たたたた日記

趣味に生きたい。落語とジャズと街歩き。

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32回、132人、208席

2012年12月28日 | 落語会など
 休みを付けていて、昼は日比谷へ。やはりある団体の納会でお酒を少々。それから新橋のサウナで時間をつぶして酒をいったん抜いて、夜はまた別団体の忘年会。中華料理。目立たないように過ごす。1次会だけでエスケープ。昔は最後まで参加していたが、今はもう妻子持ちだから。

 今年聴いた落語会をまとめると、32回行った。約11日に1回行った計算となる。聴いた落語かを数え上げると、132人で、計208席聴いていることがわかった。

 ベストは、やはり喬太郎。数でも9席聴いているし、一番印象に残った高座としては8月29日に 田中泯と共演した「死神」(グリム童話「死神の名付け親」より)を挙げたい。

 以下、聴いた落語家ベスト10を。
 1位 柳家喬太郎 9席
 2位タイ 立川志の輔、春風亭一之輔 5席
 4位タイ 柳家さん喬、三遊亭小遊三、柳亭市馬、柳家三三、立川談幸 4席
 9位タイ 桃月庵白酒、立川生志、立川志らく、桂春蝶、立川談四楼、桂文治、三遊亭白鳥、柳家花緑 3席

 去年は志の輔ばっかりだったが、今年はまんべんない印象。来年はもっときちんと聴こう。

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「あ、こーーーーーーーっ、ろうしっ!」

2012年12月14日 | 落語会など
 朝早くから続けていた仕事も早々に切り上げ、有楽町・よみうりホールへ。年に1度の忠臣蔵特集落語会。去年も見たが、今年はさて、どうなる。

 <忠臣蔵でござる 2012>
 春風亭昇太 きら
 柳家喬太郎 極道のきら
 柳亭市馬 首提灯

間幕劇 吉良と大石 昇太・春風亭一之輔

 国本武春 ザ・忠臣蔵
 
 間幕「浪花節だぜは討ち入りは」

市馬 俵星玄蕃(歌)

 トップバッターの昇太は、吉良上野介の衣装(寝間着)で登場。ここからして普通の落語会では考えられない。めくりが「円生」で、出囃子も「正札付」という不思議な状態で、しかも「実にどうも・・・・」などと円生のマネめいたこともやったり。これはそこそこ落語の知識がないと、ついていけない会か? 

 赤穂浪士から逃げる際、落語家のフリをしようという強引な筋から、そのまま高座に上がって「つる」の改作「きら」を。なぜ吉良が吉良になったのかを、つるの形で。「きーーーーと逃げて、ぽいと止まった」って・・・。

 それを受けた二番手喬太郎、何と「極道のきら」という、「極道のつる」(という新作があるらしい)を、昇太の高座を受けてその場で改作したらしい。すごいな相変わらず。結果、昇太の高座が「フリ」と化してしまった。

 そして落語としてはトリの市馬は、首提灯。これがなぜ忠臣蔵に関係があるのかわからないが、さすがの古典落語。二本差しの武士に徒手空拳で刃向かう町人、首がはずれても生きている感じで、ぜひ、これからも生き続けていてほしい。

 幕間のコントでは、去年に引き続き春風亭一之輔が登場。去年は大石主税だったが、今年は父親の大石内蔵助になっていた。いまだ吉良役のままの昇太に「おい、弟子に結婚しますと報告されたらしいな。しかも前座の!」という衝撃発言。前座の弟子に結婚で先を越される師匠って・・・・。

 この日、一番忠臣蔵らしかったのは、もちろん武春。何度か見たことがある弾き語りの「ザ・忠臣蔵」。殿中・刃傷(ロック)~田村邸の別れ(バラード)から、吉良邸討ち入り(ファンク)まで。「あ、こーーーーーーーっ、ろうしっ!」という観客一体となった身ぶり付きかけ声が心地よい。普通、12月14日といったら浪曲師にとって一番大事な日だろうに、こういう前衛的な落語会に参加するというのは、よほど肝が据わっている。浪曲界の至宝となる日も近い。

