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労働法制:ホワイトカラー・エグゼンプションは見送られても・・・

2007-02-13 | マネジメント
ホワイトカラー・エグゼンプションが見送られたたために、すっかり話題に上らなくなってしまった労働法制の改正ですが、たとえホワイトカラー・エグゼンプションが無くても、今国会では「歴史的な法整備」が行われる予定となっています。

今回国会で審議される予定の労働関係法案は次の通りです。

【1】労働契約法案(新設)


新設法案。労働契約の成立・変更・終了に関する事項や、労働契約と就業規則の関係についての規定が盛り込まれる予定です。「労働契約」においてこれまで不明確であった部分が一気に明確化されるだけでなく、労働契約の書面化や条件変更、出向・転籍、有期労働契約に関する細目など、労働実務に幅広い影響を与える内容が盛り込まれる予定となっています。

【2】労働基準法改正法案


主に労働時間に関する制限についての改正法案です。ホワイトカラー・エグゼンプションの規定はなくなりましたが、長時間労働者に対する時間外割増率の引き上げは今回の改正で盛り込まれる見通しとなっています。 一方、一定の条件下では時間単位での有給付与を認めるなど、これも労働実務に大きな影響を与える項目が多々含まれています。

【3】パートタイム労働法改正案


パートタイム労働法の改正については「通常の労働者と同視すべきパート労働者に対する差別的取り扱いの禁止」が目玉となっています。これは、「同一労働同一賃金の原則」により踏み込んでいく内容であり、また、賃金差別があった場合には「過料」を課すような法改正の予定ともなっています。また、パートタイム向けの労働条件の文書交付義務が新たに課されるなど、現実の労働状況について改善を求められる場面が出てくる可能性があります。

【4】雇用対策法・地域雇用開発促進法改正案


若年者の雇用機会確保が中心となっていますが、労働実務的には「外国人雇用状況届の義務化」が新たな注意点として上げられます。

【5】最低賃金法改正案


生活保護と最低賃金の整合性に配慮する内容が中心ですが、労働実務の面では[最低賃金の『強制』効力(最低賃金未満は、強制的に最低賃金が適用される=未払い賃金請求の可能性)」や「罰則の強化(罰金50万円以下への引き上げ)」が注意点となるでしょう。

【6】雇用保険法改正案


これまで「短時間以外」と「短時間」で別れていた被保険者資格を一本化するとともに、基本手当の受給資格要件を「過去2年間で12ヶ月以上」を原則とするように改正予定です。また、育児休業給付を休業前賃金の50%に引き上げることも盛り込まれる予定です。


このように、今年は労働関係の法改正が目白押しです。特に「労働契約法」についてはこれまでの「労働実務の慣例」とは異なる対応を迫られるケースもあることから、出来るだけ早期の対策が求められます。

本ブログでも、継続的にウォッチしていきたいと思います。


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