百醜千拙草

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アベコベ

2016-11-29 | Weblog
戦後日本の発展は、アメリカの青写真によって作り上げられたが、日本はそのアメリカ支配の縛りの中で面従腹背、自国の利益を追求してきました。その中で沖縄一県にババを押し付け続けるという悲劇を生んだわけでもあるわけですが。そして近年、アメリカ覇権が傾き始め、世界各国がアメリカから距離をとって巻き添えを食わぬようにと注意を払う中で、日本政府は、かつては生き残るための手段としての「対米隷属」が、今やほとんど「教義」となってしまい、それ自身が目的化してしまっている様相です。官邸に至っては、自分が何を目的に何をしているかもどうも理解できていない様子。やることなすことアベコベなのは、歴史認識、客観的かつ俯瞰的で長期的な視野に立った情勢判断と行動の能力に欠けているからでしょう。愚かな行動をとって国民や諸外国に批判される前に、まずは「安倍でもわかる政治思想入門」でも読んでもらいたいものです。

そのアベ政権の歴史認識と判断能力の欠如を示す最近の行動に呆れた田中良紹さんの最近の解説が良かったので、貼り付けます。

日本が自由貿易を主導してトランプを説得するという身の程知らず フーテン老人世直し録(264)

アメリカ大統領選挙の結果を読み違え、結果が出る前にTPP協定を衆議院で強行通過させた安倍政権は、TPP撤退を選挙公約に掲げたトランプが次期大統領になったことに慌て、摩訶不思議なことを言い始めた。

保護主義の台頭を抑えるため、日本がTPPに代表される世界の自由貿易を主導し、トランプ次期大統領を粘り強く説得していくというのである。まるで日本が自由貿易のリーダーであるかのようで、アメリカ人が聞いたらびっくり仰天腰を抜かすのではないか。
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トランプの勝利で「TPP脱退」は米国民の「民意」となった。それを外国人が、とりわけ日本人が説得して覆すことなどあり得る話ではない。やれば足元を見られて逆に徹底的に揺さぶられ、日本の国益を吸い上げられるのが関の山だ。
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以下は有料記事なので、ちょっとだけ抜き書き

安倍総理はトランプを「信頼に足る指導者」と持ち上げた。 ところが直後にトランプはインターネット動画で「TPP脱退」を明言する。
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安倍総理は帰国すると自由貿易を主導してトランプ次期大統領を粘り強く説得していくと言い始めた。そうでも言わないと今国会が何のための国会かということになり、アメリカの現政権にすり寄ることしかできない安倍総理の外交能力のなさが浮かび上がってきてしまうからである。
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日本は資源に乏しく資本主義に遅れを取った国である。強者の餌食にならないよう細心の注意を払わなければならない。常に自分と同等の基準を要求してくるアメリカに対し様々な手段を弄して自国経済を守る必要があった。

戦後の日本に僥倖をもたらしたのは冷戦時代の米ソ対立である。世界の共産主義化を恐れるアメリカはヨーロッパではドイツ、アジアでは日本を「反共の防波堤」とし、両国経済を発展させることで共産主義の浸透を防止しようとした。
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そのころの日本は様々な手段で輸入を抑え、輸出にだけ励む貿易立国であった。 これがアメリカの怒りを買いアメリカは常に日本の保護貿易主義をやり玉に挙げた。、、、様々な障壁に守られた日本の市場をこじ開けるためアメリカは日本の経済構造そのものをアメリカと同じ仕組みに変えようとする。それが80年代から続く「構造協議」や「年次改革要望書」であり、その延長上にTPPがある。
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冷戦が終わりグローバリズムの時代が到来すると、「唯一の超大国」アメリカの考え方が世界を覆うようになった。
低賃金を求めて資本は国境を越え、中国、ベトナム、バングラディシュ、ミャンマーなどを次々に国際市場に引き込む。、、、それがデフレを生み、また先進国の中間層は雇用を奪われて没落する。そして富裕層と貧困層の格差が限りなく広がるようになった。

、、、アメリカが世界の覇権を握るために進めたグローバリズムで国民は幸せになったのか。まるで逆ではないか。その声を代弁したのがトランプであり、サンダースであった。 、、、

それにしてもさんざん保護貿易で経済を豊かにしてきた日本が、アメリカ型の経済構造に変えられて、いまや自由貿易のリーダーを自認しているが、そのことで国民が豊かになっているわけでは決してない。

むしろ「デフレからの脱却」を叫ぶ安倍総理が気づくべきは、行き過ぎた自由貿易がデフレをもたらすという昨今の世界経済の動向なのである。
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