 昇太・喬太郎による「浪花節だよ人生は」の替え歌で、「浪花節だよ討ち入りは」を聴く。この曲を聴いていた小学校の頃って、浪花節って何だろうという疑問もなく歌っていたが、浪曲のことなんだね。「飲めと言われて素直に飲んだ」「肩を抱かれてその気になった」「馬鹿な出会いが利口に化けて」「よせばいいのに一目ぼれ」。このフレーズがなぜ、浪曲なのだろう。

 そしてお待ちかね、市馬の「俵星玄蕃」。これを聴かないともう、年を越せない体になってしまっている自分が恐い。まあ、CD(iPodに入れた)も持っているからいいんだけどね。「さく、さく、さくさくさくさく、先生!おぉ~、そば屋か~!」のくだりは、心の中で一緒に歌っていた。

 そのまま後半は歌いながら昇太・喬太郎・一之輔も乱入したコントみたいになり、いつのまにか吉良の昇太が一升瓶を持って舞台で暴れていると思ったら・・・・、何と、吉良が川柳川柳にすり替わっていた!前からちょいちょい、昇太と喬太郎が「お前は川柳川柳か!」といったセリフを言っていたが、それもフリだったんだ!

 歌い終わると、杖をついた高田文夫御大が舞台に登場。11月23日の談志一門会に引き続き、よみうりホールに再び凱旋。「まだ死んでないの?」と川柳に言ったり、とかく言いたい放題。生死の境をくぐり抜けただけあって、何だかすごみのあるジョークだった。最後に三本締め。エンターテインメントとしての落語会としては、この会は今年1番だったかもしれない。また年末に今年見た落語会を振り返るとしよう。
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元日に死神、サワコの夜

2012年12月13日 | 落語会など
 落語研究会@赤坂BRITZ、なぜか柳家小三治一門会。もちろんTBSの主催だ。ここは普段、AKBあたりが総選挙をやるような場所だったような気がするが。

 柳亭こみち 鷺取り
 柳家三三  高砂や
 柳家小三治 死神

 仲入り

 柳家そのじ 三味線漫談?
 阿川佐和子・小三治、三三、三之助 対談

 一門会というには、総領弟子の〆治も、喜多八も、ほか色々も、いない。こみちに至っては孫弟子。これがテレビ局が主催する会ということなので、致し方ないのだろうが。二階席だったので、手すりがちょうど演者の顔にかかって非常に見にくかった。

 こみちは、古典落語を古典落語としてやる。女流では現在、最も手堅い噺家かもしれない。続いた一門のホープ・三三が「高砂や」で「京成線の高砂?」というくすぐりを出したあげく、「地方では全く通じない。赤坂でもギリギリ」と苦笑いしていた。相変わらずシュッとしている。

 小三治はいつもの黒紋付きで高座に上がる。寄席じゃなくて赤坂BRITZというのが、何だか違和感。フランク永井の「公園の手品師」をフルコーラス、低音の魅力っぽく歌ってから、やおら「死神」に入る。小三治の死神は、そこはかとなくユーモラスなキャラをしていて良いのだが、この落語会の模様は元日に放送されるという。お正月から死神って、すごいね。多分、何も考えてなくて、やりたかった噺だから、それ以上のことはないのだろう。今年1月の池袋二之席でも小三治は「死神」、やっていたから。

 仲入りを明けて、本日一番心に残ったのが、いつもは「太田その」、高座に上がる時は「柳家そのじ」の三味線漫談?のようなもの。小三治の出囃子「二上がりかっこう」を弾きながら、小三治が落語研究会で演じたことのある演目をどんどん歌い上げていく。アイウエオ順に74席。これはすごい。他では見られない、というか、落語ファン以外はどんな顔して見ていいか分からない、すごい芸だ。

 高座はやらなかった三之助、そして小三治、三三と、阿川佐和子の司会で座談会。阿川佐和子の「聞く力」は、おそらく知っているのに、さも知らないフリをして聞くというテクニックと見えた。それが全くわざとらしくもなく、てらいもないのが「人たらし」たる由縁だろうか。

 最後に小沢昭一の話題になり、小三治が「あの人は鼻濁音ができなかった」という不思議なスタンスから在りし日の先輩を偲んでいた。鼻濁音ができないと落語の江戸っ子のセリフ「何言ってやがんでぇ」の「やがんでぇ」がおかしく聞こえてしまうのだという。確かにそうか。

 外に出ると赤坂の夜は寒い寒い。業界の大先輩2人に会って、ごあいさつして、地下鉄で帰った。

 妻が娘を連れて実家へ3泊の予定で帰っており、家でひとりぼっち。週末まで。何だかワクワク。
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「テュラテュラの萬橘」では?

