり主演で平柳監督が撮った短編を、役者陣を総取っ替えして長編に作り直した1本だという。

カンヌをはじめ各国の映画祭で高評価を得た作品らしいのだが、短編を編集し直して長編にするならまだしも、ほぼ同じ内容の映画を役者陣を取っ替えてまで長編で撮影し直すというのはあまり聞いたことがない。

女流監督による女性主人公の映画ということで、昨今のフェミニズムを無理やりにでも盛り上げようとするよからぬ動きに同調したわけでもなかろうが、平柳監督の中に本作に対する相当なこだわりがあったのかもしれない。

その昔、“アイ・ラヴ・ルーシー”というシチュエーションコメディがお茶の間を賑わしていた。愛すべきトラブルメーカー=ルーシーがとってもお茶目に見えた記憶があるのだが、平柳監督の狙いはむしろその逆で“リアル・ルーシー”を描くことにあったのではないか。

実姉に男を寝とられた過去を持つ節子(寺島しのぶ)が、姪のBF(ジョシュ・ハートネット)に迫るシーンなどは中年女の嫌らしさがにじみ出ており、当然勤務先の皆さんからも総スカン。英会話教室で知り合ったトム?とのハグに束の間の安らぎを得るものの、その時背後から…

何とも衝撃的な映画冒頭からして不穏な気配が立ち込めており、実姉と訪れたLAの空はいつもドンヨリと曇っている。今まで殻に閉じ込もっていた節子が、自分をさらけ出そうともがく度にドツボへとはまっていくのだ。女性ならではのシビアな目を持つ平柳監督は、この43歳独身OLにけっして希望の光を見せようとはしない。

OH LUCY!
監督 平柳敦子(2017年)
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