2012年11月28日 | 落語会など
 夜、冬が始まるような寒さが感じられる中、銀座方面からてくてく歩いて築地・ブディストホールへ。

 <第47回三遊亭きつつき勉強会>
 三遊亭好の助  代脈
 三遊亭きつつき 代書屋
 林家正蔵    七段目

 仲入り
 
 きつつき    井戸の茶碗

 間もなく「三遊亭萬橘」を襲名するきつつきの勉強会。アンケートに「ヘラヘラの万橘と呼ばれた先代、当代は○○の萬橘?」という設問があったので、ロシア民謡「1週間」になぞらえて、1週間休みなく働けるようにとの願いを込めて「テュラテュラの萬橘」と書いておいた。採用されないだろうけれども。

 開口一番の好の助は、どうやらボナ植木(ナポレオンズ)の息子のよう。間違ったらごめんなさい。代脈は何となく覇気がない。アウェー戦をもっとやった方がいいかもしれない。芸術協会の若手あたりと。

 きつつきは、風貌は若い頃の古舘伊知郎に似ている。代書屋も、上方落語のやり方で、パワフルな感じで展開。欲を言えば、ブスでデブ(多分)な女性客の描写が、何だか女性に全然見えなかった。この辺、たとえば森三中の大島美幸とか、渡辺直美あたりをイメージさせてくれる演技がほしい。ちなみにこれが柳原可奈子だと達者すぎるし、最近痩せてちょっとかわいくなってしまっている。

 ゲストの林家正蔵は、痩せた松村邦洋。歌舞伎界の批判めいたものをひとくさりしてから、七段目に。案外、こういう妄想・自演系の噺って、この人は面白いかもしれない。楽しめた。でも、よくこうした二つ目の会のゲスト出演を受けたものだ。客席も、100人入っていないようだったけれども。

 トリネタの「井戸の茶碗」が、これまたパワフル。あんなに威厳のない千代田ト斎で噺が成立するのかという驚き。正直清兵衛さんのキャラが、きつつきの分身のようで面白かったが、やはり弱点は娘の演技か。さん喬のように、とは言わないまでも、てらいなく「娘」を演じる技量をぜひ身に着けてほしい。このへん、あの人気者・志の輔はあきらめてしまっているようで、落語の中に出てくる娘は極端に会話が少ない一方で、柴田理恵のようなおかみさんが頻出する。

 でも、同世代の若手真打ちに混ぜても、特に遜色のない技量と見た。あとは何だろうか。売れるためには何が足りないのだろうか。それが分かれば苦労はしないか。恋で苦労がしてみたい、なんてね。
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立川流の「枠」をはずしたって

2012年11月23日 | 落語会など
 きょうは祝日でも、妻と子に背を向けていそいそと談志一門会へ出かける。昼夜公演。

 <立川談志一周忌追善落語会③>
 直弟子一門挨拶
 立川談幸  片棒
 立川龍志  家見舞
 柳家小菊  俗曲
 立川志の輔 バールのようなもの

 仲入り

 桂文字助 谷風情相撲
 毒蝮三太夫・立川左談次 毒蝮三太夫ショウ
 立川談四楼 人情八百屋

 「立川流以前」と題した会。談幸の片棒、「ケチ」のマクラで談志のエピソード炸裂。お清めの塩を料理に使っていたという。志の輔も一応、「立川流以前」に分類されるらしい。新作「バールのようなもの」は、「やかん」の改作だったことを、志の輔のマクラで初めてしっかりと意識した。何となくそう感じていたのだが、言語化はできていなかった。談志に「お前のやかんを作ればいいじゃねえか」と言われて作った噺だという。というか清水義範作品ではあるのだけれど。
 
 仲入り後の桂文字助は初見だったが、内田裕也のような長髪の、いかにもヤバそうなナリをしているのに、何と声質がきれいだった。談志一門は師匠はじめ、声がガラガラな人が多い中、透明感あふれる声で意外。頑なに相撲噺しかやらないという噂で今回もそうだったが、この声で心地よく聴かせた。毒蝮三太夫のショウでは、談志と同い年のまむちゃんの健在ぶりを確認。トリの談四楼は「人情八百屋」。かぼちゃ屋みたいな噺だと思ったが、ちょっと違った。理不尽なヤツというのはどの時代にもどの街にもいるものだ。そんな時に必要なのは人情だとしみじみ思った次第。談四楼、いいなあ。寄席で聴きたいなあ。平日の昼トリあたりで。もしくは夜の仲トリとかで。


 <立川談志一周忌追善落語会④>
 直弟子一門挨拶
 立川談修 宮戸川
 立川平林 安来節
 立川談慶 かっぽれ
 立川雲水 ん廻し
 立川生志 初天神
 野末陳平・高田文夫・立川志らく 野末陳平ショウ
 立川談笑 粗忽長屋

 仲入り

 松元ヒロ スタンダップコメディ
 立川志らく まんじゅうこわい
 立川談春  棒鱈

 ちょっと有楽町の外に行って2時間弱コーヒーなどを飲んで休憩して、またよみうりホールに舞い戻る。最後の公演は「立川流以後」の特集。この4回、冒頭は一門挨拶なのだが、結局最後まで全員が一同にそろうことはなかった。いつも1人2人欠けていた。

 ひそかに注目している生志、注目しなくても目に飛び込んでくる談笑、「平和を食い物にしている」松元ヒロ、「でも戦争を食い物にするよりいいでしょう!」という見事なコメントで拍手を浴びる。

 最後の出し物2本は談志が認めた2人。志らく~談春はなぜか「小さん十八番」をやる。いずれ劣らぬさすがのリズムとメロディー。でも、何と言ってもこの日は高田文夫がMVP。一度心肺停止になった人とは思えないギャグの速射砲で、会場を爆笑の渦にたたき込んでいった。「私のハートはストップモーション」とは、この人と松村邦洋しか言えないすごいセリフだ。
 
 立川流は今後どうなるか、というのは、何だかどうでもいい気がしてきた。立川流という枠・肩書をはずしても、しっかりと生き残れる実力を持った落語家が何人もいることを実感できた3日間、4公演であった。やっぱり、寄席で見たい人が何人か、いるなあ・・・・。
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高弟を肯定しよう

2012年11月22日 | 落語会など
 きょうもよみうりホール。その前にきょう最後の仕事は、16:30に喫茶店でオレンジジュースを飲みながら、来年から仕事を一緒にする人と打ち合わせ。ひるがえって有楽町へ。

 <立川談志一周忌追善落語会②>
 直弟子一門挨拶
 立川キウイ 談志チャンチャカチャン(上)
 立川談吉  談志チャンチャカチャン(下)
 立川志遊  鮫講釈(上)
 立川談之助 鮫講釈(下)
 立川志ら乃 子ほめ(上)
 立川こしら 子ほめ(中)
 立川志らく 子ほめ(下)

 仲入り

 山藤章二・吉川潮 立川流顧問対談
 林家正楽     紙切り
 立川ぜん馬    宿屋の仇討ち

 前の方は色々個性豊かで、談之助の鮫講釈なんかは、よみうりホールの客席中を走り回っていたぐらいで。一門ではない林家正楽の紙切りでは、美空ひばり「川の流れのように」に合わせて、談志のシルエットが流れるようにOHPに映し出される。着物姿より、スタンダップでマイクの前で何か喋っている形の方がリアルに似ていた。立川流顧問対談では山藤章二による「談志=ピカソ」論を拝聴する。

 そして圧巻はトリのぜん馬。宿屋の仇討ちで、3人の仲間のやり取りの何と生き生きとしていること、そして隣り合わせた武士の渋面といったら!立川流の高弟のレベルは高いことを実感。寄席のさん喬・権太楼クラスに比肩すると言ってもいいと思う。世代的にもその辺、団塊の世代は頭数も多いので、いい落語家が多いのかもしれない。志の輔・談春・志らくだけでなく、我々は立川流の高弟たちを肯定すべきではないのだろうか。
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同じ「富久」なのに

2012年11月21日 | 落語会など
 立川談志の一周忌。きょうから3日連続でよみうりホールに通い詰めだ。「談志一門会」の目撃者になろうと。その前に赤坂へ行って一人の専門家に会う。なかなか良いサジェスチョンをもらった。

 夕方、仕事を終えてから有楽町へ。

 <立川談志一周忌追善落語会①>
 直弟子一門挨拶
 泉水亭錦魚 権兵衛狸
 立川志の輔 三方一両損
 立川左談次 阿武松

 仲入り

 立川志らく・松岡弓子・松岡慎太郎 談志DNA対談
 ミッキー亭カーチス ハモニカ漫談
 土橋亭里う馬 富久

 一門が黒門付き袴(談之助を除く)で勢ぞろいし、ずらーーっと20人ぐらいが舞台に横並びしたのは圧巻だった。ちらほらと欠席者もいたようだが・・・・。初日は談志十八番の会。志の輔は相変わらずダミ声だなあ。江戸っ子の了見の噺を富山県人が。久しぶりに高座を聴く左談次はやせているので、阿武松といった相撲噺は目を閉じて聴くべきかもしれない。

 談志DNA対談は、息子さんの黒スーツ、黒ネクタイが何だか葬儀屋みたいだというトーク。特筆すべきはミッキー・カーチスのハモニカ漫談で、とりわけカッコ良かった。トリは立川流新代表。またここで「富久」を聴くことになるとは思わなかった。談四楼バージョンと全く同じ展開・セリフ回しなのだが、何かが違う。
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元編集者で現前座が「生兵法」

2012年11月16日 | 落語会など
 すき家で昼ごはん。午後、小田急線で経堂あたりへ。立川談四楼の経堂の会へ。考えてみれば久しぶりに落語を聴く。

 <さばの湯落語会>
 立川寸志  生兵法
 立川談四楼 富久

 「さばの湯」という銭湯のようなネーミングだが、実際は普通の居酒屋。20人も入ればいっぱいというぐらいのスペースだった。前座に出てきた寸志はもう45歳ぐらいの超遅い入門という。何でも元編集者で、談四楼の本の編集を担当しているうちに、昔やっていた落語の情熱を思い出し、奥さんもいるのに職をかなぐり捨てて入門したのだという。生活費は奥さんの稼ぎで「私が定年になったら食べさせて」と言ってくれたという。それはすごい、すごいこった。

 演目は聴いたことのないもので、後で打ち上げの時に「生兵法」だと聞いた。剣術か何かをかじった男が、鼠を捕まえて手でつぶす・・・というグロテスクな噺だったのを、現代風にマイルドにした演出に変えてやっているのだという。寸志、聴いてみると口調もいいし、声も出ているし、45歳というにはかなり若々しく見える。どう見ても・・・・厄そこそこ?、いや30代と言われてもおかしくない。前座という身分がそう見させるのだろうか。

 続いて上がった談四楼の「富久」はドラマチックかつダイナミック。これも後で打ち上げで聞いたところによれば、談志直伝という。あの久蔵のお金に異常に執着する辺り、やはり立川流ならではの凄みを感じた。快楽亭ブラック著「立川談志の正体」によれば、「こと金に関して談志にシャレは通じない」のだ。人情噺というのは、誰でも何でもやれるものではない。演じ手の人生がにじみ出るような人情噺を聴いた時、人は感動できるものなのかもしれない。三遊亭歌之介の「子別れ」なんか、あれはリアルストーリーだから。

 落語会が終わった後、その場で始まった打ち上げにも少し参加させていただく。参加者はほとんど常連さんのようだった。結構若い女性もファンでいるようで、談四楼あなどるなかれ、だ。来週のよみうりホールの談志一門会も行くので、本格派・談四楼をいま一度楽しみたい。終電ギリギリで家に帰り着いた。経堂からウチまでは、遠い~。
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ドラえもんとジャイアンと出来杉君の落語会

2012年10月12日 | 落語会など
 昨夜机にポストイットで貼っておいた、きょうのTODOリストが6件。朝から鬼神のように仕事をする。昼飯何にしようかと思ったら、先輩と行き会ったので「すき家」へ。僕はカレー、先輩は牛丼。夕刻から「2012年最も旬な人」に外苑前で会い、喫茶店で「女子と就活」(中公新書ラクレ)を読み終わって、それから原宿経由で高円寺へ。「らくご@座高円寺」という落語好きをうならすラインアップを毎回やる落語会へ行く。会の前に富士そばでコロッケそばを。

 <一之輔の無茶ぶられ2>
 オープニングトーク(一之輔、白酒、文左衛門)
 桃月庵白酒  禁酒番屋
 橘家文左衛門 天災

 仲入り

 春風亭一之輔 明烏(明ダルマ?)
 アフタートーク

 たとえるならば、ドラえもんとジャイアンと出来杉君の落語会だった。白酒と文左衛門が、それぞれ明烏の「設定」を一之輔に無茶ぶりする。白酒は、「源兵衛と太助が若旦那同様、童貞」「若旦那は本で吉原のことは2人よりも知っている」という設定を出して、文佐衛門は「若旦那は乱暴者だけど純」というキャラを指定してきた。さあ、どうする?

 落語のトップバッターは「ドラえもん」こと白酒(体形がね)。マクラでは「ひとりきちがいが受けない時代があった。あの志ん朝師匠でさえも、『野ざらし』が受けずに、楽屋で『恥ずかしいからネタ帳に「釣り」って書いておいて』と言ったことがある」とのこと。時代によって受ける場所は移ろいゆくのだという。ネタは「禁酒番屋」で、時折、店の者が、武士が言うべき「近藤氏」と言ってしまうなど、言い間違いがいくつかあったが、さすがあの体形と話術で、面白い。 次の文左衛門は、もちろん「ジャイアン」。なぜだかさっきから静かで大人しい。昨日の酒が残っているのか? でも、「あたしは争いごとが嫌い」という意外なことを言い出したかと思ったら、「そんなヤツがいたら、ぶん殴ってやりたい」と、あの顔ならではのクスグリが炸裂して本調子だと知る。

 ネタは「天災」。いかにもこの人の噺という感じ。乱暴者の八五郎をやらせたら、そりゃすごい。でもあえて言うなら、乱暴者以外のキャラクターまでもがあの風貌のせいで乱暴者に見えてしまうことかもしれない。

 仲入り後に「出来杉君」の一之輔。その抜擢されたキャリアも、シュッとした顔も、スマートな身のこなしも、まさに出来杉君だろう。2人の無茶ぶりをどう処理するかと思ったら、より文左衛門のアイデアを採用していた。

 近所の女の子(お花?)と遊んでいた若旦那の時次郎、「だるまさんがころんだ」で遊んでいたら急にお花がいなくなる。それは時次郎の父親の差し金で、借金でお花は吉原に売られたのだ。それ以降、吉原嫌い、父親にも心を許さなくなった時次郎は、家の中では従順でも、外に出るととんでもない暴れん坊になっていた(この時代の流れを、頭を下げてまた上げるまでの一瞬で表現したのが巧みだった)

 幼なじみの源兵衛、太助は時次郎の「舎弟」となっている。何だかんだあって吉原に行くことになっても、見返り柳をぶった斬ったり、大門を崩したりと乱暴狼藉の若旦那、でも何とか上がった廓の相方は、あの時別れたお花で・・・・、というストーリー。

 物語としてはよくできていた。そして演技力もそりゃー抜擢真打ちになるぐらいだから抜群だった。でもなあ、噺が何だか綺麗すぎて、ドロドロした感動みたいなものが薄いと感じてしまった。野球にたとえるなら三遊間を抜けたクリーンヒットって感じで、センター、レフト、ショートの間に落ちたテキサスヒットというような泥臭さというか、そういうギリギリのヒットの方が見ている側は面白いのになと思った。鮮やかな技術と才能を楽しむことはできたが、追い込まれてあたふたする一之輔ももっと見たかったというか。「大変でしたよ」とか言っていても、高座では落ち着き払って見えたから(本当に本当は大変だったのだろうけれども)。喬太郎だったら、どんな落語にするかな。

でも、才能がすごいことだけは知らしめた。一之輔も「1」だけに、新作落語家として彦いちに代わって第2次の「SWA」メンバーになったりして。一之輔に創作能力がついたら、鬼に金棒だ。ちなみに文左衛門の前座名は「かな文」だ。
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桂文治は(上方の)噺家で

2012年09月22日 | 落語会など
 きょうも連チャンで新宿は末広亭へ。前座から見ることができた。

 桂たか治  子ほめ
 桂宮治   強情灸
 鏡味味千代 太神楽
 桂文月  ざるや
 桂米福   権助魚
 D51   コント
 三遊亭笑遊 寄合酒
 桂伸之介  高砂や
 北見伸、スティファニー 奇術
 三笑亭夢太朗 転宅
 三遊亭小遊三 蛙茶番

 仲入り
 襲名披露口上、伸之介、あやめ、鶴光、文治、夢太朗、小遊三
 江戸家まねき猫 物まね
 桂あやめ  コンパ大作戦
 笑福亭鶴光 試し酒
 ボンボンブラザーズ 曲芸
 桂文治  幽霊の辻

 まず目を見張ったのは二ツ目の宮治。ちょっと見るなりすぐ気付いた、これは逸材だ。顔の陽気さといい、芸のアクションといい、堂々とした筋運びといい、もう真打ち級と言ってもいい。ついこないだ二ツ目になったばっかりというが、久々に芸協に「抜擢真打ち」候補が現れたのではないか。でも芸協は「順繰りに真打ちにする」と歌丸会長が明言してしまっているからなあ。

 コントもあるのが芸協か。幅広いなあ。おばあちゃんと学校の先生という組み合わせの異色のコント。客とのコミュニケーションも取ろうとしている。客いじりかコミュニケーションかは、微妙なところだ。

 小遊三の「蛙茶番」はポンポンポンポンとテンポ良く。8月下席の浅草で師匠の遊三のを聴いたが、それよりもスピードアップの様相。小遊三が22歳で入門した時に師匠は31歳だったという。どういう師弟関係なのか興味がある。

 披露口上には鶴光は分かるとして、上方からあやめが上がっていた。毎回ゲストで盛り上げていく方針のようだ。文治という名跡も元々は上方のものだし、何か上方色が強いラインナップに見える。

 まねき猫を経て、あやめ。10歳の娘を預ける時間がなくて末広亭の楽屋に連れて行ったら、「こんなに貴重な機会なのに2階でキングオブコントを見ている」のだとか。「強盗に首を絞められた」という自己紹介をしていたが、東京の若い人で知っている人はそんなに多くないだろうなあ。18歳で先代文枝に入門したあやめも、もう30年で48歳なのだとか。年よりは若く見える。厄年3人が年下の男の子たちとコンパするが、世代間ギャップが次々に露呈して・・・という新作。そうそう、女流落語家って、こういうアプローチの新作をやればいいと思う。東京の人たちも。川柳つくしがちょっと近いニュアンスかな。ところで現体制でつくしはいつ真打ちになれるのだろう。川柳が元気で生きているうちに真打ちにしてあげてほしい。28人抜きの文菊の師匠、円菊が披露目に出られない状態はやっぱり悲しい。

 鶴光は、「試し酒」。筋は東京風だが、言葉は上方。この話は最近の古典落語(言い回しがちょっとおかしいけど)なのだが、昔の設定ではなく、昭和っぽい時代設定のようだった。それでも昔の設定か。鶴光は普通に落語家としてうまい。ただ、ラジオのあのエロオヤジ加減は、高座ではほとんど封印している。寄席の高座では漫談では逃げない。すごいエロ小咄ばっかりラジオでやっているのに。そこがエライところというか、少々物足りないというか。

 ボンボンの至芸をきょうも堪能した後、文治のトリへ。こないだ鈴本で権太楼で見たばかりの「幽霊の辻」を見る。あの顔にぴったりの噺ではあり、ところどころ「ボンボンの兄弟」「あした順子のような婆さん」といったローカルなくすぐりが出てくるので面白いのだが、基本的にはビックリするぐらい権太楼そっくりの高座だった。そりゃあ、寄席の爆笑派の系譜として枝雀→権太楼→文治と正統に流れてきているが、文治の文治たるゆえんをもっと出してほしかった気もする。ただ、小佐田定雄作品がこうして東京で受け継いで演じられているというのは、落語界全体にとってはとても良いことだ。きょうもパワフル熱演の文治であった。

 やっぱり寄席はいいなあ。最初から最後まで見ると疲れるのは間違いないけど、発見も多い。
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